入河ちゃん ~9~
入河ちゃんの話です!
「いよいよね!!」
私の横には嬉しそうに応援している母がいた。
日よけ対策のため、日傘とつばのある帽子、大きなサングラス、
腕と首元にもしっかりと日焼け対策が施されていた。
そこまでしなくてもいいのでは?と思うほどのバッチリな日焼け対策である。
・・・どうしてこうなったのだろうか・・・。
今日は県大会なのだが、出場する選手は当然のこと競技場に来ているが、
任意で応援する部員は来ている。
私は当然応援に来たのだが、なぜか母も一緒に来たのである。
「私も昔陸上部だったから観たいのよね!」
スポーツ好きな母であるため、興味を持つのは分かるのだが、
私が中学の時に入っていたテニス部には顔を出さなかったはずなのに
どうしてか高校の陸上部には興味を示したのであった。
確かに昔、陸上部だったのなら分かるけど・・・
「それにしてもすごいわね~。県大会の決勝って言うのに、選手が2名残っているの。」
「そうだよね。私もそう思うよ。」
私達のいるスタンドの目下では柊先輩と松本先輩がスタート位置に待機している。
「第五レーン!柊君!○○高校!」
柊先輩の名前が呼ばれると片手をあげて、挨拶をする。
その挨拶に対して、みんなが大きな声で声援を送ている
「第七レーン!松本君!○○高校!」
今度は松本先輩の名前が呼ばれて、松本先輩はすぐに礼をする。
「こんな所でもそれぞれ違いがあるんだな・・・。」
私は陸上を始めたばかりだし、試合経験もないので、
凄い新鮮な気持ちになる。
「私の時はどうしようかな・・・。」
そんなことをぼやいていると、
「・・・それは決勝に残れるくらいの実力をつけた時に考えなさいよ。」
「・・・分かってるわよ・・・。」
母から厳しい言葉を言われるが、その通りだ!
まずはしっかりと練習してからの話だ。
「オン・ユア・マークス。」
スターターの声が響く。するとスタートの構えをする柊先輩達選手。
そして、各々ゆっくりと時間を使って構える。その動きが制止したタイミングで、
「セット。」
その声と共に腰を上げる選手たち。
そして、
「パン!」
一斉にスタートを開始した。
柊先輩はまずまずのスタートでトップ2人が少し先を行っているが、
3番手で一台目のハードルを飛ぶ。
ここからは3人がドンドン飛び出していく形になった。
3コース、4コースの選手が前に行き、一歩遅れて柊先輩だ!
4コースの選手は少しずつ2人を離していくのだが、
そこを柊先輩は追っていくような感じで、
前にいた3コースの人との距離を少しずつ詰めていく。
いった!?
ゴール付近でギリギリ3コースの選手を捉えられたか?という風にスタンドからは見れた。
「どっちが2位かな。」
興奮気味に話す母に、
「ここから見た感じだと追いつけたような気もするけど・・・。」
そんなことを言っていると、
「ただいまの試合、県レコードを樹立しました!」
そんなコールが競技場に響くのであった。
「すごいね!!何十年って破られてなかった県レコードが
破られた瞬間を目の前で観れる何って!!」
「本当に!こんなことってあるんだね!!」
親子で興奮するのであった。
そんな中、スタンドの前方を柊先輩が歩いているのを見かけた。
「あ、柊先輩!!」
思わず私は立ち上がって、柊先輩の元へと向かう。
急いで階段を下りて、
「お疲れさまです!」
「おお!お疲れさま。」
「すっごくカッコよかったです!!」
「カッコよかったって・・・。」
「ホントですよ!!むっちゃく早くってすごかったです!!」
「あはははは、ありがとう。だけど、決して一位とかじゃないんだけどね。」
「私の中ではぶっちぎりですよ!結局何位だったんですか?」
「ああ、まだわかんないけど、感触的には追いつけてない感じかな。」
「ええ!?そうなんですか!?」
「うん。ギリギリ追いつけなかったと思う。」
「いつも娘がお世話になっております。」
私と柊先輩が話している中に急に母が話しに割り込んできた。
「あ、いえ、こちらこそお世話になっております。
・・・本日は応援に来ていただけたのでしょうか?」
「そうなのよ!ものすごく興奮させていただきました!」
「わざわざ応援に来ていただいてありがとうございます。
入河さん、お母さんをうちのテントに案内してもいいんだよ。
こっちだと日蔭もないし、暑いだろうから。」
「いいえ!こっちで見る方が選手も近くに見えるのでいいんですよ!
それよりも服着なくて大丈夫ですか?」
「はい。これからリレーの決勝もあるので、このままスタート位置に向かうんです。」
「リレーも6コースって聞いてますから、入賞圏内ですね!
是非、入賞目指して頑張ってくださいね!!」
「ありがとうございます。」
そう言って立ち去ろうとする柊先輩に私も
「ここで応援してますので!是非頑張ってくださいね!!」
「ありがとう。」
スタート位置に向かう柊先輩を見送ったのであった。
「すごい爽やかな好青年って感じの先輩ね!
何か纏ってるオーラがあって、思わず敬語で話しちゃったわよ。
すごいファンになりそうだったわー。」
母が頬を赤く染めながら笑っている姿を見ると
・・・ちょっと複雑な気持ちになったのは言うまでもない・・
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




