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柊君へ  作者: Taさん
第一章
36/254

谷口さん ~5~

谷口さんの話です!

~柊の誕生日~

柊の誕生に私は、手作りのケーキを作って渡すのだが、

ここで失念していることがあった。


自分がモンブランが好きだからと言って、


栗嫌いの柊にモンブランを渡してしまう何って!!!


いや~、柊の微妙な顔ってなかったわ・・・


私も作って、私て、喜んでくれると思っていたのに

箱を渡した時の嬉しそうな顔から一気にテンションが

下がっていくのにはビックリした!



あれ?何でこんなに微妙な・・・


って思ったところで、私は思い出すのであった。


うわぁ~、彼女失格だよ!!!


後日改めて、柊の好きなチーズケーキを作って渡す。

今度は喜んでもらえたけど、失敗しちゃいけない失態を犯した私!!


これは反省だ・・・。



それと二人で撮った写真とそれを入れるお揃いの写真立てを送ったのだが、

しっかり使ってくれていると嬉しいな・・・




~私の誕生日~

「これでいいの?」


そう言って、柊は私の好きな百合の一輪だけの花束を私にくれた。


「いいんだよ!だって、私の夢は自分の好きな百合の花を貰うのって夢だったんだよね!!」


私の誕生日はクリスマスイブの日である。


ずっと昔に観た映画でうる覚えなのだが、

病気で死にそうな恋人のベッドの周りを百合の花で包んであげて、

本当に死ぬ間際に、その中から一本を手に取って、


「君のことを愛している。」


そう告げる映画で、私はその場面だけはものすごいハッキリと覚えている。

そして受け取った恋人はそのまま亡くなるのだが、

それがクリスマスイブの日の出来事であった。


そのせいもあってか、この映画を観て以降は百合の花が好きになり、

いつかは恋人から百合の花を渡してもらいたいと思っていた・・・。



「柊、渡すときには私に好きって言葉が欲しいな。」


催促する私にしかめっ面をする柊だが、

柊は優しいから私の申し出を断ることなく、


「好きだよ、谷口。」


そう言って、スッと私に渡してくれた。


「・・・60点。ギリギリのギリギリで合格点!思いが籠ってないな~。」


そう言いながらも、私の心の中では柊に120点を与えていた。

不覚にも柊の言葉に泣きそうになっていた。


恋人の言葉って・・・いや、柊の言葉だからか・・・


こんなに嬉しく、幸せにしてくれるんだね・・・



その後は、柊の家の近くにある100円ケーキ屋さんで

売っている全10種類のケーキを買ってきてもらったので、食べるのだが・・・


「・・・1人で10個も食べるのかよ・・。」


と呆れられてしまった。

だけど、乙女は食べれるんだよ!!!


それに我が家ではクリスマスにケーキを食べるため、

私の誕生日のクリスマスイブは食べないのだ!!

クリスマスケーキを目の前にしてお預けさせられて、

我慢できるわけはない!!!



それと柊がくれたのは、もう一つあって、


ユリと柊の銀細工のペンダントであった。


それは私の好きな百合の花


それは12月生まれの私を示す柊


これは私の宝物だ・・・


柊には内緒だけで、私は学校でもどこでもずっと

このペンダントを肌身は出さずつけている。


来年もこんな楽しい誕生日になりますよーに!




~柊の入院!!~

この日の私は目玉が飛び出るかと思うくらい、柊からの連絡に驚いた。



スマホにメッセージが届いた。

それも柊からであったため、授業中とはいえ、コッソリと開いてみると・・・


“入院した”


「はぁ~~~!?」


授業中ということを思わず忘れて叫ぶ私に、

ハッと気がついたときには、クラス中の視線が私に向けられていた。

先生も私に視線を向けており、


「すいません。ちょっと違うことを考えていて・・・。」


苦肉の言い訳をしながら、愛想笑いを浮かべるが、

私の頭の中ではどういうこと!?っと頭が叫んでた。



「柊、これどういうこと!!!」


授業を終えて、すぐに電話を掛けると、


「ああ、入院中。」


そんな暢気な返答にイラついてしまって、

まくしたてるように柊にしゃべり続けると、すぐに休み時間が終わる・・・


ヘラヘラ笑った感じで受け答えする柊に

全然私の怒りが伝わってないことを感じた私は・・・


サボるか・・・


そうなると私の行動は早かった。

女の子なので、保健の先生対も慣れたもので、

すぐに帰宅していいと言われたので、一度家に帰って、

柊の入院している病院へと向かった。


自転車で10分ほどのところであったためすぐに行けて、

無事な柊の顔が見れたのだが、無事ではない告白を柊から受けた。


元々持病を持っている柊はたまにこうやって倒れることがあるらしい。

こうなると歩くことが困難であり、治るのは唐突で、早ければ一日で、

長ければ数週間寝たきりになるとのことであった。


「不便じゃない?」


「不便だけど、仕方ないよね。」


務めて明るく振舞う柊には理由があったのだ。



柊が幼い頃にも同じように倒れて、3週間ほど入院した時のことである。


その時は水泳大会があったのだが、

この病気が発病していたため当然参加できなかった。


柊はそれは仕方ないか~っと軽く残念がっていたのだが、

柊の親御さんはどうやら違ったらしい。


柊が寝ていた時、両親が自分の枕元で泣きながら、


「ごめんね・・・。ちゃんとした体で産んであげれなくて・・・。」


そう言って泣いていたらしい。

起きてはいたけど、目を開けることは出来なかったと。


だから、柊はこの持病を持っていても気にしないようにしているらしい。

少しでも気にすれば両親が悲しむからと・・・。


「いや、本当に気にはしてないんだけどね。」


たぶん、柊は本心で言っているんだろう・・・。

何事もなく言っているのだから・・・。



この日から私は学校が終わって、塾に行く前までの時間は

柊のところで過ごすようになった。


年末年始も柊のところに来て、勉強をみてもらっていた。


本当に明るい柊だった。


「去年は、除夜の鐘を突きに行ったんだよね!」


「へー!!楽しそう!除夜の鐘を聞くと煩悩が取り除かれるんでしょう?」


「そうそう!だけどどうやら俺には108回じゃ足りなかったようだ・・・。」


「確かに・・・・。」


「なんだとぉ!?」


こんなバカな会話をして過ごせるくらいなのだから。



結局柊は退院するまでに3週間ほどかかり、1月中旬に退院した。


そこで柊はある選択をした。

公立の志望校を一つ下げたのであった。


柊に言ったらダメなんだろうけど、柊の親御さんや竹中ちゃん達は

この選択にホッとしていた。

そして私もである。


心苦しいけど、この3週間以上の勉強の遅れを取り戻すために柊は頑張ってしまうだろう。

いや、たぶん、今でも余裕で合格できるくらいの力があるというのは分かっている。


だけど、頑張り過ぎてしまう柊の姿が想像出来てしまうのだ。


悔しいだろうけど、私は柊の選択に賛同する。


「せっかく下げるなら、私の志望校まで下げてよねー!」


「・・・そこまで下げるとさすがにどうかと思うぞ。」


それもそうだな・・・。

柊の志望校からすれば3つも4つもランクを下げなければならない高校だから。


「だけど、私は、これで柊の高校の近くになったから、嬉しいけどね。」


「そうだね。」


苦笑しながら、私に応えてくれる柊。

きっと色々な思いが湧いているであろうことは分かるけど、

私は素直に柊と一緒に通学できることが嬉しい。


確かに学校は違うけど、近くに柊を感じれるのだから!

私の意図が伝わったのかどうかは分からないけど、

柔らかい笑みを向けくれた柊を私はまた好きになっていた。



気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

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