表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
柊君へ  作者: Taさん
第二章
63/254

福留先輩と大賀さんと城田さんと時々、私(松田さん) ~17~

積極的な大賀さん、腹黒い福留先輩、奥手な城田さんと松田さんの話です。

その日の帰りもいつもの焼き肉屋で焼き肉を食べていた。

泣く子もいれば、笑っている子もいた。


そんな中で、


「松田先輩、城田先輩、今日、柊先輩と二人だけで帰っていいですか?」


真剣な顔をして私達に告げてきた入河ちゃん。

私達はうなづいた。


ご飯を食べ終えて、いつもだったら、私達と一緒に行く柊君と入河ちゃんは

別の方向へと2人で行くのであった。


この夜・・・私は不安で眠ることは出来なかった・・・。




次の日の朝一に、入河ちゃんからメッセージが届いた。


“ダメでした”


短い文章だけど、それがすべての答えなんだろうな・・・。


次の日の部活には柊君は姿を現すことはなかった。

一応、みんなには先生から伝えられたのだが、

イマイチ実感はわかなかった。


特に専門に分かれて練習するのだが、柊君が1人いなくなるだけで

活気が失われたようになった。


特に元気がないのは入河ちゃんであり、

その理由も分かっているので、どう励ましていいのか・・・。


ただ何となくでハードルの練習をしていると、


「そんな適当にしていると怪我するよ。」


そう言って柊君が現れたのであった。

それも松葉杖をついてである。


「ど、どうしたんですか!?」


入河ちゃんが慌てて駆け寄るのだが、


「ちょっとやっぱり無理しすぎたみたいで、朝から腫れてたんだよ。

 そしたら、案の定痛めたみたいで2週間ほど安静にすることになった。」


笑いながら伝えてくる。

その笑いがみんなの中で変な空気を払拭してくれた。


「入河ちゃんは、まだ怖いんだろうけど、十分に飛べる技術はあるんだから、

 怖がらずに飛ぶんだよ。それと松田さんは歩数合わせに意識がいきすぎだよ。

 前をしっかりと見るようにしないと。城田さんは・・・。」


それぞれみんなに指示を出していってくれる。

これがうちの部活なんだ・・・

いつまでも柊君に頼っていたんだな・・・


それを実感した。


「また見てくれるんですか?」


嬉しそうに聞く入河ちゃんに、


「金曜日だけね。一応クラブも陸上クラブだし、

 その時は参加するけど他の日は・・・来ないかな。」


「ええ!?来てくださいよー!お茶!お茶が出ますよ!!」


そう言って熱中症対策のお茶を差し出すが、


「それは選手に飲ませてあげてよ。俺はいらないよ。」


「うう・・・。」


「それに大丈夫だって、みんなすでに技術は持ってるんだから。」


その言葉だけで安心できるのは私だけなんだろうかな・・・

いや、みんなもそうなんだろうな・・・


周りを見るとさっきまでとはうって変わって、自信を持った顔をしていた。


「夏の試合はこれからだからしっかり頑張ってね。」


「はい!!」


ものすごく暗い顔をして、沈んでいた入河ちゃんが嘘のように明るくなった。

こうなるとやっぱりハードルチーム全体も明るくなっていく。


そして帰ろうとしていた柊君に、


「柊先輩、大学どこ受けるんですか?」


「○○大学の基礎工学部。」


「ええ!?めっちゃ難しいじゃないですか!!」


「そう?今の偏差値でA判定だからいけるかなと思って。」


「・・・分かりました。」


「うん?」


「私も○○大学の歯学部受けます!!!」


「マジで!?」


「はい、家は歯科なので、家を継ぐ必要がありますから!!」


そう断言した入河ちゃんだった。


「入河ちゃんの成績だといけるだろうけど・・・まあ、無理しないようにね。」


そう言って手を振って帰っていく。



「はぁ~・・・自分が嫌になります。」


そう呟く入河ちゃん。


「どうしたの?」


「柊先輩に凹まされて、柊先輩に励まされるって・・・。

 それに勢いで受験するって言っちゃったし・・・。」


思わず苦笑してしまう悩みだ。


「だけど、そんなモノじゃないのかな、恋するって?」


「・・・そうですね。だけど、今回は思ったよりも凹んでない自分に驚きです。」


「・・・え?今回は?」


「・・・私、実はこれで柊先輩に2回目です告白するの。」


「ええ!?」


「去年もしたんですけど、その時は全く手ごたえがなかったです。

 だけど今回は少し・・・いや、だいぶ揺らいでいる気持ちが分かりました。

 だから、まだまだ諦めません!!」


そう断言して元気にハードルの練習を再開するのであった。


私が知らないだけで、実はみんな一歩も二歩も進んでいるのでは?と不安になってしまう。




夏の試合も順調に消化していき、私達は部活の引退を迎えた。

そのお疲れ様会を後輩たちが開いてくれた席のことである、


お疲れ様会には大学に行った先輩達も参加しており、

あの福留先輩もそこには参加していた。


「あいも変わらず、お盛んだね大賀さんわ。」


ニヤニヤしながら私に近づいてくる


「それに・・・あの子、入河ちゃんだったっけ?あの子も近づてい来るとはね。」


ちゃっかりと柊君の横を獲る入河ちゃん、柊君の正面に座る大賀さん。

逆サイドは男子がいて座れない。


「松田ちゃんは思いを伝えたの?」


「い、一度だけ・・・。」


「その返事は?」


「・・・断られました。」


「一度だけってことは・・・まだ好きなんだね?」


「・・・はい・・・。」


その言葉にうぅ~んっと考え込む福留先輩。


「私もさぁ、事あるごとに告白してたんだよね。」


なんとなく想像できる・・・


「その時に、柊君も当然人だから揺らぐんだよね。」


「え?どういうことですか?」


「たぶん、あと一押しすれば・・・と思った時もあった。」


「え!?」


「だけど、その時にちょうどタイミングよく彼氏から電話がかかってきた・・・。」


「それは・・・何といいますか・・・・。」


「まあね。だけど、あの時、彼氏からの電話がなければ押し切れたと思ってるのよ。

 意外と一途な思いを伝えればOKしてくれると思うわよ。」


「・・・その後はどうしたんですか?」


「・・・柊君に彼氏がいるとバレてからは友達以上には接してくれたりはしなくなった・・・。」


ちょっとへこむ福留先輩であったが、


「だから、思いを伝え続ける気持ちがあるのなら、きっと落とせると思うわよ。」


「そうなんですかね・・・。」


「経験者談として受け取っていいわよ。」


「だけど、それなら大賀さんも一年の時から好きって言っていると思いますけど・・・。」


「あの子も彼氏は大学にいるからじゃない?」


「え?」


「知らないの?あそこの大学に彼氏いるわよ、彼女。」


「・・・え?え?それで柊君も狙ってるんですか!?」


「そうよ。彼氏が1人でも2人でも3人でもって考えてるんじゃないの。」


「・・・。」


その言葉に呆然としてしまう。


「だから、別に何度フラれても構わないし、

 いや、彼女の中ではプライドを傷つけられたからむしろかもしれないけどね。

 より一層狙っているんだと思うわよ。」


「・・・いいんですかね?」


「いいんじゃない。最終的に誰を選ぶかでしょう?

 柊君何って将来有望株なんだから狙うのは当然だと思うわよ。」


もう福留先輩の言葉に何も出てこない。

ただただ呆然としてしまう。


「それと、私今フリーになったからね。」


そう言ってウィンクをしたと思ったら、柊君の所へと行くのであった。

どうやらめんどくさい敵がまた戻ってきたようだ・・・。


2次会のカラオケではみんながいると言うのに、

息をするように好きだと伝えている福留先輩。


周りの人が引いていていも気にしない人・・・


そう言えばそんな人だったな・・・


大賀さんも苦々しい顔を浮かべている。

ただ、柊君もハッキリと、


「お断りします。」


みんなの前で宣言するのであった。


「別に今すぐに好きになってもらう必要はないからね。」


柊君の断りが一向に心に響いていないように対応をする。

だけど、距離の取り方がうまい。


ウザがれることなく、一定の距離を保ち、隙あらば距離を詰める。

正直見ていて、凄いなと感心してしまうくらいだ。


結局、私もそんなに話をすることは出来なかったのだけど、

正直言って内心では焦っていた。


3人の言葉に行動に柊君が靡いてしまうのではないかと・・・。

だから、私はまた告白をする。



気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ