入河ちゃん ~4~
入河ちゃんの話です!
それからもずっと柊先輩から付きっきりで
ハードルを教えてもらうことになった。
・・・ハードルが全然飛べない・・・
練習を始めて数日が経つと言うのに私は一台もハードルが飛べないのでいた。
横では平田君がひょいひょいとハードルを飛んでいるというのに・・・。
「今日はハードルの練習は高さを無視してやろうか。」
柊先輩はいつもの笑顔で私が練習するハードルを並べてくれる。
そして高さを一番下にして、更には普段使うハードルとは違う
柔らかいハードルを用意してくれたのであった。
先生に掛け合ってまで・・・
「わざわざすいません・・・。」
「いやいや、先に言っとくけど、入河さんが飛べないのは俺のせいだからね?」
「な、何でですか!?」
「教え方が下手なんだよ。だから、全然入河さんは悪くないんからね。」
「そんなことないですよ!!」
「その元気があればまだまだやれるね。」
そう言って、柊先輩は一緒にハードルの練習をしてくれる。
「このまま歩いてハードルの所に行こう。」
そういって、見本を見せてくれる
本当に歩いて行って、ハードルをただ単にまたぐだけである。
「さあ!入河さんの番だよ!!」
そう言って、私がまたぐのを促してくれた。
私は言われるがまま、ハードルの傍まで来て、跨いでいく。
「よし!完璧だ!!」
そう言って、私の頭を撫でてくれたのだ。
本当にただそれだけなのに、私の気持ちはグッと熱くなっていく。
「ま、まだ、一番低いんですよ!」
「大丈夫だって!要領はこれと一緒なんだよ。」
「え?」
「よく練習でも低くして跨ぐ練習をするんだよハードルは。
この感触を忘れないようにするんだよ。」
「はい・・・。」
何か腑に落ちない感じだったのだが、
私にこれが劇的に変化をもたらすことになったのだ。
「じゃあ、次はジョグくらいのペースで行ってみよう。」
そう言って、見本を見せてくれて、今度は私が飛ぶ時には横にいてくれる。
徐々に近づいてくるハードルに対して・・・
「今!」
その声と共に私がジャンプすると見事にハードルを飛び越えることが出来たのであった!!
「出来ました!!出来ましたよ!!」
私が嬉しそうにしていると柊先輩とハイタッチを交わして、
「ほら~、出来るじゃん!入河さん、やっぱり出来る子やね。」
そう言って、褒めてくれるのであった。
「そ、そんな褒めても・・・。まだ一番下ですよ?これより高いんですよねハードルって?」
「そうだね。だけど、もうちょい高いだけだよ。」
「ホントですか?何か柊先輩ウソつきそうですよ・・・。」
私のジト目にまた笑って、私の頭を撫でてごまかすのだ。
「ひどいな~、ウソつきって。」
「シレっといつもウソついてるじゃないですか・・・。」
先日も私達新入部員の歓迎会をするということで、
出欠を取っていた時のことである。
先生には黙ってやっていたのだが、
女子部員の1人がその紙を落としてしまい、
その紙を先生が拾ってしまったのだ。
「なんだこの紙は?」
先生がみんなに問い詰めている中で、
柊先輩が、
「それは今度の模試の勉強会の出欠ですね。」
「うん?どういうことだ?」
「いつもは一緒に勉強してるじゃないですか。」
「そうだな。」
「だけど、人によっては1人で勉強した方がいいっていうタイプもいるでしょう?」
「それはそうだが・・・。
これはみんなの気持ちをつなぐ意味も込めての勉強会だぞ。」
「そうですけど、それを押しつけるわけにはいかないでしょう?」
「・・・まあな・・・。」
「それで一応出欠を取っていて確認をしてたんですけど・・・。
ちょっとその紙を見せてもらっていいですか?」
「ああ、ほら。」
「う~ん、やっぱりみんな参加ですね。
やっぱりこんな風にみんなに公開する出欠確認だと嫌でも欠はかけないですよね。」
「そうだろうな・・・。みんなの視線が気になるだろうし。」
「ちょっと失敗ですね・・・。」
そのまま先生とどうしたらいいのかを確認して、
ただ、先生は全員参加の強制にしたいと言い張ってしまい、
「仕方ないですね・・・。」
そんなことを言って、紙を返してもらい。
事なきを得たことがあったのだ。
「あの時、シレっとウソついたじゃないですか!!」
柊先輩を問い詰めるのだが、
「そんな昔のことはとうに忘れたよ。」
「いや!絶対に覚えてますって!」
「・・・入河さん。」
「はい?」
「そんな細かいことを覚えてると、将来大きな人間にはなれないよ!」
「そんな細かいことじゃないですよ!!
それもつい先日のことじゃないですか!!
絶対に柊先輩覚えてるでしょう!!」
そんな私の追及を何の苦もなく交わすのであった。
結局、この後一週間は私は一番低くしたハードルを飛ぶ練習、
更には連続して並べたハードルを飛ぶ練習をするだけであった。
「まずは、しっかりとハードルを飛ぶ練習だよ。」
「そうですけど・・・。」
「まだまだ、入河さんは夏まで時間があるから大丈夫!」
私はその言葉を信じて、じっくりと飛ぶ練習をするのであった。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




