福留先輩と大賀さんと城田さんと時々、私(松田さん) ~2~
積極的な大賀さん、腹黒い福留先輩、奥手な城田さんと松田さんの話です。
「今日はこれから部活動紹介だから、旧武道場に新入生は集合だって。」
そう言いながら私と矢田さんは一緒に旧武道場を目指す。
「そう言えば、矢田さんは何か部活にはいるつもりなの?」
「私?バレー部に入るか検討中。」
「中学からバレー部だったの?」
「そうなんだ。というか、小学校の頃からバレーの地域クラブに入ってたんだ。」
「そっかー。なら、バレーだよね。」
「そう、それにここのバレー部は推薦組がいないからね。」
「・・・推薦組?」
私の質問にアレ?っという顔をする矢田さん。
「もしかして松田さんは推薦組を知らない?」
「う、うん・・・。」
知らない私に矢田さんが紹介してくれる。
うちの県では公立高校は1割の人数を推薦で採らなければならない決まりがあるらしくて、
うちの学校はその1割を勉強とか生徒会とかの推薦では採らずに、
運動系の部活の推薦に当てているらしい。
「だから、野球部とか甲子園に出てるでしょう?公立なのに。」
「そうだね・・・。」
私はてっきり、努力の成果で普通の生徒が勝ち取ったと思っていたのだが、
毎年野球部では10人以上の選手を獲ってくるらしい。
そうなると推薦組でもベンチにも入れない選手が出てきて、
一般で入る生徒何ってレギュラー何って夢のまた夢らしい。
うちの学校では、野球部、バスケ部、剣道部、体操部、水泳部、
そして陸上部が推薦組が入っているらしい。
だから、バレー部には推薦組がいないので、
一般の生徒も十分にレギュラーを狙える部活だから
矢田さんも部活に入ろうかと考えているとのことであった。
「松田さんは何か入るの?」
「私は中学はバトミントン部をやってたんだけど、
この高校バトミントン部ないから。
どうしようかと考えていたんだ。
テニス部とかでもいいかもしれないかなって思ってるけど。」
「テニス部か・・・・。」
ちょっと言い難そうにする矢田さんに、
「テニス部って何かあるの?」
「いや、テニス部って、さっき言ったように推薦組はいないんだよ。」
「?それっていいことじゃない?」
「そうなんだけど、推薦組がいないってことは学校も力をいれていないの。
だから、ここには男子硬式テニス部・軟式テニス部、
女子硬式テニス部・軟式テニス部って4つあるにも関わらず、
テニスコートは1面しかないんだよね・・・。」
なかなか衝撃の事実が伝えられた。
「・・・それって大変なんじゃない?」
「そうみたい。知り合いの先輩がテニス部にいるけど、
週に1回か出来て2回しか練習しないって言ってたわよ。」
苦笑しながら私に教えてくれた。
他にも、卓球部は卓球場がないから旧武道場を柔道部と交互に使っていたり、
サッカー部は、グランドは基本的に野球部と陸上部が使うため、
隅っこに1つのゴールを設置して練習するだけで
全面を使った練習なんかは野球部が遠征でいない日だけらしい。
「何かひどいね・・・。」
「まあ、高校も必死なんじゃないかな。理解は出来るし。」
「そうだけど・・・。」
そんな話をしていると部活動紹介が始まった。
最初はやっぱり力を入れている部活から紹介が始まっていく。
その中で陸上部の時であった。
「男子のハードルってこんなに高いんです。」
そういって、持ってきたハードルを新入生を横に立たせて高さを示してくれる。
1メートル以上あって、立った男の子の腰よりも高い位置にハードルの高さがあったのだ。
「だけど、僕たちが教えるとすぐに飛べるようになります!」
そういって、先輩2人がハードルを飛んで、
新入生からは歓声があがるのであった。
そんな中、
「じゃあ、誰か一人に出てきてもらって、実際に一瞬で飛んでもらえるようになってもらいましょう!」
そう言って、ランダムに生徒を見ていき、
「そこの君!前に出てきてくれるかな。」
そう言って、何と柊君が指名されるのであった。
思わず、矢田さんの方を見ると、
「・・・仕込みだ。」
ボソッと矢田さんがつぶやくのであった。
「仕込み?」
その言葉の意味が分からないず聞き返すのだが、
柊君の実演が始まるのであった。
制服のまま、とりあえずハードルを大きく飛び越える柊君。
「おお、すごい!この高さが飛べる何って!君才能があるよ!!」
先輩からそう言われている柊君。
「すごいね飛べる何って!」
私の興奮口調に冷静に、
「そりゃ~、飛べるよ。柊って、ハードルの選手だよ。」
「え!?」
矢田さんの発言に驚いていると、
「それでは我々の指導が今、終わったので
再度彼に飛んでもらいましょう!みんな飛べたら拍手!!」
先輩の掛け声と共に柊君が進みだす。
それはゆっくりとしていて、さっきよりも滑らかに感じであり、
大丈夫かな?と思ってしまうほどであった。
だけど、その後、ハードルの直前まで来たところで、
“するり”
表現として正しいのかは分からないけど、
それはひどく滑らかで、ハードルがあたかもないような感じで歩を進めていた。
ハードルをまたぐ時にホントに滑らかに、そして、
ハードルの上をなでるように足を通したのであった。
「す、すごいね・・・。」
あんなちょっと習っただけで簡単にハードルが飛べる何って!
ちょっと感動してしまう。
私も習えばあんなに簡単に飛べるものなんだろうか・・・
「そりゃ~そうよ。だって、柊ってハードルでジュニアオリンピックに出場しているのよ。
絶対最初はわざと下手に飛んで、2回目を本気で飛んでるんだって!!」
「そうなの!!騙されかけたよ・・・。」
そう言いながら、私は柊君の飛ぶ姿をまた見たいと思っていた。
すでにその飛び方に心を奪われていたのであった。
その後は部活動紹介は粛々と進んでいったのだが、
ハッキリと言って部活の力関係が露骨であった。
テニス部やサッカー部何ってそれぞれ1分ほどの紹介で終わらせられていた。
更には文化部も同じような扱いを受けていた。
ただ毎年のことなのであろうかなれており、
文化部の茶道部や放送部なんかは、紹介をしながら、
「詳細はこの紙をご覧ください!」
そういって、新入生達に配っていくのであった。
「すごいね、準備万端じゃない?」
「それだけ、いつものことなんだろうね・・・。」
矢田さんの苦笑に私も同意してしまったのだった。
部活動紹介を終えた日から1週間は部活動の体験入部が出来る期間らしくて、
みんながそれぞれ興味の持った部活に行く。
「矢田さんはやっぱりバレー部?」
「そうだよ。バレー部の雰囲気がどんなのかをこの体験入部で調べて、
良かったら、そのまま入ろうかと思ってる。」
「へー。頑張ってね。私は陸上部に体験入部してみようかと思う。」
そう告げると驚いたような顔をする矢田さん。
「え、だって、あそこ推薦組のいる処だよ!?」
「だけど、柊君は推薦組じゃないんだよね?」
そう、ジュニアオリンピックに出場したと言われる柊君は春休みから学校に呼ばれて
部活をしているらしいのだが、一般入試で入ったとのことであった。
だから、もしかして一般組で入っても大丈夫なんじゃないかと思っているのだが・・・
「・・・ちょっと柊に聞いてみる?」
矢田さんの提案で私達は、矢田さんがバレー部に行く前に、
放課後柊君を捕まえて話を聞くのであった。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




