福留先輩と大賀さんと城田さんと時々、私(松田さん) ~14~
積極的な大賀さん、腹黒い福留先輩、奥手な城田さんと松田さんの話です。
私達が試合会場に着いたときには、
すでに柊君は試合に向けたアップを開始に行った後らしくて、
私達も声をかけにサブグラウンドへと向かう。
すると入り口付近には柊君と共に大賀さんがいたのであった。
大賀さんはマネージャーなのでここに居てもおかしくないんだけど・・・
「すごいですよね・・・。俺達追い返されたましたから。」
そういって、私達の姿を見かけて男子の後輩たちが私達に声をかけてきた。
「お疲れさま。大変ね~。」
そう声をかけるのだが、苦笑する後輩たち。
「まあ、柊先輩の方が大変でしょうしね。」
そう言って、柊君の方を指さす後輩。
その視線の先では、甲斐甲斐しくタオルを渡したり、飲み物を渡す大賀さんがいた。
しばらくすると大賀さんがこっちにきて、
「このタオルとこっちのジャージ、テントに運んでおいて。」
そう言って、後輩たちに渡すと同時に、
「これから柊君、レースの最終コール受けにいくから。」
それだけを言って、また柊君の元へと向かって行く大賀さん。
「・・・こ、怖いね。」
城田さんの言葉に私もうなづき、後輩の子達もうなづいていた。
そんな中、1人入河ちゃんだけが走り出して、
「柊先輩!!」
あの大賀さんの雰囲気にも負けずに柊君へと近づいていったのであった。
・・・私にあの行動はできないな・・・
「・・・とりあえず、テントに戻ろうか。」
私達はテントへと戻ったのであった。
大賀さんと入河ちゃんは2人付き添いで向かっていた。
その後、ハードルの選手がスタート位置に集合する頃になって、
スタンドの最前列部の通路を大賀さんと
柊君の荷物を抱えた入河ちゃんが歩いていったのを見かけた。
マネージャーや後輩がいる学校では、試合直前まで来ていた服などを
ゴール付近にまで持って行くところもある。
うちの学校でも同じようにしており、
これに慣れさすことで自分達の試合の時に困らないように体験させている。
「・・・すごいね。入河ちゃんって。」
「ねぇ・・・。あの大賀さんに負けないなんて・・・・。」
私と城田さんはしみじみとうなづきあった。
その後の柊君の予選では、その組の1位となり、予選突破を果たしていた。
私達はスタンドの上部から柊君を見ていたのだが、
試合後になぜか審判団に連れられてどこかへと行ったのであった。
「柊君どこかに連れていかれないな?」
その声にみんながゴール付近を見る。
その視線の先には審判団に囲まれた柊君がおり、
そのままどこかへと連れていかれようとしていたのであった。
慌てたのは先生で、すぐにテントから飛び出して、ゴール付近へと向かう。
他の選手も向かっていく中、私も一緒に向かう。
しばらくは何が起きたのか確認できないままでいたのだが、
10分後に審判団から解放された柊君がひょっこりと戻ってきたのであった。
「大丈夫か!?」
先生が慌てて柊君が出てきたところへとむかう。
「え!?」
その行動に柊君が驚いていた。
その後も大賀さんや入河ちゃんがすぐにかけようると、
不思議そうな顔を浮かべる柊君。
「ただのドーピング検査ですよ」
苦笑しながら話をしてくれる。
たまにランダムでドーピング検査が実施されており、
たまたま柊君がそのドーピング検査の対象になたとのことだった。
「審判にジッと見られてるから、出るものもなかなかでなかったですよ。」
苦笑している柊君だが、
どうやら柊君は以前にもドーピング検査をされたことがあるらしくて、
ゴール直後に声をかけられて、“またドーピング検査か”と分かったらしくて
落ち着いて対応したとのことであった。
「「「すご!?」」」
みんなが驚く中、平然としている柊君であった。
男性陣はその後の詳細を聞いているのだが、
女性陣はちょっと恥ずかしくて直接聞くことは出来なかった・・・。
・・・気にはなるけど・・・。
柊君は決勝も順当に買って、地方大会へと駒を進めた。
うちのテントでは大盛り上がりになっていた。
「よし!お前たち!今日は焼き肉をおごってやるぞ!!」
テンションが上がった先生がついには私達に焼き肉をおごってくれることになった。
会場は学校からほど近い、焼き肉食べ放題の店だった。
男子のリレーは県大会敗退という結果になったため
一人勝ち上がった柊君が話題の中心となった。
いつからハードルを始めたとかの質問から始まって、
私の知らいないことがいっぱいあった。
「アレだけ早いと推薦とか来ないんですか?」
そんな何気ない質問を入河ちゃんがすると、
「来てるんだよ!!」
嬉しそうに答えるのは顧問であった。
どうやら去年の新人戦の九州大会でとある大学から推薦がきていたらしい。
「「「すごい!!!」」」
みんなから喝采を浴びるのだが、柊君は冷静に焼き肉を食べていた。
「いやいや、そこはもっと胸を張ったり、興奮してもいいところでしょう!!」
「いや、別に・・・。」
「どーして!当事者が興奮しないんですか!!私、その話を聞いて鳥肌が立ちましたよ!!」
興奮気味に話す入河ちゃんに冷静に答える柊君。
どうやらその興奮が柊君には伝わっておらず歯がゆいような顔をしている。
すると先生が、
「柊は推薦で大学いかないのか?」
「はい。」
「「「「えええええ!!!!」」」
ここでみんなからの声が店内にこだましたのであった。
「だって、推薦あったの超有名大学じゃん!!」
「普通に受験しても入れないかもしれない学校だよ!!」
「・・・いや、柊君なら入れるのか・・・。」
それぞれ思い思いの言葉を述べるのだが、
「別に大学に入ってまで陸上をしたいとは思ってないし。」
「こんなに早いのに!?」
同級生の男子キャプテンが驚いていた。
「・・・みんなだって、俺と大してタイムは変わらないだろう?」
「それは100メートルはそうだけど、ハードルは別格じゃん!!」
「・・・俺らの代には2人ほど化け物がいるからね。
その相手をするのにもホトホト疲れたよ。」
苦笑しながらいう柊君に私は柊君の言った2人を思い出す。
全国1、2位を獲る2人。
先ほど聞いた話では中学の時からこの2人がいて、
大きな大会で一位がとれないのはこの2人になかなか勝てないからと言っていた。
「けど、今日の試合では勝ったじゃん!」
「あれは、あいつのスタートミスだろう。実力では普通に勝てない。」
「運も実力のうちっていいますよ!!」
「それもそうだけど、その二人でも大学生とか相手にすると勝てないんだからね・・・。
俺の実力も大体わかるよ。だから、俺は陸上ではなくて、頭で大学にはいこうと思ってるんだ。」
「・・・・。」
みんなが黙ってしまう。
「けど、もったいないですよ!!!」
それでもなお食い下がろうとする入河ちゃん。
「ありがとう。」
そう言って、また柊君は焼き肉を食べ始めるのだが、
「この空気でまた焼き肉食べる始めるんかい!!」
っていうツッコミを受ける柊君。
その後は終始和やかに過ごしたのであった。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




