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柊君へ  作者: Taさん
第二章
97/254

坂井さん ~4~

バスに2人で並んで座る・・青春ですね・・・

「・・・柊君には推薦とか来たんじゃないの?」


「来ましたよー。」


「じゃあ、そっちに行けばよかったんじゃないの?」


「そもそも高校に入ってまでも、陸上をするつもりはなかったですからね~。」


「そうなの?」


「そうですよ。

 中学では毎日部活で・・・青春を全然謳歌出来なかったですからね~。

 高校になったら、全力で青春を謳歌しよう!って決めてたんです・・・。」


「・・・おっさんかよ!!青春って!!」


思わず大笑いをしてしまい、周りから視線を向けられてしまったので、

慌てて、笑うのを止める。



「もう!怒られたじゃない!」


「・・・僕のせいじゃないでしょうに・・・。」


「陸上部には入らないって決めてたのに、結局陸上部に入るつもりなの?」


「・・・ええ、すでにその選択肢しか残されてないです・・・。」


「ああ・・・確かに・・・。

 校長先生に目を付けられたのなら断れないよね。

 まあ、変な理由で推薦断るからだよ~!

 その罰が当たったんだね!きっと!」


「変な理由って・・・立派な理由でしょ~。胸を張って言えますよ!」


「そんな自信はいらないし~。

 ・・・推薦が望んでも来ない人だっているんだぞ・・・。」


・・・私は・・・推薦が来ることを望んでいた。

けど・・・来なかった・・・。



「そうですね・・・。俺の同級生も望んでましたけど、来なかったですね。」


「・・・そうよね・・・。

 そう言うのってあるよね・・・。

 ・・・やっぱり来なかったのは陸上の成績が足らず?」


「いや、成績ってことはないですよ。

 僕たちリレーではありましたけど、県2位の記録持ってますからね。

 そのメンバーだと実績十分でしょう?」


「そうだね・・・。それなのに来なかったの?」


「顧問が言うには・・・


 身長が165センチ以上無いと推薦はしないってのが

 相手側の言い分だったって言ってましたね。」


「え!?聞いたの?」


「まあ、本人が希望していた学校があって、

 顧問がそこに打診をしてくれたんですよ。

 まあ、そしたら身長の話をされて流れたみたいです。」


「・・・私も・・・身長がないってことで推薦は来なかったんだよね・・・。」


中学生の頃、同じチームにいたセンターの子に推薦がきた。

私の希望していた高校からで、スカウトの人が試合などに来ているのは分かっていて、

私も期待していたのだが・・・



“あのガードの子は身長がないからうちにはいらない”


そんなことを話していたのを運悪く私は直接聞いてしまった・・・



「まあ、バスケには身長が大事だからね・・・。」


私が思わず吐いてしまった弱音を、



「ポジションによるでしょう?ガードとかは身長よりも上手さでしょう?」


「・・・バスケ分かる人?」


「ほどほどには。」


「へぇ~、意外。陸上以外に興味を示さない人かと思った。」


「休みの日は3on3をしたりしてますよ。」


「!?・・・動けるの?」


「・・・俺を何だと思ってるんですかね?

 ものすっごく機敏に動きますよ!!」


「じゃあ、今度バスケする?」


「ええ、その時はギャフンと言わせてあげますよ。」


「逆にギャフンって言わせてあげるわよ。」


1時間という道のりも誰かと一緒に帰っているとあっという間であって、

あと5分ほどで私が下りるバス停が近づいてきた。



「・・・ねえ?」


「はい?」


「どうして推薦断ったの?」


「え?陸上しないつもりだったから。」


「本当に?」


なんとなく柊君の本心とは違う気持ちがして、思わず食いついてしまった。

別に根拠があるわけではなく、ただ・・・直感でしかなかったけど・・・



「・・・俺に声をかけてくれたところは、

 まさに身長が必要って言ったところだったんですよ。」


「え?」


「それが気にいらなかったんです。

 才能がある人間が身長という一面だけで、

 人の判断をするな!!!ってね。」


「・・・本当なの?」


「さぁ~、どうでしょうね。」


そこでおどけてみせたけど、なんとなく柊君は本心で話しているように思えた。



「君・・・面白い子だね。」


「坂井先輩には負けますよ。」


「・・・何で私が面白い子にされてるのかなぁ~?」


「だって、アレだけ天野先輩におもちゃにされてるのに、

 まだ天野先輩と友達関係続けてるんですからね~。


 ・・・変態ですか?」


「とりあえず・・・


 殴っていい?」


「暴力反対!!先輩によるパワハラはNO!

 明日学校で先生に直談判しますからね!!」


「こ、こんな時だけ先輩って言って!!」


「ソンナコトナイデスヨ。」


「絶対に覚えてなさいよ!!」


もっと言いたいことがあったのだが私の降りるバス停になったので、

柊君を睨みながら立ち上がる。



「先輩、お疲れさまでした♪」


「・・・爽やかな笑顔を浮かべて・・・。覚えておきなさいよ!」


そう言ってバスを降りるのであった。


降りてからバスを見ると柊君と目があったので、

手を振ると柊君も手を振り返してくれた。


・・・まあ、可愛らしい後輩だね・・・


今日のやり取りで私の中で柊君の好感度が上がったのことは言うまでもない。

・・・あんな風に反感するなんってね・・・


子供っぽいけど・・・


私のコンプレックスに触れていることをハッキリとNOという姿勢に

私の好感度はグッと上がってしまうのであった。



気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

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