入河ちゃん ~16~
入河ちゃんの話です!
初日の文化祭はかなり忙しいものの、無難に終わったのだが、次の日に事件が起こった。
その日も朝から天野先輩と坂井先輩が一緒にクラスに来てくれて、お茶を楽しんでいると、
「よぉ!天野!元気そうじゃん。」
そう言って、天野先輩に近づいてきた男の人がいたのだ。
「・・・何であんたがここに来てるの?」
「何でって、お前に会いに来てやったんじゃないか。
俺からの電話に一切出なくなりやがって!!」
大声で叫ぶ男の人に、目をそらさずににらむ天野先輩。
ただ、その手に持っていたスマホで何かを打ち込んでいる様子であった。
「とりあえず、話があるならここから出ましょう。
他のお客さんに迷惑だから。」
そう言って、立ち上がろうとした時に、その男が、天野先輩の肩を掴んで、
「まあ、俺もコーヒー飲みたい気分だからさ、ちょっと飲んでいこうや。
それにお前の友達も・・・なかなか可愛いし、紹介しろよ。」
そう言って、撫でまわすような視線を坂井先輩に送る男。
そのまま、坂井先輩の横の空いている席に座って、
「コーヒーをくれ。」
店員に向かってそう叫ぶ。
ただ、誰もが恐怖心で固まっていると、
「おい!!お客様の声が聞こえてないのかよ!!コーヒーをささっとだせよ!!」
大声でさけぶ。その声にますます恐怖心を覚えてしまう。
「ちょっとやめてよ!大声ださないで!」
「おおっとごめんよ。彼女の言うことは俺は真摯に聞くタイプだからな。」
「誰が彼女!あなたとは別れたでしょう!!」
険しい顔で天野先輩がいうと、次の瞬間・・
ドゴォ!
何と天野先輩の顔を殴ったのである。
吹き飛んだりはしなかったのだが、殴られたことで放心状態になる天野先輩!
更に男は天野先輩に近づくために立ち上がったところで、
ドーン!
私が見たのは長い棒みたいなものがその男の後ろに急に現れた映像で、
その棒が当たった瞬間に思いっきり、前のめりになって倒れ込んだ男。
「お久しぶりです。小淵沢先輩。」
そこには肩で息をしている柊先輩がいたのであった。
そこで柊先輩が蹴ったのが分かった。
天野先輩の様子を見た柊先輩は歯ぎしりをして、
ものすごい表情で男を睨む。
「何でお前がここに居るんだよ!!!柊!!!」
怒声を上げて、立ち上がる男に、
「小淵沢先輩、あんた、ストーカー規制法で200メートル以内への
天野先輩への近寄りを禁止されているはずですけどね。」
「たまたま、ここの高校の文化祭に来たら、いたんだよ。
そんな偶然にまで適用されるんのかよ?」
「あんたは知ってたんだろう?ここの高校に天野さんが通ってるのを。」
「ああぁ~ん?知らねえよ。」
「2年間更生してきても何も変わらずかよ。」
「うるせえんだよ!!!いつもいつも邪魔しやがって!」
その男が何とポケットからナイフをとりだしてきた。
「「「キャー!!!」」」
悲鳴がクラス内、すでに廊下まで伝播しており、悲鳴が響いていた。
そんな時、先生方の姿が私の目にも入ってきたので、
先生に助けを求めようとするも恐怖心で固まっていたり、
足が震えていて、前に動き出すことができないのであった。
そんな中でも柊先輩は動いている。
腰を落として、半身になって構えていた。
「その目・・・。」
「・・・。」
「その目だよ!!!」
「・・・。」
「その俺を見下した目を止めろ!!!」
ナイフを振り回して、柊先輩に抗議する男。
「・・・哀れだな。」
そう呟いた柊先輩の言葉に激怒した男は柊先輩めがけて、
ナイフを振り上げて、突進する。
そして、ある距離になるとナイフを振り下ろすのだが、
ストン
逆の上でを掴んで見事に地面に投げて、ぺたりと座ったような状態へと男を倒したのである。
速すぎて何をしたのか説明ができないけど!!
気がつけば男が片腕を引っ張られた状態で、
地面に座り込んでいる光景になっていた。
そして、ナイフを持った逆の手は地面についており、
その瞬間を柊先輩が見逃さずに、蹴ってナイフをどけて、
更にはその手を踏みにじる。
「いてぇ!!!!」
叫ぶ男に対して、
「警察に電話を!」
柊先輩からの指示が出るのだが、
先生がその支持を止める。
「何言ってるんですか?刃物を持った男が暴れたんですよ??」
「ですが、ここで警察を呼べば、高校の評判が下がります!!」
この期に及んで何を言っているんだこの先生達は!!
その世間体を気にしている場合ではないだろうに!!
その後は後から来た先生達に縛られて男が連れ去れて、
関係者と思われる天野先輩と柊先輩が一緒に行った。
「さあさあ!あなた達!ぼっとせずに再会しなさい!」
先生にそう言われるのだが、こっちはそんなテンションにもなることはなかなかできず。
何とかまた再開したが、先ほどの恐怖心はおさまることはなかった・・・。
「何とかあと一時間だね。」
ちょっと興奮気味の友達にそうだねっという。
あの事件が起きた直後はみんなが固い表情で接客をしていたが、
徐々にその恐怖心も和らいでくると、さっきほどの逮捕劇が思い出されて、
男子達などは接客そっちのけで、その場面の再現をするほどであった。
ただ・・・問題も一点あって・・・
思ったよりも客足が伸びなかったのである。
どうしても事件があったせいで、午前中はお客があまり来ず、
昼からは何とか戻ってきた物の、予定よりも少ない結果となり、
どうしようとかと言い始めた時だった。
「2名で。」
そこには柊先輩と天野先輩がまた来店してくれたのである。
「大丈夫でしたか?」
「こっちは大丈夫だけど、そっちは大丈夫?」
「私も大丈夫ですよ。」
私が席に案内し、メニューを差し出すと、
「あとケーキとかってどのくらい残ってる?」
「ええっと・・。」
そう言って在庫数を教えると、
「私と柊が全部買うから!」
「あ、天野先輩!?」
思わず私が驚くと、
「いいのよ。明らかに売れ残ってるのは私のせいだしね。」
「そうそう。それに遠慮しなくていいよ。
天野先輩って、お嬢様だからね。」
柊先輩から教えてもらった名前の会社は私も良く聞く会社であった!
「え?え?」
「残念ですね、天野先輩!お嬢様にはどう頑張っても見えないみたいですよ!」
そう言って笑う柊先輩の顔面にメニュー表でたたく天野先輩。
「私みたいなお淑やかな女性に何をいうのよ!
そう思わない入河ちゃん!!」
「・・・。」
お淑やかな女性が、メニュー表のしかも角で人の顔を叩くなどしないと思い、
何も答えられなかった・・・。
「だから、気にせずに。クラスのみんなに配るから、箱に詰めるか、袋詰めしてくれる?」
先輩達に言われるがまま、箱に入れて先輩達に渡すと、
「ありがとうね。今度、ご飯でも食べに行こう入河ちゃん。」
天野先輩と柊先輩が買って行ってくれたのであった。
「・・・かっこいいね・・・。」
「・・・うん・・・。」
颯爽とさっていく2人をみんなで見送るのだった。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




