中畑さん ~4~
素直になれない中畑さんのお話です。
「村西先生・・・何を言っているんですか?」
柊が唖然とした表情で村西先生に尋ねると、
「いい案だろ!歩いて1分でお互いの家にいけるんだから、
何があっても大丈夫だ!!」
・・・どうやら本気で村西先生は言っているようだ・・・
「最近は物騒になったし、女子一人で歩かせるのも悪いしな。
1分で行ける距離なら柊も気兼ねないだろう。」
そういって、柊の肩に手を置く村西先生なのだが・・・
「・・・僕の家ですることが決定されているんですかね?」
やっぱりそう思うよね!!
私も思った!!
なぜか私が柊の家に行くことになってるし!!
・・・まあ、私の部屋に入れるのは・・・
ちょっと難しいけど・・・
部屋も・・・少し、本当に少しだけ散らかっているしね。
・・・あれを片付けるのは骨が折れるわ・・・
いやいや!本題からずれてるじゃない!
まずは・・・
「どうして柊の家に行って勉強しなくちゃいけないんですか?」
「うん?何が不満な点があるのか?」
「だって・・・。」
「さっきも言ったけど、柊の成績はいいぞ。」
「・・・どのくらいですか?」
「学校だと5番とかもあったかな?」
言いながら柊に確認する村西先生。
その問いに対して柊はうなづく。
・・・5番か・・・
確かに賢い!
賢いけど!!
正直言って、女子がいいな・・・気兼ねしなくていいし、
何より友達を作れるしね!
・・・
正直に言えば・・・
柊だと緊張してしまう・・・
今だって、柊がすぐ近くにいると思うというか、
実際に横にいるのだけど・・・
それだけでさっきから心臓がバクバク言っているの!!
柊が結構学年でも指折りにかっこいいのはわかっている。
というか・・・
すでに私は柊のことは知っているのである!
それも家から近所ということもすでに把握していて、
わざと柊と同じ時間に登校できるように時間を合わせているのだ!
いや、最初は、純粋に学校に行くまでの道がよくわかっていなかったのだけど、
それを解消するために、たまたま家の近くで見かけた柊の後を
ついていったのが始まりである!!
そこまではよかったんだけどね・・・
ちらちらと横顔が見えたのだけど・・・
もろに好みの顔であった・・・
まだこっちに来て一か月も経っていないのに
私の好きな人は柊になっていたのは言うまでもない!!
・・・向こうでだって好きな人はいたけどさ・・・
・・・今でもSNSのやりとりもしているけどさ・・・
やっぱり都会の男の子と田舎の男の子では全然違う!!
たまたま柊が休日に出かけているところを
私は近くのショッピングモールで見かけたことがったけど、
おしゃれでした・・・
シンプルな服装なんだけど、
肉付きがいいからか、服もすっごくおしゃれに見えるのだ!
私だって一応服を選んできているのだけど・・・
柊に比べていると私は、着せられている感が半端ない!!
自分に合っているわけではないってことを痛感させられた・・・
所詮は、私は田舎の女ですよぉ!!!
本当に何から何まで違う柊に対して、
そして完全に異性として私は意識している柊に対して・・・
同じ部屋で勉強なんてつらいんですけど!!!
いや、うれしいの!!
本当にうれしいの!!
だけどさぁ~、なんか照れるんだよね・・・
柊の部屋に行ってみたいとは思うけど、
めちゃめちゃ照れ臭いのだ!
「僕の部屋でですか・・・。」
ちょっと柊は渋ったような表情をすると
私は思わず柊に詰め寄りたくなる!!
ダメなの!!
思わず口から洩れそうになった言葉を必死で飲み込む。
ダメなのかな?
行ってみたいのにな・・・
いやいや、恥ずかしいでしょう!
同級生のしかも、男の子の家に行くなんてさ!!
二つの葛藤が頭の中で戦っているのだけど、
内心は嫌って言われたことにちょっとムッと来ている!
「そもそもお前の勉強部屋は、ちょっと離れになっているから、
気兼ねなく勉強できるし、人を上げることができるだろうに。」
ヨシ!!
村西先生の後押しに、思わず心の中ではガッツポーズを決めている!
しかも先生の公認なのだ!
私はいやいやでも行かなくてはいけないのだ!!
自分の中での言い訳がきっちりと成り立つ状況であるため、
私は行きたい・・・いや、行くしかないのか~っと顔にはわずらしいような
表情を必死でしているのだけど、心の中ではがぜん先生を応援していた!
あと一歩!
先生、あと一押しを!!
そんな私の声援が村西先生に届いたかはわからないけど、
「これは命令だ。」
そう断言するのであった!!
これで絶対に柊は断れない!!ヨシ!!
「中畑のほうもいいな?」
そう私にも後押しをしてくるのだけど、
「・・・はい・・・。」
しぶしぶ感を出して返事をするのであった。
二人で職員室から出た後で、
「いつからする?」
柊が聞いていた来たので、
「私にだって都合があるんだけど!」
内心とはまったく別でツンとした表情で柊にこたえると、
「まあ、そうだよな・・・。」
そういって教室へと歩き出したのである。
いや!違うから!ここは、それだったら連絡先を交換しておく?的な言葉を
私にかけてくれるんじゃないの!?
柊に思わず言いそうになったのを必死に抑えながら、
悶々として柊の後ろをついていく。
早く聞いてよね!!
心の中ではそう叫んでいた!
そろそろ教室に戻りそうになったところで、
「中畑の連絡先教えてよ、メッセージで調整しよう。」
そう言ってスマホを取り出してきたのであった。
「・・・別にいいけど・・。」
そんな答えをしながら、私は小躍りしたくなる気分になっていたのである!
柊の連絡先ゲットしたよ!!
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




