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柊君へ  作者: Taさん
第三章
250/254

中畑さん ~9~

素直になれない中畑さんのお話です。

「わざわざありがとう。」


次の週の柊の部屋での勉強会には、私はラップの芯を持参した。


すでに我が家では無用の長物だったのに

ものすごい感謝の言葉が柊からもたらされたのだけど・・・



「あれ?今しまわないの?」


そう聞いてしまう。

今、受け取ったラップをとりあえずといって柊は

その表彰状が置かれている場所の横に置いたのだ。


てっきりすぐに片付けると思っていたのだけど・・・



「あ、うん・・・。」


・・・あ・・・このパターン・・・



「ねえ・・・もしかしてめんどくさいって思った?」


「・・・ちょっと・・・。」


正直に私に告げてくれる柊。

まあ、確かにこの数を見るとちょっと片付けようと思っても

腰がおられてしまう量ではあるけど・・・


私だってこれを今から一人で片付けるとなるとめんどくさい・・・


だけど・・・



「いいよ、これくらいなら私も手伝うからさ。

 勉強始める前に片付けちゃおうよ。」


そういって、私はラップの芯を一つとって、

その中に、近くにあった表彰状を丸めていき、詰めていく。



「いやいや、いいよ!自分でやるよ!

 中畑は今日は勉強しにきたんだろう?」


「いいよ・・・これくらいなら二人でやったらすぐにできるじゃん!」


そういって、私たちは表彰状を片付けていくのであった。


結果としては、20分ほどですべてを片付けて、

今はきれいに段ボールの中に納まっている。



「しかし、柊ってすごいんだね。」


「なにが?」


「いや、こんなに表彰状をもらってさ。」


「いやいや、別に習い事とかもやっていたから

 その表彰状とかがたまっているだけだよ。」


「それでもこれだけもらえる人なんてなかなかいと思うけどね。」


「まあ、だてに長年やってきたわけなじゃないからさ。」


「長年やってきたからって、

 こんなにいろんな表彰状をもらえるなんてことはないよ・・・。」


言いながら、柊のすごさをものすごく痛感していた。


だって、それを言い出したのなら、私は小さいころからバレーをやっていた!

だけど、やっていたけど、こんなに表彰状をもらったことはない。


というか、地域でも出場しても一回戦敗退なんかもざらにあった。

だから、こんなに異常に表彰されるていることがすごいと感じているのだ。


っていうか、その表彰状も多才である。

水泳大会での表彰状もあれば、書道の表彰上もある。


さらには、読書コンクールの表彰状に加えて、

美術の表彰状まで存在していた。


中には、ミュージカル!?っていうのも存在している。


本当に多才である。


目の前にいる人間がそんな多才の人間だったなんて・・・



「すごいね・・・。」


本当にそう思う。こんな人だったら・・・



「そうか?別段すごくはないと思うけどね。」


「いやいや、すごいことでしょう!!


思わず声を荒げてしまう!

だって、これだけすごいのに!どうして自覚してないのよ!!


そんな私を笑っているのか、柊は苦笑しているのだ。

思わずキッとにらむと、その視線に柊は気づいたようで、



「いやいや、それを言い出したらほかにも大勢いるだろう?


「・・・何が?」


ちょっと怒り口調ではあるが柊に返事をする。

そして、そこでハッと気づくのだ!



「加賀なんかは、ヴァイオリンで食っていけそうなくらいの才能があるだろう?」


「・・・。」


そうなのだ!

柊の指摘通りで、私も加賀さんのことを思い出していた。


私が転入してきて一週間ほど、加賀さんは私に優しく話かけてくれていた。


席もとなりということもあったのだけど、

あの朗らかで優しい人に仲良くなりたいなぁ~と思っていたのだけど、

その次の週からなんてヨーロッパへの短期留学をするというのである!!


それを聞いて愕然としてしまったのを覚えている・・・


最初は自慢していて、両親にもそのことを

さも自分のことのように話していたけど、

そのあとで自分である思いに至った。


“私は・・・どうなの?”


そうすると素直に友達のことで喜んでいた自分であったが、

どこかでモヤッとしてしまうのであった。



「それに矢田だってあいつも表彰されたことがあるだろう?」


・・・その通りだ・・・


一緒にバレー部で特に、今では一番仲良くしている矢田さんも

柊と同じようにいろんな表彰をされているのは知っている。


本人がそのことを口にすることはないけど、

その代わりに周りの人から聞かされている、


それがまた嫉妬もするけど、それでもほかの人から

憧れの視線を注がれるのが心地よい。


私は今、矢田さんと一番仲がいい・・・


他にも芸能事務所から声をかけられたという小野さんなんかも

同じクラスにいるのである。


そう考えると柊だけがというわけではないけど・・・


それでも・・・私にはそんな才能はない・・・


うらやましく思うし、嫉妬もしてしまう・・・




いろんな感情が沸き上がりながらも柊とは

それからも毎週のように勉強を見てもらっていた。


そして、私の成績は・・・

まあ、一応最下位は脱出することはできるようになっていたのであった!!


・・・廊下に張り出されるほどの成績ではなかったけど・・・・


とりあえず、柊にお礼も込めて、



「ありがとう柊、おかげで成績が上がったよ。」


クラスに戻って柊に成績が上がったことを報告する。



「よかったじゃん!教えたかいがあったよ。」


柊には素直に喜ばれた。

ほんとにこいつは・・・。

こんな素直に人に思いを告げるんだな・・・


ちょっとうらやましくもある性格だ。


私なんか・・・全然こんなに素直に伝えることはできていないのだから・・・



「まあ・・・感謝してるわよ。」


そんな風に言うのが精いっぱいであった。


その後もしばらく柊とは話をしていた。


気がつけば、休み時間も終わっており、

次の授業が始まる直前となっていて到着した先生から、



「ほらぁ~、中畑たち!授業はじまるわよ!!」


そういって注意をされてしまうのであった。


クラスのみんなからは笑われてしまい、

あわてて私は自分の席へと戻るのであった。


気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

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