久保さん ~3~
久保さんの話です!
私は文化祭実行委員の副委員長を務めるのだが、
文化祭の時期は忙しいがそれ以外はかなり暇であった。
田原ちゃんは書記長を務めており、時間のある時は私も手伝いにいき、
いつも通り一緒に帰っていた。
ただ、夏休みぐらいになってくると私の文化祭実行委員会が
頻繁に行われるようになってかなり忙しくなってきて、
田原ちゃんと一緒に行動が出来なくなっていくのだが・・・
「これ、うちのクラスの出し物の申請書。」
そう言って、私に柊君が申請書を渡してくれる。
柊君は文化祭のクラス委員を務めていて、
毎週のように私は柊君と顔を合わせたり、
時間がある時には私の手伝いをしてくれたりしていた。
文化祭も近づいてきたある時期のことである。
私は各クラスの出し物を確認しており、
最後のに柊君のクラスの出し物を確認していた。
「OKだよ。」
「無事に通って良かったよ。」
柊君のクラスの展示物を確認して、承諾印を書類に押す。
それを受け取った柊君が入り口に書類を張り付けて、
「これで無事に文化祭を迎えられるよ。」
「ホントだね。私も副委員長で慣れないことがいっぱいだったけど、
無事にここまでこれて良かったよ。」
そんな会話をしながら教室を出ると、すでに外は真っ暗になっており、
廊下も真っ暗になっていたのであった。
ペチャ
私達が廊下を進んでいると、その足元から水の音が響いてきたのであった。
「え?水?」
柊君が疑問に思って、しゃがんで確認する。
「水が溜まってる・・・。」
「何でだろう?」
私が思わず辺りを見回すのだが、暗すぎて周りが良く見えない。
「もうちょい先に進んだら、廊下の灯りをつけるスイッチがあるから。」
そう言って、柊君が灯りをつけに行こうとした時のことであった。
いきなり私の背中に激痛が走るのであった。
「痛い!!!」
何かがしがみついたような痛みに怯えて、
目の前にいた柊君の影に抱き着くのであった。
「大丈夫か!!」
柊君がすぐに私の方に手を向けて、抱きしめてくれるのだが、
その間にもその痛みが治まることはなく、
「痛い!!背中が痛い!!」
そう叫ぶのであった。
すぐに柊君が私の背中にも手を伸ばしてくれると・・・
「何か張り付いている!!!」
そう言って、柊君が私の背中についたモノを追い払ってくれたのであった。
柊君が私の背中で動かしてくれると、そのモノは何か声というか鳴き声というか、
キィー
という音を出して、どこかにいったようだ。
柊君が背中をさすってくれる頃には
すでにその痛みは一切なくなっていたのであった。
この時、私は柊君に抱き着いたままであったのだが、
腰が抜けてしまってその場にへたりこんでしまったのであった・・・
水たまりの上に・・・
柊君が灯りを付けて戻ってきてくれるのだが、
「・・・足に力が入らなくて・・・。」
私はずっと水溜りの上に座って、戻ってくる柊君を見ていた。
すると。
「ちょと失礼するよ。」
そう言って、私の横に来たと同時にお姫様抱っこしてくれたのであった。
そして、少し行った教室にまで私を運んでくれて、
「こっちがタオルで、俺が使ってないから安心して。
それとこっちは上下のジャージなんだけど・・・臭かったらごめんね。」
そう言って、柊君のタオルやジャージを貸してくれたのであった。
それと濡れたようにと口が閉じれるビニール袋を渡してくれた。
「ありがとう・・・。」
「とりあえず俺は教室から出てるから、着替え終わったら、言って。」
そういて、教室から出ていき、扉を締めてくれた。
その頃には足にも力が入るようになっており、
柊君から借りたタオルを使って、拭いたり、濡れている服や下着を脱いで
ビニール袋に入れて、ジャージを着るのであった。
「・・・全然汗臭くないな・・・。」
柊君からするやわらかな匂いがするだけで、
イケナイとは思いつつも嗅いでしまった。
「もういいよ!」
廊下に顔を出して、柊君に聞こえるように声を出すと、
ひょいっとこちらに顔を出して、こちらに向かってきた。
「あそこの流しの水が出しっぱななしになっていたよ。
それと排水溝が詰まってた。とりあえず排水溝のつまりを取り除いて、
廊下は拭いといたよ。」
「ありがとう。あそこが詰まるって・・・・。」
普段は使わない流しであり、水を流すこと何ってないはずなのに?
それに排水溝が詰まってどんなな状況だったんだろうか・・・
不思議な状況に色々と疑問が湧くのだが、
気持ちが背中に悪寒が走ったので、それ以上何かを考えるのを止めて、
「か、帰ろうか?」
「そうだな。一応、先生には伝えて帰ろう。」
そういって、柊君は職員室によって話をしてくれた。
私はさすがにこの格好では職員室に入るのを躊躇してしまう・・・。
この後、柊君に家まで送ってもらうのだが・・・
「・・・久保さんってそんなに怖がりなの?」
どうもさっきのことがあってか、帰り道で何かある度に怯えてしまっていた。
柊君も苦笑してしまうのだが・・・
私はあることを思いついてしまう・・・
こんなチャンスはないと思った時にはいつもの私ではないように
行動を起こしていたのであった。
柊君の手を握っている
「え?」
驚く柊君であったが、
「ちょ、ちょっと怖くて・・・ダメかな?」
恐る恐る聞いてみると、
「いいよ。」
そう言って朗らかに笑うのであった。
この後のことは私は何を話したのかを全く覚えていなかった。
怖さなんて全く感じずに、ただただ心臓がひたすら早鐘を打ち、
緊張と嬉しさがものすごく混じった帰り道になったのだ。
次の日には柊君に借りたジャージやタオルなどを洗濯して返したのだが、
私はこの時にとんでもないミスを犯してしまっていた・・・
文化祭を終えてから柊君から呼び出しを受ける。
「どうしたの?」
正直言ってこの時の緊張はものすごいもので、
平静な口調を意識していないと声が上ずってしまいそうだった。
柊君に呼び出されると考えただけど本当に期待してしまっていたのだ。
だけど、そんな期待をしながらも田原ちゃんにどこかで悪いと思う気持ちもあり、
正直なところで言えば複雑な気持ちも入り混じっていた。
「久保さん、これ忘れ物があったよ。」
そういって、私に袋を渡してくれる。
その中には・・・
洗濯された下着が入っていた・・・
顔を真っ赤にしているのだろう、自分でも顔が熱いのを自覚して
思わず顔を隠してしまう。
「洗ったのはうちの母なので、その点は安心してください。」
柊君が説明してくれる。
返してもらった日に部活で着た服をビニール袋に入れて、
いつものように洗濯機に入れたらしいのだが、
その時私の下着も入っていたらしくて、
柊君のお母さんが洗った時にそれがあったのを気づいたとのことであった。
「いや~、母は本当にビックリしていたよ。俺も最初は何で!?って驚いたけど。」
そういって、何事もなかったのように話してくれる柊君の言葉が本当に痛いし、恥ずかしい。
「ご、ごめんね。」
私はそう言ってその場を走って立ち去ったのであった。
私の初恋は残念な形で幕を閉じてしまうのであった・・・
その後は田原ちゃんにもこのことを話したのだが、
田原ちゃんも困ってしまっていた。
励まそうとするのは分かるのだが、要領を掴むことは出来ていなかった・・・
この後も柊君は普段通りに笑顔で挨拶をしてくれるのだが、
私は柊君の顔を見るだけで顔が火照っており、
きっと顔が赤くなっているのだと自覚していた。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




