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柊君へ  作者: Taさん
第二章
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坂井さん ~1~

坂井さんの話が始まります。

「ああぁ~、もう最悪・・・。」



部活を終えて、やっと帰宅だー!っと思って、

学校を出た瞬間に激しい雨に見舞われた。


慌てて、学校に戻ってきて、何とか雨風を凌げたのはいいのだが、

制服はびしょ濡れになってしまった・・・



「・・・雨で濡れた格好よりも汗で濡れたジャージの方がいいかな・・・。」


バッグに詰めていた部活のジャージやTシャツを取るのだが、



「・・・これは・・・無理だな・・・。」


手に取ると絞れるんじゃないかってくらいに汗まみれだった。

こんなの着ると余計に不快だよ・・・

そんな時だった、



「あの~、ジャージとかTシャツ貸しましょうか?」


私の横には1人の男の子がいた。

私が雨宿りのために学校に戻ってきたときに、

この子も雨宿りをしていたのは気づいていたのだけど。


身長は私よりはるかに高い。

だけど、うちの高校の生徒ではないことは一目でわかった。


着ている制服が全く違うからだ。


・・・この制服って・・・


どこかで見たことある制服であったが、正直わからなくて、

持っているバッグに目を向けて気づいた!


中学生だ!!!


“〇中”と書かれた校章がバッグに刻まれている。

〇中ってことは中学校なのは分かるのだけど・・・


春休みのこの時期に何で中学生が?

って一瞬思ったけど、理由はすぐに分かった。



推薦組か・・・


春休みに高校にいる子なんって推薦組以外考えられない。


私の嫌いな・・・推薦組・・・


そんなことを考えていると、バッグからジャージとTシャツだけではなく、

タオルと折り畳み傘まで差しだしてくれたのであった。



「え、あ!」


見知らぬ人で、そもそも嫌いな推薦組に施しを受けるということが嫌で

思わず断ろうとしたところで、



「柊!待たせてすまなかったな!!」


陸上部の顧問の先生が走ってこちらに来たのであった。



「いえ、大丈夫です。すいません、送迎してもらって。」


「なぁ~に!初めての登校だからな!

 しかもこちらが無理言ってきてもらったのに、

 雨で結局部活がなしになってしまったし。」


「それは全然問題ないです。

 降ったり止んだりしてましたから。」


柊と言われた中学生は、先生に連れられて車へと向かって行った。



「体、冷やさないように気をつけてくださいね。」


そんな言葉と共に衣服を私に渡して立ち去って行くのであった。



一旦部室に戻って、借りたタオルで体を拭き、

これまた借りたTシャツを着るのだが・・・


「やっぱりぶかぶかだね~。」


思わず苦笑してしまう。

この春から私は高校二年生になる。

彼は高校一年生になるのだろうけど、



「やっぱり男女の差って大きいな・・・。」


Tシャツの裾や丈を見ながら、

まるでパジャマのようになるのが笑えてくる。


借りたジャージのズボンは裾を折りに折って履き、

袖も相当たわました姿で家路につくのであった。


言えに帰って、妹からは、



「ぷは!?お姉ちゃん、ダサ!?」


大笑いされてしまうし、更には父親も



「あはははは!子供が頑張って大人の服着てる感じだな!!」


そんな笑いが湧き上がったので、



「ぐふ!?・・・父親を何だとおもってるんだ・・・。」


父の腹に正義の鉄槌を繰り出すのであった。

その光景を見た妹は一目散に逃げて、

母親の陰に隠れるのであった。



「ほら!お風呂に入っておいで!濡れた服は全部洗っといてあげるから。」


「・・・はーい・・・。」


母親に言われるがままお風呂でぬくもっている時に



「あれ?・・・どうしようか・・・。」


そう言えば借りたジャージ類を返さないといけないことを思い出したのだ。

まあ、明日学校に行って陸上部の人に渡してもらおう。


そんなことを考えながら私はゆっくりとお風呂で温まっていくのであった。

次の日にあんなことなるとは全く想像もしていなかった・・・




「おはよう、坂井。なーにー、その大荷物は?」


「おはよう。いや~、昨日雨に濡れてね、

 近くにいた子がジャージとか貸してくれたんよ。

 それでそれを洗って持ってきた。」


最初はカバンに詰めようと思ったのだが、

やはり男性の衣服なので意外と嵩張ってしまう。


更には自分の部活道具もあるとカバンに入りきれなくなって、

結局別の袋に入れてもってくることになったのだ。



「・・・っていうか、天野、登校早くない?いつもギリギリにしか来ないのに?」


「まあね。今日は何っていうか・・・大人の余裕?」


「・・・同じ年なのに?」


「ふふふ、一歩大人の階段を上ったのよ。」


「・・・朝からエロいネタで・・・。」


「まあ、お子ちゃまの坂井には分からないかもしれないわね。」


「そりゃ~、どうも!お子ちゃまですいませんね!」


私がへそを曲げたのを確認して、にたりと笑う友人の天野・・・


本当に性格が悪いこいつは・・・



「まあ、冗談はさておいて、今日は中学の時の後輩が4月から

 ここの高校に入学することになったから、案内がてら一緒に登校したのよ。

 その子に合わせたからいつもよりだいぶ早い時間に着いちゃったの。」


「ああ、そういうことね。

 っていうか、早くない?こんな時期に登校を確認するって?

 だって、まだ入学式まで2週間以上あるけどね。」


「ああ、その子、部活があってね。

 何か、午前中はその部活の顧問が勉強をみるようになってるらしいのよ。」


「ああ、そっか。すでに入学までに宿題を渡されてたわよね・・・。」


この学校の嫌なところは、夏・冬・春休みの前に宿題を大量に出される。

まあ、長期休み中にすればいいっと思うところなのだが、

長期休み中は今のように午前中授業をしているのだ。


しかもその授業で、宿題の答え合わせをするという、

休みの宿題じゃないじゃん!?って思ってしまうシステムだ・・・。



「じゃあ、その子、推薦組なの?」


「いや、一般。」


「・・・何で一般なのに春休みから来てんのよ・・・。」


「何か、校長先生から呼ばれたらしいわよ。

 ほら、うちの高校の校長先生って陸上の偉い人でしょう?」


「!?え、天野の後輩って陸上部?」


「そうよー、言ってなかった?」


「言ってない!もしかして柊って名前?」


「おぉ!!よく知ってるね!!柊だよー!

 ・・・は!?もしかして・・・


 狙ってる?」


「・・・どうしてそんな思考になるのかを一度頭を覗いてみたいわ。

 さっき話した借りた相手が柊君だったのよ!!」


「そんなマンガみたいな!」


「いやいや、冗談じゃないって!!」


「・・・そんなに真剣に・・・


 狙ってるね・・・。」


「だーかーら!狙ってないっていってんじゃん!!

 借りたモノを返したいの!!だから、紹介してよ!!」


「そっか・・・

 だけど・・・

 残念だけど・・・


 柊は彼女いるよ?」


「そっちの話題から離れてよ!!

 もう!会話が進まないじゃない!!」


「坂井・・・。」


「・・・何よ?」


「そろそろ飽きた・・・。」


「ボケてたのあなたでしょう!!

 私は真剣な話をしていたの!!」


「はいはい・・・。

 じゃあ、今日お昼一緒に食べる約束してるから、

 坂井も一緒に食べる?どうせ学食行くでしょう?」


「それはいいけど・・・。

 天野、私に同意も取らずに一緒に食事に行くつもりだったの?

 私達一緒にランチ食べてるじゃない・・・。」


「さぷら~いず!!」


「そんなサプライズいらないからね!!」


その後も天野との会話は先生が来るまで続けられるのであった・・・。

つ、疲れる・・・


だけど、天野の後輩が柊君とはね・・・


世間は広いようで狭いな・・・



気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

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