表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
柊君へ  作者: Taさん
第二章
47/254

福留先輩と大賀さんと城田さんと時々、私(松田さん) ~1~

積極的な大賀さん、腹黒い福留先輩、奥手な城田さんと松田さんの話です。

入学式を前日に控えた私は腹痛に苛まれて、救急車で病院に運ばれたのだ。

そして、盲腸ですぐに手術をすることになったのである。



「学校には電話しておいたから。」


ママが病室に入ってきて私の手を握ってくれる。


「新入生代表の答辞はどうなった?」


私の一番の心配はその点である。

合格発表があってから、私は学校から連絡を受けて

入学式での新入生代表の答辞を読むことを依頼されていた。


そのため春休みにも2度高校へと行き、

答辞の原案を貰って、更には答辞の練習をしてきたのだ。


それが、入学式前日、それも昼過ぎに病院で手術を受けることになった。

そのまま私は1週間ほどの入院となっているため

さすがに答辞を読むことは出来ないのである。



「代役を立てるらしいわ。」


ママが確認したところ、この春休みでも部活に出ている新入生達が数人いるらしくて

その子達の1人に頼むらしいので、心配しなくていいとのことであった。


私は正直申し訳ない気持ちでいっぱいであった。


こんな直前に代役をして欲しと言われたら、嫌だろうな・・・。

少なくとも私は嫌だからだ。



元来そんなに人の前に立って話をするのが得意ではない私だ。

それが入試がトップだったということで選ばれたのである。

他にも相応しい人はいっぱいいると思うのに・・・


ごめんなさい、と思いながら、私は退院できる日を待ち望んでいたのであった。



一週間後にやっと学校へと通学出来るようになった。


「松田と言います。盲腸で入院してて、遅れてきました。宜しくお願いします。」


すでにみんなは簡単な自己紹介を終えているらしくて、

一人簡単な自己紹介をホームルームの時にして、私は席に座った。


「もう大丈夫なの?」


そう言って私に話かけてくれたのは矢田さんという女子だった。


「うん、もう今は大丈夫だよ。」


「大変だったねー。」


気さくに話しかけてくれた矢田さんに私は感謝をする。

どうしても一週間も遅れてきており、溶け込めるかと心配していたので、

ここで気さくに話しかけてくれたのは嬉しい。


私はこのクラスに中学校からの友達はどこにもいなくて、

話す相手もいないからだ。


そのまま矢田さんとしばらく話して、私はある質問をする。

すごく気になっていた質問だ。


「入学式の新入生代表の答辞って誰がしたの?」


「え?ああ、そっか、知らないよね。柊っていう男子がやったよ。」


「柊君・・・。」


正直名前を聞いて誰だとは分からなかった。


先生からこのクラスの席順に記載されていた男子の名前に柊君という名前はなかったし、

出身の中学校の生徒でもないので分からない。


少なくとも私のいた中学校の子ではないな・・・そう考えていたところで、


「?そんなに柊が気になる?」


「え?いや・・・。」


ここで言おうかどうか迷う。

実は私が新入生代表の答辞を本当は読むんだったと伝えるかどうか考えていると・・・



「そう言えば、松田さんが本当は新入生代表の答辞を読むんだったんでしょ?」


「え!?どうして知ってるの?」


私の考えていることを当てられてビックリしていると、


「柊がぼやいてたからね。入学式前日にいきなり、代役を頼まれた!って。

 本当は別の人が読む予定だったんだけど、その人が入院したからって

 先生から頼まれたって言ってたよ。」


「そ、そうなんだ・・・。」


やっぱり、迷惑をかけてしまったなっと思っていると、

私の顔が曇ったことから察したようで、


「あ、大丈夫だよ!そんなことを言いながらも気にするような奴じゃないし!!

 たぶん、すでに忘れてそうな気がする柊なら。」


そう言って私を励ましてくれる矢田さん。

ただ、その励ましてくれている中で私は・・・


「矢田さんって、柊君のことを知ってるの?」


「うん、柊とは幼稚園からの知り合いなんだよ。」


小学校や中学校では同じクラスにもなったこともあり、

よく話す男子らしい。


「あ、あのさ。やっぱり謝った方がいいかな?」


「う~ん、別にいいと思うけど・・・松田さんが謝りたいなら紹介するよ。」


「お願い。」


次の休み時間に柊君のいるクラスへと案内してくれる。


「よく柊君のいるクラス知ってるね?」


「だって、入学式の時、私達の中学校出身者達は親と共に集まって、昼食会をしたからね。

 その時の話題にそれぞれのクラスがどこかとか話題に上がっていたから分かってるの。」


どうやら矢田さんの出身中学の人達は、親御さんたちがグループを形成しているらしくて、

定期的に食事会を開いているらしい。


春休みにも集まって、食事会をして、また入学式でも集まって祝賀会をしたとのことであった。



ちょっとうらやましいな・・・


この学校の定員が一学年360名いるけど、

私の中学出身者は私を含めても4人しかいない。


しかも全員、そんなに仲が良かったわけではないので話しをすることすらないのだ。

近くに誰かいたら心強いだろうな・・・



「柊!」


矢田さんは普通に柊に話しかけると柊君のクラスメイト達が一斉に矢田さんに視線を送る。

私は思わずビクッとなってしまった。

色んな意味を持った視線が矢田さんと私に注がれるのであった。


「何の教科書がいるの?」


柊君がそんな風に返す。


「そんな毎回毎回借りに来てないでしょう!!失礼な!」


「そうか?すでに何回か貸してる気がするけどね。」


「・・・まだ3回しか借りてないし。」


「・・・結構な頻度で借りてると思うけどな・・・。それで用件は?」


「ああ、柊が代役だったじゃん、答辞。その代役を依頼した子が柊に謝りたいって。」


そういって、矢田さんの後ろにいた私を前に出して、紹介してくれる。


「松田さん。○○中学校出身なんだって。」


「わざわざ!?それは・・・ご苦労様です。」


「今回ありがとうございました。急なことだったのに・・・。」


「ああ、全然、問題ないよ。カンニングペーパーもあったし、読むだけだからね。」


手をひらひらさせて気にしていないと伝えてくれる柊君。


「それより体調は大丈夫?」


「あ、うん。もう大丈夫だよ。」


「そっか、それなら良かった。お互い様だし、気にしなくていいからね。」


そう言って、気楽に柊君は私を許してくれたのであった。

私と柊君の初めての出会いは気さくに応じてくれる爽やかな印象で終わるのであった。



気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ