中畑さん ~10~
素直になれない中畑さんのお話です。
その日の放課後、私はとある女子のグループから声をかけられた。
「ちょっと中畑さん。」
そう声をかけられて、そっちを向くとそこには
クラスでも女子を仕切っている女子のグループがいたのである。
「何?上田さん?」
「ねえ、どうして男子なんかと話をするのよ?」
「・・・え?」
上田さんの言葉を一瞬何を言っているのか思って、
返事がまともな返しにはなっていなくって、
ただ驚いた返事になったのだが
そのことが明らかに癪に障っただろう、
「なに?男子に対して興味があるの?」
そういわれるのだけど、そもそも男子と話したという記憶がないのだけど・・・
そう思っているのが上田さんちのグループには伝わったのだろう、
「・・・柊と話してたじゃん!」
そう指摘をされて私は思い出していた!
そういえば、今日はクラスで柊に話しかけていた!
・・・というか、お礼を言っただけなのに・・・
「いやいや、あんなのは話したうちには入らいないよ。」
「じゃあ、なにを話していたか言えるの!!」
私の言葉に噛みついてくるように一歩前へと出てきて、
私を睨みつけてくる上田さん。
「いや・・・柊に勉強を教えてもらっていたからさ・・・
それでテストの成績が良くなったからお礼を言っただけだよ。」
ここで私はもっと早くに気づいていればよかったのだが、
それに気づかずに素直に真実を告げてしまうのである!!
そしてそれが火に油を注いでしまうのであった・・・
「「「柊に勉強を教えてもらってたの!?」」」
上田さんのグループ全員が驚いていた!
そして私に詰め寄ってくるのである!!
そこで私は事情を説明する。
「こ、こっちに来て、ここの授業ってすすんでいるからさ、
村西先生が柊と私に命令してきたんだ・・・。
柊から勉強を教えてもらうようにって・・・。
それで私も断れなくって柊に教えてもらってたの・・・。」
正直に言って、現状がものすごくまずい・・・
ここまで来て私は理解してたい!
上田さんってきっと柊のことが好きなのだ!
他の取り巻きさんたちもそのことを知っているのか、
もしくは柊のことを好きな人なのかもしれない。
そもそもだけど、男子と話していたからって最初は言っていたけど、
きっとそれは違う!
そんなことではなくて、“柊”と話していることが気に入らないのだ!
だから私たちは・・・というか、私は村西先生の命令で
仕方なしで柊に勉強を教えてもらっていた体にしたのだ。
そうしないと・・・この子達に何をされるかわからないし・・・
ここで村西先生の名前を出したのはよかったのだろう。
一人の子が、
「村西先生なら言いそうじゃない?」
そんなことを口に出すのである。
「だけど・・・どうしてそれが柊になるんだろう?」
「だって、村西先生って陸上部の顧問じゃん!」
「だけど・・・陸上部にはほかにも頭がいい人いるじゃない?
女子は・・・バカばっかりだけどさ。」
・・・割とひどいことを平気な顔していう人たちだな・・・
というか、私はこの人たちもバカなことは知っている。
テストで成績が悪いと補講を受けることになっているのだけど、
目の前にいる3人は補講を受けるメンバーに選ばれていたのだ。
・・・私は無事だったから・・・
このことたちはかなりの頭の悪いということだ。
そんな人たちが自分の成績はさておいて、
他の人を馬鹿呼ばわりしている姿って・・・
「いやいや、柊以外に人に教えれる人いる?」
・・・その言葉はよくわかった・・・
ちょっとだけ柊に勉強を教えてもらうようになって、
柊のいる陸上部のことにも興味を持って矢田さんに尋ねたことがあるのだけど、
「柊以外にも陸上部には頭がいい人はいるけど、
人としてはダメな人が多いんだよね~。」
人のいい矢田さんが言うということは、
本当によっぽどのことなんだろうと思う。
実際に今回のテストでもとある二人が成績上位者のみが
廊下にテスト結果が張り出されるのだが、そこに張り出されていた。
まあ、成績がいいってことはすごいことだと思うけど、
周りの人から成績が褒められていたのを、
「当然だから。お前らも俺を見習って頑張れよ。」
そんなことを言う一人と同じような内容をいう一人がいた・・・
だから・・・
こんな人たちには勉強を教えれるわけがないっていうことはわかるのだ!
・・・ていうか、私だってそんな人たちには教えてもらいたくない・・・
そんなことを思っていると、どうやら上田さんのほうも
そのことは理解しているようであった。だけど・・・
「それでも・・・。」
・・・納得はしてくれていないようだった・・・
だからなのだろう、
「男子と話すって・・・なんか軽い感じがするし・・・。」
“男子”じゃないよね!
そこは!!
“柊”だからでしょう!!
思わず心の中でダメ出しをする!!
だけど、それを口に出すと、ダメだ。
「まあね・・・なんか・・軽い女って感じがするぅ~。」
・・・正直に言って、そんなことを言っているほうがどうかと思う。
というか、そもそもこの呼びとめも柊が相手でなかったら
絶対に起こりえなかったことだろうし!!
そんなことを考えていると、上田さんがこっちをチラリと見て、
「ねえ?まだ・・・男子と話すつもり?」
・・・絶対に柊とってことだろうな・・・
「別に・・・そんなことはないけど・・・。」
正直に言って、柊とそんなに話をするということはないと思っていた。
だいたい自分の性格では、ちょっと自分の思っていることと
言葉がずれているし、柊と直接話すのは照れ臭いし・・・
だから漏れた言葉だったのだが・・・
「・・・話さないの?」
「・・・た、たぶん・・・挨拶くらいはするかもしれないけど・・・。」
「絶対だからね!!」
そんな私の言葉に大きな声で返してくるのであった。
その気迫に私はたじろってしまい、
「う、うん・・・。」
そんな返事をするのが精いっぱいだった。
するとそれで納得してくれようで、
さきほどまで喧騒としていた空気も一変して、
上田さんたちのグループはみんな笑みを浮かべるのであった。
「よかったね。」
そういって上田さんを慰めるグループメンバー。
・・・それって私が柊と話さないことになってってことだよね?
全然男子とじゃないじゃん!!
そう思うけど、口に出すことはなく、
上田さんのグループがその場からいなくなるまで
私はただただ見守ることしかできなかったのであった。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




