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柊君へ  作者: Taさん
第二章
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児玉さん ~5~

柊と児玉さんの話です。

付き合いだしたと言っても、夏休みは柊にとってはまさに本番であり、

陸上の試合が多く入っていて、特に一緒に出かけることはなくて、

私の一人暮らしの家に来るくらいだ。


私の実家は大学から車で10分くらいの所にある。

ならば、家から通えばと思うだろうけど、父が


「1人暮らしをしてみるべきだ!!」


その一言で私は大学のすぐ傍にあるマンションに住んでいる。

学生でこのマンションに住んでいるのは一部だけで、

みんな親がそれなりに裕福な子達だけである。


更に、私は父から、実家まで帰る交通の便が悪いだろということで車も買ってもらっている。

私はバイトも行くし助かるのだけど、交通の便が悪いと言っても、

20分に一本はバスが通っているうえ、乗り換えもなくても家に着くのだ。



「まあ、あの過保護に感謝だな。」


こうして柊と一緒に入れるのだから。

実家にいるとこんなに一緒には入れないだろう・・・。

それにこうして、ドライブデート何って大学生で簡単にはできないし・・・。



今日から明後日まで柊の部活が休みで、お互いのバイトも休みのため少し遠出をしている。


阿蘇山を観光しに行くのだが・・・

もう一つの目的が柊のおじいちゃんの家に行くことだ!!


何でこんなことになったのかと反芻する・・・



柊と一緒にいる時に、偶然柊の両親とスーパーで遭遇した!


バツの悪そうな柊と興味津々のご両親、


「あ、あの、柊君とお付き合いさせてもらっている児玉と申します。」


「そうなの!!まあ!この子は何も言わないから!!」


お母さんのはしゃぎようが凄かった。

圧倒されてしまう。


「大体部活にバイトに忙しくしてて、一緒に遊びに行くこともできないんじゃないの?」


「そうですね・・・。」


何とか失態を犯さないように答えていると、


「それくらいにしとかんと。児玉さんにも迷惑かかるぞ。」


お母さんをたしなめる、お父さんに感謝です!

・・・だと思ったのに・・・


「そう言えば、児玉さんは車もっちょるの?」


「ええ、一応・・・。」


「じゃあ、今度の休みに俺の実家に行っておいで!」


とんでもないことをサラリというお父さんだった。


「え?どこ・・・ですかね?」


「熊本の天草ちゃね!ちょうど、届けて欲しいものもあったんちゃけど、

 仕事が都合つかんくて、助かるちゃね!」


こうして私は熊本に行くことになったのだ。



一日目は天草へ、二日目は熊本市内へ。

まあ、別に運転が苦になるわけではないのでいいのだけど・・・


天草に向かう途中で、ネットで調べたレストランで昼食をとったのだが、

なかなか新鮮だし、何より景色が素晴らしかった。


「・・・どうしたの?」


柊が前菜を前に固まっていた。


「どのナイフを使えばいいの?」


どうやら柊は初めてフランス料理を食べるようだった。

何だか、初々しくて可愛らしい・・・・。


「外のモノから使っていくのよ。」


素直に従ってくれる柊がまた可愛かった。

ぎこちない柊に一つ一つ教えているのは本当に楽しい時間だった。


そこから、柊の実家に行ったのだが・・・


「〇×□・・・・。」


「〇×□・・・・。」


お年寄りの方の言葉が全く分からなかった・・・

苦笑しながら、柊の従兄弟が私達に何を言っているのか教えてくる。


正直言って、海外に来た気分なった・・・


“かむんしゃい” = 食べなさい


とか、私にはわからないわよ・・・

柊もただただ、笑顔を絶やさなかっただけだった。


柊のおじいちゃん家のお祝いはすごいもので、


「豚を潰したから!!」


そう言って、大鍋いっぱいの豚肉を見たのは私は初めてだった・・・


更には、車エビの養殖をやっているらしくて、

車エビをたらふく出してくれる。


帰りにもお土産として、活き車エビを箱に入れてくれてたのだが、

車の中で跳ねている音が響くたびにビクッとして運転に支障をきたしそうになったし!!


刺身も親族で船を出してくれていたらしくて、目の前で作っていってくれた。


ものすごい歓迎を受けて、一日目を過ごしたのだが、

この歓迎はきっとお嫁さんとしての期待も込みで

歓迎してくれてるのでは?と思ってしまう。


柊の両親はどんな考えで私をここに送ってくれたのか

不思議でならないのだが・・・


年の差が9歳・・・いや、柊が誕生日を迎えるからもうすぐ8歳か・・・


彼が高校を卒業するまででも2年以上後だし、

そこから彼なら大学に4年、いや、大学院を合わせれば6年後か・・・


その時私は・・・32歳・・・


おばちゃんだな私・・・


けど、柊はきっと受け入れてくれそうな気もするな。

今日は同じ部屋に布団を引いてもらっている。


すでに柊は寝ている・・・


ぷにぷにしても起きる気配はない。

こいつはすぐに寝て、しかも起きない。


・・・地震とかの時大丈夫なんだろうか?


まあ、私がしっかりしてればいいか・・・・


そこで私はハッと気づく。

これからも柊の傍にいることが前提になっていることを。


自分の考えに苦笑しながら、私もゆっくりと寝ることにした。

まだまだお互い知らないことがあるのだ。

これから知っていって、それから今後のことを考えていこう・・・



次の日は本当に山のようなお土産をいただいて、

天草の家を出た。


「これ・・・どうしようか?」


とりあえず、すぐには腐りそうにはないけど・・・

野菜に車エビにと量が多すぎるのだ!!


「児玉のところで消費出来そうなものは消費してもらって。

 残ったら、うちで消費するよ。」


「うちの親だったら、車エビとかなくなると思うけど、いいの?」


「毎年贈ってくれてるから、今回なくてもいいんじゃない。」


こんな会話をしながら、私の両親にお土産を渡すことは、

彼氏がいるって言ってるようなモノなんだけどなっと思ってしまう。


今は、友達と言った方がいいだろうな・・・


昨日からそんなことばかりを考えてしまっているな。

当面はしばらくお互いを知り合い、一緒にいても楽しいのかを考えよう。

その先だ、その先!!




初めての阿蘇山はすごかった!!

草千里と呼ばれる草原は本当に広くて、しかも牛とかが放し飼いである!!


牛に手を差し出すと、餌と間違ったのか舐められたと思ったら口の中に入れられたのだ!?


「ひ、柊!!」


思わず柊に助けを求めるのだが、

大笑いで腹を抱えている柊に、牛の唾のついた手で触ろうとして、


「汚い!!!」


「うるさい!彼女が困ってるのを笑ってる奴には天罰だ!!」


こんなくだらないことでも柊といれば楽しいんだな。

その後も、阿蘇山に火口を観にいくと、どちらともなく後ろから押し始めて、

ガイドの人から注意を受けるハメになりました・・・。


熊本城ではずっと腕を引っ張ってもらって観光する。


・・・あれ?私ってこんなに体力なかったのかな??


予定では有名な公園とかを周るつもりだったのに

予定を繰り上げてホテルに行くことになったし・・・。


まあ、自分でも分かってたわ・・・


私・・・


はしゃぎまわってることを!!


そのせいで体力の消耗が激しいのだ。

いつも冷静に努めようとしていたせいで、

こうやってタカが外れる何って今まで一度もなかったからね・・・


「ホント、学校の人達には見せれないわ。」


思わず苦笑してしまいながらも、柊との楽しい時間を過ごしたのであった。



気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

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