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柊君へ  作者: Taさん
第二章
98/254

坂井さん ~5~

後輩の不幸を願う先輩って・・・

同じクラスにいる陸上部の松本君が1時間目の授業を終えて

急に教科書などの荷物をまとめだした。



「どうしたんだ、松本?腹痛か?」


「ちげーよ。今日は昼から陸上の試合だから、帰るんだよ。」


「え!?」


みんなからの驚きの中、



「ふふふ、何か堂々とサボれるって気分がいいな~。」


嬉しそうな笑みを浮かべる松本君は、みんなから非難されるのだが、

松本君はそんなことをまったく気にしない。


ふふてぶてしい態度を取りながら、やっかみを受けている時に、



「松本先輩・・・みんな待ってるんですけど。」


急に2年生の教室に柊君が現れたのであった!



「どうした、柊?」


「・・・忘れてますよね?一時間目終えたら、すぐに中庭に集合ってことを。」


「・・・?」


「・・・壮行会をするって言われたでしょう?

 すでにみんな待ってるんで、急いでください。」


「・・・俺、それ聞いた?」


「・・・聞いてますよ。少なくと一緒にいる時に先生から言われましたよ。」


「マジか!?・・・たぶん、その時違うことを考えてたな・・・。」


「・・・。」


ジト目で松本君を見ながらため息をつく。



「く!?先輩を蔑むような視線を向けて!!!

 先輩を先輩と思わぬふてぶてしさ・・・。」


「先輩はちゃんと先輩と思ってますけど・・・

 ちょっと呆れてるだけですよ・・・。

 ちなみに聞きますけど、何を考えていたんですか?」


「柊が試合でどうやらったら転ぶかと考えてた。」


「・・・本気?」


「本気も本気!だって、目下の最大の敵は柊だからな!」


「かわいい後輩でしょう?」


「まったくかわいくない!!

 自分よりも速い後輩なんっていらないし!!」


「・・・ちなみにリレーは同じチームなんですけどね・・・。」


「リレーは助かってます!頼りにしてるんで是非、宜しく!」


「ハードルでは?」


「嫌いに決まってるじゃん!

 ホント転んでくれないかと今日も学校来る前に神社でお願いしてきたから!」


「・・・ちっちゃい先輩だな・・・。」


「何とでもいえ!!俺が勝てればそれでいいんだよ!!

 だいたい、柊の代って化け物の代で、柊以外にも化け物が2人もいるんだぜ?

 今日の県大会も化け物3人衆が全員欠けることなく出てくるし・・・。

 次の地方大会への枠6人のうち、3人分を化け物が奪うから、

 俺達は3人枠をみんなで争わなきゃいけないことになるんだぜ!」


「・・・別に俺達と争ってもいいでしょうに・・・。」


「勝てるか!!!俺は凡人なんだからな!!」


「・・・俺だって凡人ですよ。あの2人には勝てないんですから。」


「そんなことない!!あの2人についていくし、下手すると勝ちそうじゃん!

 そんな人間が凡人なわけあるか~!!」


「・・・これ以上言い合っても仕方がないので、体育館に急いできてくださいね。」


「はいよー・・・。

 ところで体調は万全?」


「万全ですよ・・・期待にそえなくてすいませんね。」


「・・・ちぃ!」


「くだらないこと言ってないで、早く来てくださいよ。」


苦笑しながら去る柊君に私が疑問が湧いて声をかける。



「ねえ、柊君、一年生は、今って新入生合宿中じゃない?」



この学校には地獄と呼ばれるものが2つある、

まずは新入生合宿。


これはひたすら集団行動を行う合宿で四泊五日行われる。

山のふもとの合宿場であるため、携帯すら入らない場所で

朝6時から夜10時までみっちりと集団行動をさせられるのであった。


もう一つは寒稽古と呼ばれるものであって、

1月の真冬に朝6時に集合して1時間走りまわるという苦行である。

それが1カ月もある・・・


これは本当に大変で、そもそもそんな時間に公共交通機関は動いていないため

自転車や徒歩で通学するか、もしくは両親に来るまで送ってもらうしかない。

私は両親に送ってもらうしかなかったんだけど、



「うちの執事が車を出すから、一緒にどう?」


という天野のおかげで無事に乗り超えれたのだが・・・




「合宿中ですけど、陸上優先なので、免除されています。

 ただ、最終日だけはどうやら出なきゃいけないみたいで、

 試合が終わった次の日に登山をさせられますけどね・・・。」


「ああ、あの登山か・・・。」


思い出されるあの地獄の山登り・・・


標高自体は高くはないのだが、斜面がやたらと細かい砂のため

足が取られるのである。


それでなくても登山は大変なのに、あの足が取られる地面を歩くことで

2重の苦しみを味わうことになる・・・


・・・いい思い出がないな・・・


「柊君・・・頑張ってね。」


「・・・それはどっちの?」


「うん?試合。合宿の方は・・・死なないようにね・・・」


「・・・その言い方だとどれだけ大変だったかが伝わってきますね・・・・。」


そう言いながら柊君は中庭へと向かって行った。

ただ、松本君はまだ教室にいるのだけど・・・いいのかな?



その日の部活を終えた帰り道で、

そういえば柊君の試合があったことを思い出す。


スマホで今日のインターハイ予選の結果を確認すると、


“110メートルハードル 3位 柊”


おおぉ!!

思わず感嘆の声が漏れてしまう。


柊君、先輩らを押しのけて3位に入ったんだな・・・


今度会った時にはお祝いの言葉をかけてあげないとね。


しかし・・・すごいな~・・・選ばれた人ってのは・・・


そう思いながら、今日の部活を思い出す。

私の1つ上にはすっごく上手なポイントガードの先輩がいる。

中学の時も高校に入っても県選抜に選ばれる人だ。


身長も私よりも高くて、シュートもしっかりと決める。

何よりもその視野の広さがすごい!

同じポジションとして凄い憧れをもっていたのだが・・・


そう・・・


もっていた・・・“のだが”だ・・・


先輩に尋ねたことがある。



「どうしたらあんなパス出せるんですか?」


「えぇ?・・・何か、ここってポイントが見えてこない?」


それが分からないから聞いたのにな・・・



「どうしたらあんなにスリーポイントが入るんですか?」


「ええっとね・・・ズバッ!っと投げたらはいるよー。」


その説明をきいた時に・・・私はきっとこの先輩にはなれないと思った・・・


私はそんな風に感じたこともないし、きっとこれからもならないだろうから・・・


私はもってない人間なんだな・・


気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

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