入河ちゃん ~26~
入河ちゃんの話です!
お疲れ様会として、先生がおごってくれる焼き肉が開かれるようになったので、
私は母の車ので現地へと送ってもらう。
「今日は本当に残念だったわね・・・。」
「そうだね・・・。」
「もう!あなたがそんなに落ち込んでどうするの?
一番ショックなのは本人のはずなだんから、励ましてあげなさいよ!
・・・元カノさんからもお願いされてるんでしょう?」
ニヤニヤしている母がちょっと腹ただしいのだが・・・
「入河ちゃん!わざわざありがとう!」
天野先輩や坂井先輩の卒業式の日に、私は坂井先輩に花束を渡しにいった。
色々あったけど、本当に優しい先輩で、いっぱいお世話になったのだから当然。
「坂井先輩!!これで・・・これで会えなくなっちゃうんですね・・・。」
私が泣き出すと、慌てて私を慰めてくれる坂井先輩。
「ほら・・・泣かないで。笑顔で送りだしてくれる方が私は嬉しいんだよ。」
笑顔で私を励ましてくれる先輩に一生懸命を涙を抑えて、
笑顔で挨拶をしようと必死になる。
一緒に写真を撮って・・・
いっぱい最後の思いで話をして・・・
そして・・・
「私・・・柊君とは別れるからね。」
「・・・え?」
それは何事もないように平坦な感じで話しだす。
「柊君は・・・頭もいいし、モテるよね。」
「・・・。」
「私がいなくなった後も、きっとモテてモテて仕方がないはずだよ。
それを考えるだけで・・・私、耐えられないんだ。」
凄く悲しい顔をする坂井先輩。
「どれだけ、柊君は大丈夫だって言ってくれても、私は・・・。
だから、私は別れるの。足かせにならないためにも、次の恋を探してもらうためにも。」
「そんなのでいいんですか?だって、坂井先輩好きでしょう?柊先輩のこと?」
「ふふふ、好きだよ。誰よりも好きだよ。だからね、私はある賭けをしたんだ。
柊君が私を1年間ずっと私を好きだったら、迎えに来てってお願いするの。」
「・・。」
「1年間私からは連絡も取らない。
だから、それでも私への思いが変わらないなら迎えに来てて。
まあ、今からその話をするから、どうなるかは分からないけどね。」
「・・・。」
「私は柊君の傍に1年間いないわ。宜しくね、入河ちゃん。」
「・・・私が取っちゃいますよ。」
「入河ちゃんだったらいいよ。」
「そんなのずるいし・・・。」
「ふふふ、大人のずるさだよ。」
「・・・2歳しか変わらないですよ。」
「それでも2歳上なんだから、お姉さんじゃない?」
そういって、私をギュッと抱きしめてくれた坂井先輩。
「坂井先輩!」
後ろからたぶんバスケ部の後輩であろう子達から声がかけられて、
坂井先輩はハグをほどいて、
「柊君が辛くなった時には助けてあげてね。」
「・・・その余裕を奪いますから!僻ませますよー!!」
「うん!それじゃあ、お願いね。」
そういって坂井先輩は私の元から立ち去ったのであった。
“柊君が辛くなった時には助けてあげてね”か・・・
怪我をした柊先輩を見ていたから、こんな時が来ると分かっていたのだろうか?
坂井先輩しかその考えは分かんないよね・・・
私は今できることだけをしなくちゃ!
「頑張って励ましてくるわよ!」
「ふふふ、さすがは私の娘ね。何なら柊君をそそのかして、
歯学部に入れて跡取りにしてもいいのよ。」
「そ、そんなことまではさすがにできないよー!」
「じゃあ、お母さんに任せてみる?」
その後もギャーギャー言いながらお母さんと言い合っていると
私もいつもの元気が戻ってきたのを感じていた。
たぶん、お母さんは私のために気遣いをしてくれたんだろうな・・・
「ありがとう・・・。」
「素直なことは美徳よ。」
「じゃあ、行ってくるね!」
「気をつけていってらっしゃい!」
車を降りて、先生御用達の焼き肉屋へと私は行くのであった。
今日は誰が何を言おうと私は柊先輩の横をキープするつもりだった。
それは強敵の大賀先輩がいないため難なく出来た!!
「入河ちゃんもしっかり食べてよ。」
今日は私がと思って、焼き肉奉行を頑張っていたところ、
柊先輩から私もしっかり食べないと言われるが・・・
「今日の主役は柊先輩ですからね!
いっぱい食べてもらわないとダメです!!」
そういって、私は焼けたお肉を柊先輩のお皿へと入れていった。
「膝の手術はしないんですか?」
「うん、これで引退だし、踏ん張る必要もないからね。」
「そうですけど・・・。もしかしたら大学に行っても陸上したくなるかもしれませんよ?」
「ないない。お腹いっぱいだよ。」
「だって、推薦が来るくらい才能があるんですよ!」
「なーに?もしかして推薦であの大学に行って欲しいとか思ってる?」
「まったく!あそこの大学はホントむかつくので行かないでください!!
私も受験は絶対にしませんから!それに行くような人はちょっと軽蔑します!!」
「ははは、そこまで毛嫌いしてるの?
あそこの大学は鳥谷先輩がいってるのに~。」
「鳥谷先輩は・・・まあ、許してあげます。
だって、一年生の頃からずっと狙ってたんですよね?」
「狙っていたというか、親御さんがあそこの大学出身だからでしょう?
あそこの大学以外は認めないって言われてから、必死で頑張ってたしね。」
「それなら仕方がないですよー。
まあ、仕方なしですね。」
「上から言うね~。」
「それだけあそこの大学が嫌いになったんです!!
あ、野菜もしっかり食べてくださいね!サラダよそおいますね。」
そういって、柊先輩の空いたサラダ皿を受け取ってサラダを入れる。
「いいよいいよ。自分でそれくらい出来るしー。ほら、入河ちゃんも楽しんで、食べて。」
「大丈夫です!十分に楽しんでいますから。ほら、しっかりバランスよく食べてくださいよ。」
「・・・何か、お母さんみたいな・・・。」
「ふふふ、別に柊先輩とならいいですよ。」
「ウソでもそんなことは言わない!他の男の人に言うと勘違いされるよ。」
「はーい!気をつけます。」
・・・柊先輩以外には言いませんのでご安心を・・・
とは、口が裂けても言わないけど・・・
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




