児玉さん ~4~
柊と児玉さんの話です。
「大丈夫です!いけます!」
それは塾全体で小学校6年生を対象にしたもので、
九州で最も有名な学問の神様を奉っている天満宮に行って、
その夜はもっとも星がキレイに見えると言うキャンプ場で
星を見ながら、勉強するというイベント。
当初予定していた先生方が色々と忙しいようで人数が減少したため
補助として高校のバイトから選抜しようということになったのだ。
それで塾長が柊に打診をしたところ、
快諾を得られたのである。
事務所の中にいて、その話を聞いていた私は・・・
よっしゃー!!
心の中で叫んだのは言うまでない。
「合宿って、何か用意しておくものとかあるんですかね?」
その日の帰り、今日も雨が降っているため、私が家まで柊を送る。
「合宿は・・・別にとくないわよ。着替えと、いざという時のために少しお金があればいいのよ。
ご飯は付いてるし、移動も全部バスだしね。」
「なるほど・・・。大変ですか、小学生たち相手は?」
「まあ・・・覚悟はしといてね。
補助でバイトを入れているくらいだから、想像できるでしょうけど、
奴らは少し目を離しただけで逃げていくからね。」
そう、小学生はあの可愛らしさと裏腹に、あの小憎らしさときたら!
しかも目を離せばすぐにいなくなる!!
それがなければ本当に眼福で幸せなイベントなのに・・・
世の中のお母さま方には本当に尊敬する・・・
合宿当日は、私の分校に貸し切りバスが2台到着して、
小学生たちを載せていく。
先生達とバイトは前の座席に座っている。
バスの中では先生達の挨拶と生徒の挨拶をしたり、
ちょっとしたゲームをしてもらいあがった。
そして、生徒が下車する時にそれは起こったのだ・・・
柊と私はバスから出て、生徒がバスから降りる時に転ばないように
手を貸していたのだが、とある女の子の集団の時、
「柊先生!ありがとうございます!」
そう言って柊の手を取って、下りてきたのだ。
次の女の子も同じように柊に手を取って下りてきて、
更にその次の女の子までもが柊の手を取って下りてくる・・・
そして・・・
「「「柊先生!カッコいいですね!!」」」
周りの先生たちは大爆笑をしている。
「モテるねー!」
「ぷははは、こりゃ~、先生にとらちゃうか~。」
など、みんなが声をかけている中、私は肩を震わせながら・・・
私の柊に何をいってるんだ!!!
・・・小学生にムキになっていた私。
小学生の分際で、女を出してんじゃないわよ!!!
そして小学生に対抗して、
「柊先生、カッコいいからね。」
そこで気づいたのだ・・・
柊が微妙な顔をしてる・・・・
何って大人気ないことをしてるんだ私!!
小学生に対抗してるんじゃないわよ!!
猛烈に恥ずかしくなって、柊の背中を思いっきり叩いて、その場から走って去った。
子供か私は!!
まあ、恥ずかしがっても授業もあるので、柊には会う。
いつも通り接してくれる柊に感謝と、
“ちょっとは反応してよね!!”
という思いが入り混じって、複雑な思いでいた。
夕飯を食べさせて、お風呂に入れさせて、やっと迎えった就寝時間。
「長かったぁー!!!」
これで今日のイベントは終わっる!!
まあ、明日のイベントもあるので、そんなにのんびりしている時間はないのだが・・・
「あ、柊!」
お風呂上り、ジュースを買いに建物の外に行こうと思ったら、柊が玄関の所にいたのであった。
私の声を聞いてこちらを振り返ってくる柊であったが、
そこであることに気づいた!!
すっぴん!!!
慌てて、着ていたパーカーのフードをカブって、
更には口元にタオルを当てるのであった。
「・・・暑くないですか?」
「すっぴんだから、見せれません。」
「別に児玉さんならすっぴんでも大丈夫でしょう。」
笑いながら柊がそんなことを言ってくるので、
「大丈夫って何よ!!」
「綺麗だと思いますよ、児玉さんは。」
・・・
・・・
そんなさらりととんでもないことを言うな!!!
ますます私は顔を隠す。
絶対に顔が赤くなってるわ!!
「・・・見たことないくせに・・・。」
「見せてくれるんですか?」
ちょっと意地悪な柊がひょっこりと現れる。
たまに・・・
こいつは・・・
意地悪だ!!!
「絶対にみせませーん!!」
「ケチ―!」
「何といわれてもダメー!!」
柊とジャレていると当初の目的を思い出す。
「ジュース買いに行くんだった!」
「そうなんですか?じゃあ、俺が買いに行きましょうか?外暗くて危ないですよ?」
「・・・じゃあ、一緒に行って。」
私、思いっきり踏み込んだよ!!
一緒にって誘ってしまった!!
「いいですよ。」
どーして、私の一生懸命な提案をサラリと返すかなこいつは?
ま、まあ、嬉しいので一緒に行くのだが・・・
「キャぁ!!」
そう言って、私が躓いてしまうのだが、柊が素早く腕を掴んでくれて、
事なきを得る。
「ありがとう・・・。」
「暗いでしょう?足元気をつけてくださいね。」
「・・・うん・・・。」
そう言いながら、私は・・・
一歩だけ勇気を出す!!
「うん?」
「危ないから・・・。」
私の掌を柊の掌に重ねたのだ。
「はいはい。」
柊の掌は暖かかった。
しかも意外と大きいんだな・・・
恋人とつなぎとはいかなかったが、手をつなぐことが
こんなに嬉しいものだとは思わなかったな・・・
勇気を出して良かったよ!!
だけど、ここで今日の私は更なる勇気を振り絞る。
自販機でジュースを買って、建物に戻る前に
近くのベンチで2人で座る。
「あ!流れ星!!」
そういって、無邪気に星を指さす柊。
可愛いと思うし、カッコいいとも思う。
「・・・柊の彼女って、亡くなったってホント?」
「ええ、そうですよ。」
サラリと答える柊に私は驚いてしまう
もっと、話しにくいものかと思ったのに・・・
「そのことでネガティブにしてたら、周りに迷惑をかけるでしょう?」
私の表情を読んだのか、ずばりと私の思っていたことを当てられる。
絶対、柊は私よりも大人びている。
たぶん、私だったら、もっとうじうじしていたと思うし、
こんな風に笑顔を向けること何って出来なかっただろう。
・・・
違う!
柊は必死に耐えてるんだ!!
周りに迷惑を掛けないようにと!!
そう思うとすぐに私は行動をとる。
ギュ
座っている柊を立ってから、抱きしめる。
私の胸の中に柊の頭を収める。
「・・・別に大丈夫なんですが・・・。」
「そう・・・。」
そう言いながら、柊も私の体を抱きしめてくる。
何だかつながったような感じがする。
「僕に優しくしても何もでないですよ?」
「大丈夫、後で代金はしっかりいただくから。」
「お金が発生するんですか!?」
「それはそうよ!キレイな私が抱きしめてあげるんだからね。」
「・・・高そうですね・・・。」
私の中で苦笑する柊。
ゆっくりと私の方へと顔を向けてくる。
「私と付き合って、柊。」
「・・・それが代金ですか?」
「そうよ・・・。嬉しいでしょう?」
「・・・顔を真っ赤にして耳まで真っ赤にしてなければ、
クールビューティーだったんでしょうけどね・・・。」
言葉にならない声が出る!!
冷静を装ってたけど、私の心臓はバクバクしていた。
顔何って今にも火を噴きそうなくらい熱くなっているのだ。
「冷静に突っ込まないでよ・・・。」
もう降参である。
どうあがいてもクールビューティーにはなれない自分。
すでに柊の掌を転がされている感じがしてるし・・・
「俺・・・児玉先生のこと、好きじゃないですよ?」
「いいのよ、私が柊のこと好きなんだから。」
そう、私が君を好きなんだから。
今は私のことを好きじゃなくても、
これから好きになってもらえばいいだけだし・・・
「宜しくお願いします。」
柊が私の腕の中で、そう告げてくれたのだ。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




