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柊君へ  作者: Taさん
第三章
241/254

小野さん ~34~

明るい美少女・・・ちょっと抜けてる小野さんの最終話です!

事務所に電話の音が鳴り響く、

私はあわてて、電話の受話器を取って、



「お待たせしました!小野法律事務所です!!」


そう答えるのであった・・・。



「はあ?ラーメン3人前?さらに、餃子を6人前!?

 いやいや、ここは小野法律事務所なんですけど!!」


そこまでいうとどうやら相手にも

かけた先が間違いであったことが伝わったようで、

私は受話器を下すのであった。



「また間違い電話?」


父がこちらを向いて尋ねてくるので、



「そうだよ!!

 お父さん、どうにかしてくれる!!

 なんで、5回に1回くらいの割合で、ラーメン屋への間違い電話なのよ!!」


「ああ、それは最後の一桁が2か3かで、

 うちかラーメン屋かに分かれているからなんだよ・・・。」


「超紛らわしいじゃんか!!

 今すぐ電話番号変えてもらってよ!!

 そうじゃないと、間違い電話に出るたびに

 ここが小野法律事務所ってことを説明しなくちゃいけないんだよ!!」


そういって、実の父に詰め寄ろうとしたときである、


プルルルル・・・


・・・また電話が鳴り出すのであった。


ここの事務所はお客からの引き合いが

ひっきりなしにかかってくる。


だから、電話に出なくてはいけないんだけど・・・



「はい、小野法律事務所です。」


・・・



「だ・か・ら!うちは法律事務所であって、ラーメン屋じゃありませんから!!

 最後の番号が間違ってますよ!!」


そういって、私はまた電話を切るのであった。


そして勢いよく後ろを振り向くのだけど、

その先に先ほどまでいたお父さんの姿はすでにそこにはなかったのである・・・。



「お、お父さんなら、クライアントが来たから、

 今、急いで会議室に行っちゃったよ・・・。」


先輩におびえさせてしまいながら教えてもらう・・・


・・・あれ?


これって・・・


私が悪いのかな?


絶対に私のせいじゃないし!!


こんな紛らわしい番号にしているお父さんのせいじゃないの!?



「すいません・・・教えていただきありがとうございます。」


先輩にお礼を言いながら自分の席へと戻る。


今は、お父さんの働いている法律事務所で

パラリーガルとして勤めている。


あの事件の後、私は芸能界を休業して

父の法律事務所へと大学卒業と同時に勤め始めた。


そこには私の知らない世界が広がっていた・・・


ちょっと娘に甘々な父親で頼りなかったのだけど、

ここで働いている父はハッキリと言ってかっこいい・・・



「どうぉ~、お父さんの働きはぁ~?」


デレデレでわざわざ私のいるデスクまで来て、

そんなことを言ってきた日には・・・



「さいってぇーーー!!!」


と言ってあげたけど・・・


本心では全くそんなことは思っていなかった。


死にそうな顔でこの事務所を訪れる人もいるけど、

気がつけば笑みを浮かべるようになっていて、

最後には晴れ晴れとした顔をして、事務所を出ていく人もいる。


逆に、父によって、へこまされてしまって、

地獄に落とされたような顔をする人もいるけど・・・


そこには人を幸せに導く素敵な仕事があった。


そして、そんなことが出来る父親を

今ではすごく尊敬しているのである。


そして・・・


今の私は・・・


この仕事にもっと携わっていきたいと本気で思っていた。


だから、私は数日前にちょうど休業宣言をしてから一年が経過して、



「どうするのか?」


そう尋ねられた時に、即答で、



「私は・・・弁護士になります!」


そう宣言したのであった!!


ガックリと肩をうなだれる芸能事務所の社長とマネージャーさん、

そして、私の横では喜びの顔をしている母。


だけど・・・


なんとも言えないような顔をする父がそこにいた・・・


数日前に、私が柊にテレビ電話で宣言した時も

柊は同じような顔をしていたのを思い出される・・・



「・・・何?お父さん?私には無理だって?」


そういって、じろりと父を見るのだけど・・・



「いや・・・そんなことは・・・ないと思うけど・・・。」


言い淀む父に私は、



「なるんだから!これからしっかり法科大学院に通うつもりだよ!!」


すでに私の家から通える法科大学院はチェック済みである!


私の決意は決まっているというのに・・・



「い、いやぁ~・・・パラリーガルって職業も立派だと思うんだけど・・・。」


そこまで言ってきたところで、



「それは柊にも言われたわよ!!

 なんで私が弁護士になるって言ったら、そんな反応するのよ!!

 どいつもこいつもぉ~!!!」


「い、いや、司法試験って本当に難しくってさ・・・。」


「だから、勉強するっていってるんじゃんか!!」


「だけど・・・。」


「何!!!」


そういって、ギッとにらむと、目をそらす父。


柊も父も絶対に私には無理だと思ってるな~!!


確かにそんなに勉強ができるほうじゃないかもしれないけど、

それでも中学までの成績は良かったんだから!!


・・・柊に教わっていたってのもあるけど・・・


だけど、その時に勉強の仕方は学んだわ!!


だから、それを活かして勉強するの!!


絶対に弁護士になって見せるんだから!!


見てなさいよぉ~柊!!


絶対に柊に謝らせてやるんだから!!


うちの父と土下座させてやるんだから!!


絶対に弁護士になってやるんだからね!!


そこには沈んだ私はすでにいなかった!


やる気に満ちていていて、生き生きとした私しかいなかったのであった・・・


気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

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