久保さん ~1~
久保さんの話です!
「何か、柊君が私達のスカートの中を覗いていたってよ。」
私の親友である田原ちゃんが、文化祭の出し物を終えて
私の元に駆け寄ってくるなり第一声が柊君のことであった。
普通は今終わった朗読劇のことを言うとおもうんだけど・・・
「あの暗闇の中で、見る何って不可能だよ。
それに私も柊君の傍で作業してたけど、
あの位置からじゃあ、中なんて見えなかったけどね。」
「だけど、古谷君と中田君が言ってたみたいだよ。」
「ああ、じゃあ、それ門真さんに話してたんじゃない?」
「そうそう!」
「じゃあ、ウソだよ。古谷君は門真さんのこと好きだから、
少しでも門真さんの好きな柊君のことのポイントを下げたいんだよ。」
「ええぇ!!じゃあ、それ教えてあげないと門真さんに!!」
「・・・何っていうつもりなの?」
「門真さんの好きな柊君のポイントを下げるために古谷君が嘘をついたって。」
「・・・分かったわ。私が門真さんには話ておくから、田原ちゃんは何もしなくていいよ。」
「そう?さすがは久保ちゃん!ありがとう。」
ところで、なんで中田君もウソをついたの?」
「中田君は柊君のことが嫌いだからよ。
それと中田君は私や田原ちゃんのことも嫌いだから気をつけてね。」
「ええ!!私、嫌われるようなこと何もしてないけど!?」
「あの人は自分よりも賢い人が嫌いなの。
それに自分より目立つ人はもってのほかよ。
柊君何ってまさにドストライクって感じだしね。
それに曽田君と上村君のことも嫌っているから分かりやすいわよ。」
「・・・ああ!!この間先生に名前を呼ばれたクラスのトップ五人ね。」
「そう。呼ばれた人にあれだけ噛みついてたら簡単に分かるじゃない。」
「・・・何かメンドクサイ子だね。」
「そうよ。だから、あんまり関わらないようにしなくちゃね。」
そう言いながら、私は門真さんのところに話に行って、噂を否定する。
私の好きな人に変な噂が立つのは嫌だから・・・
私と田原ちゃんは家が数軒隣という、近隣に住んでおり、
親同士が仲良くて、私達も仲がよくなった。
それと私の家もそうだけど田原ちゃんの家もハッキリと言って金持ちである。
そもそも私達の住んでいる一画は、高台の上にある高級住宅地であり
ここに家を建てていることですでに富裕層であることを示していた。
私と田原ちゃんの家の方針で、小・中学校は公立へ
高校は私立の女学院、大学は東京の女学院へと進むことが決められていた。
お母さまの育ってきた環境と同じ道を歩むことになっていた。
面白いことに私と田原ちゃんは小学校の時から一緒のクラスであり、
結局大人になるまで同じクラスであった。
柊君とは小学校の時には同じクラスになったことはなかったが、
周りの女の子達が騒いでるのを聞いており、知ってはいた。
中学に入って、同じクラスになった時も
ああ、柊君がいるな
という程度だった。
まあ、それよりも小学校の時から賢いと噂されていた曽田君や上村君がいたので
田原ちゃんが対抗意識を出して、頑張るだろうなと別の男の子に注目していたくらいだ。
ただ、少し違ったのは入学してからすぐの試験で柊君がクラス1位を獲ったことだ。
2位が田原ちゃん、3位が曽田君、4位が同点数の私と上村君であり、
さも5点差以内にひしめきあっている状況であった。
そしてここで先生も余計なことをしてくれた。
この五人を同じ班にしたのである。
お互いが切磋琢磨になるように、更にはあの班に入れるように
みんなが頑張るようにとは言っていたが、
中田君のように目の敵にする連中からの嫌がらせが発生する。
なまじ優秀な私達であり、それがまた鼻につくのであろう。
入学して初めての同学年の合宿内で、
一日かけてのウォークラリーが開催された。
一日かけてチェックポイントを周ればいいので、
私達はのんびりと回って、時間いっぱい使って
ゴールにたどり着いたのだが、
どうやら他の班からは30分以上遅い到着となってしまい、
危うく捜索隊をだすところだったと言われたのであった。
「あいつら、頭がいいけど、抜けてるな。」
私達が先生から怒られている間にそんな笑いが起きていたのだが、
ウォークラリーでいくつかの課題が出されていて、
その課題の点数が発表された時である。
「曽田の班が一位だ!」
先生がリーダーの曽田君の名前を呼ぶと、歓声が沸き起こることなく、
ざわざわと騒ぎ出したのであった。
「何か釈然としない・・・。」
「だって、あいつら一番最後に帰ってきただろう?」
「そうよ。私達何って一時間以上もここで待ってたのよ。」
ちょっと非難めいた言葉が私達にかけられるのであった。
他のクラスの成績のいい子達もこちらを見ているのだが、
あからさまに嫌悪感を抱いた目で私達を見ていた。
学校の方針で成績を張りだして、競い合わせるて学力向上を図るのは分かるのだが、
それで上位の人が生意気だとか言われる身にとってはたまらない。
別に好きでテストがいいわけではなくて、自分なりに努力をした結果なのだから。
この時、私はものすごくめんどくさく感じていた。
ちなみにこのウォークラリーでの出来事で、
一時間ほど歩いただけでばててしまい、休憩していたのだが、
「まだ先が長いからな。二人の荷物を持つよ。」
柊君がそんな提案をしてきたのだ、
「そ、そんな悪いよ・・・。」
「うん・・・。」
私と田原ちゃんは申し訳ない気持ちで提案を断ろうとしたのだが、
「これくらい楽なもんだよ。新聞配達に比べてすげー楽だし。」
そう言って、ヒョイと持ち上げてくれるのであった。
カバンの中にはお弁当に水筒、その他もろもろ入っていたのに
まったく重さを感じずに持ってくれたのだ。
まあ、単純だけど・・・
私が好きになったのはこの出来事がきっかけだ。
それに他の男の子達のやっかみの視線とは全く違う
優しい視線の柊君を好きになったのだ。
ちなみに田原ちゃんもこの時、目をハートにした。
2人とも本当に単純だよ・・・
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




