中畑さん ~12~
素直になれない中畑さんのお話です。
次の日も習慣とは怖いもので、いつもの時間に起きて、
準備をして、柊が家を出るまで自分の住んでいる所のすぐそばで
いつものようにジッと待ってから、柊が出て行ってのを確認して
そのちょっとだけ後ろを歩いていく。
・・・もう習性なんだな・・・
柊の歩く後ろ姿をちょっとドキドキしながら見ている。
スッと背筋が伸びていて、まっすぐと歩いている。
なんで、柊はあんなにきれいに歩くんだろうかな?
そして、ちょっと離れているとはいえ、
前を歩く柊からは石鹸なのか柔らかい匂いが漂ってくるのであった。
クラスが一緒だから、クラスでも匂うのでは?っと思ったのだけど、
そんなことは全くない!!
というか、化粧の匂いもすれば香水の匂いもしていて、
むしろあの教室の中にいると頭がいたくなるんだけど・・・
そのせいもあって、柊のこの柔らかな匂いは
まったく教室内では匂わないのだ!!
・・・匂ってくれたいいのに・・・
あんな頭の痛い匂いよりもこっちのほうが私は好きなんだけどな・・・
そんなことを考えていると気がつけば、
すでに学校までの距離はあと半分ほどになっていた。
そうだった!!
私は今後の対応を考えなくちゃいけなかったんだ!!!
基本的には、あの上田さんたちの意見に従うのは
嫌であるというのが正直な気持ちだ。
だって、なんか負けた感じがしない!!
あんな子たちに負けるなんて!!
そう思っているのだけど、それとはまた別に、
あんなギスギスした隣のクラスとの関係を思い出すと
ここは一歩引いたほうがいいのでは?とも思ってしまう。
・・・どうしたほうがいいのかな?
柊の背中を見ながらぼぉ~と考える。
今の関係は・・・自分にとってはすごく楽しい関係だ。
週に一度だけど二人っきりで勉強することもできるし、
それに何かあったらすぐに連絡することもできる。
だから・・・私の関係としては・・・
そうだよ、結論なんか決まってるじゃない!
そう思って、私は柊の後を歩いていく。
そして、学校について、教室に入って・・・
「おはよう。」
つい、今しがた席に着いた柊は、まだ立ったままで
カバンを下した状態であった。
柊からかけられた言葉に私は・・・返そうと決めていた!
だけど、私の目に飛び込んでくる光景があった!!
それは・・・・
明らかに私の次の言動をどうするのかを
睨んで見てきているのであった!!
・・・何なのよ!!
どうしてあなた達の機嫌をうかがいながら
過ごさなきゃいけないのよ!!
そう思っていたところで、私は失敗するのであった!
柊にの挨拶を返すことなく、そのままスルーしてしまうのであった!!
そして、私を見てくる視線が
驚きへと変わり、そして視線がすべて私から消えていったのであった。
そこでやっと正気に戻るのである!!
あ!!?
柊の挨拶に返事を返していなかった!!
上田さんたちの取り巻き達に気を取られてしまって、
挨拶を返すのを忘れていた!!
ちょっと!まって!!
あわてて柊に挨拶をようと思ったところで、
柊はすでに周りの男子から声をかけられていて、
私が声をかけるにはおかしなタイミングになていた。
そして私にもバレー部のほかのクラスの友達が来て、
「中畑~、教科書貸して!!」
そういって頼んできたのであった。
そうなるとそこで会話をすることになり、
完全に柊に挨拶を返すタイミングを逃してしまうのであった。
私の視線には、完全に私が上田さんに靡いたと思っているのであろう
上田さんの取り巻きたちの視線が目に入ってくるのである。
・・・そんなことない!!
心の中では反発するのだけど、
さっきの行動は完全に上田さんに靡いてしまったととらえられてしまう!!
絶対に靡いてないことを示さないと!!
そう思うのだけど、いざ、一歩失敗してしまうと
かける言葉を、さらにはタイミング逸してしまう。
たまたま廊下で柊が一人で歩いているのを見かけて、
後ろから走って行って、声をかければいいのだけど・・・
・・・なんていえばいいのかな・・・
言葉が思いつかないのである!!
前はいったい何て声をかけていたのだろうか・・・
それに挨拶を返していないということが
ここにきて、重荷になっていたのである。
さっき無視してしまったのに・・・
その思いが一歩行動を遅らせてしまうのであった・・・
それは如実に自分の行動に現れてしまう。
数日後に、
“日曜日はいつもの時間でいいの?”
柊からのメッセージが届く。
中間テストが終わって、それにすでに私が今の授業のところまで
勉強が追いついたのだが、それでも柊は勉強を見てくれていた。
それで日曜日に勉強を一緒にしていた。
だけど、先週は私が部活の試合があり、
先々週は柊が試合で流れていたのである。
だから、3週間ぶりの柊との勉強会なのだが・・・
当然、柊にはすぐに返事をしようと思ったのだが・・・
そこで一瞬の躊躇が走るのである!
たった、一言!
“いいよ”
それを返すだけなのに・・・
どうしてかそれを素直に返すことが出来ない。
自分が挨拶を返せてないことで、
ここで平然と返しているって自己中に思われないかな?
そんなことを考えてしまうのである!!
こうなると柊に一言返すだけなのが、
ものすごく重くなってきた。
それに、まだ柊と私が勉強しているということが
クラス・・・というか、上田さん派閥にバレると
きっと何かしら言ってくるに違いない!
それだけではきっと終わらないだろう・・・
少なくとも上田さん派閥の中では情報が共有されるし、
絶対にそのことをクラス中に、さらには学校中に
広められてしまうのだろうな・・・
それで私がクラスメイトたちから、
さらには学校のいろんな人から言われるのは・・・恥ずかしい・・・
そう考えると柊と勉強するのが、
嫌になってくるのである!!
・・・もう・・・いやだな・・・
柊には、
“もう勉強はいい”
それだけを返して、
それと柊のアカウントはブロックするのであった・・・
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




