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柊君へ  作者: Taさん
第二章
95/254

坂井さん ~2~

嫌な先輩ってどこにでもいるよね・・・

「それでね、学食ではまずはここでお姉さんに欲しい食券を言うの。

 そして、出された食券をお金を払ってもらうシステムよ。」


「なるほど・・・。」


「そしてこれが裏技で・・・。


 『お姉さん!今日もきれいですね!!』


 って言えば、無料で大盛にしてくれるのよ!」



パコン!!


私は手に持っていた財布で天野の頭を叩く!


「ウソを教えなくていいの!

 いい、柊君!今のは嘘だからね。

 まったく天野は・・・ホント、ウソばっかり教えて・・・。」


「ありがとうございます、坂井先輩。」


「いいえ、量が食べたい?それと美味しいのが食べたい?」


「・・・どっちもって言うのは・・・贅沢なことなんですかね?」


私と柊君が話してるところに、


「残念ながら・・・。」


そう声をかけてきたのは、何と食堂のお姉さんであった。


「え?いやいや、それを食堂の関係者が言っちゃ駄目でしょう?」


「だって・・・大量の料理って味がね・・・難しいのよね。」


「・・・そこは日頃の経験が活かされるところでは?」


「味見ばっかりしているとお腹がいっぱいになって、

 味もよくわかんなくなってきちゃうのよね~。」


ふふふと笑う食堂のお姉さんだけど・・・


そこはしっかりしてください!!


ほら!柊君も困ったような顔をしているし!!



何とか食券を買って、料理と交換して席に空いている席に座ろうとした時のことであった。



「よう!坂井!」


そう言って、現れたのは私の嫌いな男の先輩 安部先輩だった・・・。



「お疲れ様です。」


最低限の言葉だけを返すのだが、

安部先輩は笑みを浮かべて私の座ろうとした横の席に座ってきたのだ!



「ほら、座れよ、坂井。」


そういって、席を引いてくれて座りやすくしてくれるのだが、

この下卑た目で私を見てくるのが嫌なんだよな・・・

そんな時だった。



「あれ~、気持ち悪い安部先輩じゃないですか。」


そんなケンカ腰に現れたのは天野だ。

天野と同じ中学出身で、その頃から知っているようで曰く、


“力にモノを言わせて、女の子を手に入れようとする最低な奴!”


嫌悪の目で天野は安部先輩を見ながら、

私の前の席に座ってくれたのであった。



「・・・言ってくれるな、天野。」


「すいません。私、正直者なんで。」


いつもだったら微笑みながら言う天野だが、

今日はまったく笑みを浮かべずに言っていた。



「くそ生意気な女が・・・分かってん・・・。」


何か安部先輩が言おうとしたところで、天野が、



「柊!こっち!!」


どうやら私達を探していたようで、辺りを見渡していた柊君に声をかける。



「!?柊!?」


天野の声に反応したのは安部先輩だ。

いきおいよく辺りを見回して、そして・・・


固まる・・・


その先には柊君がいた・・・



「あ、安部先輩。そこ、邪魔。柊が座るからさ。」


そう天野さんが告げると、

苦々しい顔をしながらも黙って立ち上がって去っていくのであった。


よくわかっていない柊は、安部先輩が自分のためにどいてくれたと思って、

頭を下げていた。



「はやく!こっちこっち!」


「すいません。ちょっと混んでで。」


そう言いながら椅子に座る柊君に、



「安部先輩って知ってるの?」


「安部?・・・さぁ~?」


その回答を聞くや否や、



「ぷふぅー!!!あははははは、名前すら覚えられてないでやんの!!」


天野に大笑いされるのであった。



「ちょっと、天野、はしたないよ。」


私が天野をたしなめるが全然おさまらず、

おさまったと頃には目に涙を浮かべていた。



「〇中の四天王って知らないの?」


天野の質問に、



「え?知らないっすけど・・・。」


柊君が回答する。



「何なのそれ?」


私の質問に天野が応えてくれて、


天野や柊がいた中学ではケンカの強い4人の先輩がいたらしい。

毎年恒例のことだらしいのだが、4人が入ってきた新入生を

ビビらせるってイベントをしているらしいのだが、

柊君に絡んだ安部先輩は一瞬で逆にのされてしまったらしい。


そんなことがあってから、安部先輩は柊君とは接触をしないようにしているらしい。

中学とかでも天野にちょっかいを掛けようとしてきたこともあったらしいのだが、



「私、柊と仲がいいんですけど・・・で、何ですかね?」


そう言ってぐぅの根も言わせなかったらしい。



「それでさっき、何も言わずに去ったのね・・・。」


すぐにケンカを吹っかけてくる安部先輩が素直に従ったことに驚いていたが、

そんな理由があったなんて・・・



「まあ、これで良かったじゃない。」


「何が?」


「坂井も柊の所有物って思われてさ♪

 これでちょっかいもかけられなくなるよ!」


「べ、別に柊君の所有物じゃないわよ私!!」


「・・・イヤなの?」


「イヤとかじゃなくて!!」


「柊・・・嫌われちゃったね。」


そう言って、柊君へと話しかけると、柊君が分かり易いくらい肩を落とす。



「いやいや、柊君!嫌いとかじゃないのよ!」


慌てて天野の言葉を取り消しにかかるのだが・・・


天野のニヤニヤした顔が視界に入る!!


にゃろ~、楽しんでやがるな・・・



「ウソですよ。っていうか、坂井先輩。」


「は、はい!?」


急に名前を呼ばれてびっくりしていると、



「友達はちゃんと選んだ方がいいですよ。」


「・・・本当に今、実感してるわ・・・。」


「ひどくない!?こんなに坂井ちゃんのこと可愛がってあげてるのに!」


「・・・“あげてる”?」


「・・・ドンマイ!」


「いやいや、天野!あんたがドンマイって言うのおかしいでしょう!!」


何だか、思っていた以上に昼食に時間がかかってしまった。



「そうそう、コレありがとう!

 一応、洗濯してるけど・・・臭かったらごめんね。」


そう言って私は借りていた服を返す。



「別にイイよね、柊?JKの匂いが染みついてたって。むしろプラスでしょう?」


「・・・ホント、殴るよ天野・・・。」


「すいませーん。」


「・・・ゴホン。それとコレ簡単なものだけど、お礼だよ。」


そう言って、私は昨日作ったクッキーを渡すのであった。



「「え!?」」


柊君の驚きは分かるけど、天野はなぜ驚いている?



「そんないいですよ。たかだか服を貸したぐらいで・・・。

 洗濯して返してもらっただけで十分です。」


「そんな・・・そんな・・・

 坂井がお菓子作りなんって・・・。」


・・・こいつにツッコんだら負けだろうな・・・


天野には何度もクッキーとカップケーキとか作って渡してるはずだから

私がお菓子作りを趣味にしているのは知っているはずだし・・・。



「柊!ありがたく貰っておきなさい!坂井が男にお菓子作るなんって、

 明日隕石が降るかもしれないことよ!!」


・・・それでも私は黙る。



「ありがとうございます、坂井先輩。」


「ううん、いいのよ。」


柊君には笑顔で返す。すると・・・



「私にもその笑顔を向けてよ!!!」


ついに我慢ができなくなったようで天野が泣きついてきたのであった。

結局、天野を許して頭を撫でてあげる。



「天野・・・いい加減にしなよ?」


「へへへ、ほどほどにします。」


「止めはしないんだね?」


「だって、私の生きがいだから♪」


そんな私達のやり取りを見ていた柊君が、



「ご愁傷様です、坂井先輩・・・。」


その顔は残念ですねと物語っていたのであった・・・



気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

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