小野さん ~33~
明るい美少女・・・ちょっと抜けてる小野さんのお話です!
自分に起きたことは理解していた。
だから、病室にいる時はずっとそのことに悩んでいたのである。
柊も次の日もあるとのことで、夕方には帰って行った。
両親も面会時間ギリギリの時間までここにいてくれたのだけど
面会時間が終わって、後ろ髪をひかれるようにしていたのだが、
帰って行ったのである。
そして今は一人でいる・・・
「はぁ~・・・どうしてなんだろうかな・・・。」
自分がこんなことになるなんて思ってもいなかった!
だって、本当にちょっと前まで順風満帆に進んでいた運命が、
いきなりひっくり返ってしまったのである!!
私にやる気がないかと言われたら、
やる気はある!!
だけど、その思いとは裏腹に体はついてきてはくれない・・・
というか、精神的にか・・・
精神的に働くことを拒絶する体・・・
本当に治るんだろうかな・・・
私は手元にあったスマホを操作して、
自分の症状を入力して、完治させる方法を模索していた・・・
だけど、私が求めるような劇的に治るとか、
すぐにでも治るなどの言葉はどこにも見つからない。
むしろ長い目で見て、治していくとか、
ゆっくりと治していくとかの長期的な言葉が目につくのであった。
「・・・これが・・・現実なんだ・・・。」
そう呟きながら、私はまたベッドにもたれかかる。
すでに同じような行動を何度も行っていた。
調べる言葉も決まっていて、
その答えも変わらないことを知っていたのにも関わらず、
私は同じ動作を何度も繰り返していたのであった。
まるで、さっきのは間違いで、実は・・・っていうことを
心の底から願っているようである。
「私は・・・これからどうなるんだろうか・・・。」
不安しか湧いてこない・・・
順風満帆に見えていた未来が、
全部閉ざされてしまった今の状態に
私は本当に絶望感を味わうのであった。
そんな中、私のスマホがチカチカして、
メッセージが届いたことを確認する。
なんだろうか?
そう思いながら、私は自分のスマホを見ると、
そこには・・・
“帰宅完了!そっちは?”
そんなメッセージが柊が届くのだけど、私が帰れないことをこいつは知ってるよね?
“帰れないのしってるでしょう!!”
“そうだっけ?いやぁ~、小野なら無理やりにでも帰りそうだったからさ”
“何?私はどこかのわがまま娘だと?”
“・・・”
“わざわざ“・・・”を送ってこなくてもいいわよ!!”
“いや、より伝えたかったからさ”
“何を!?・・・うわぁ~、腹が立つな!!”
“・・・怒りんぼう・・・”
“怒らせてるの柊だからね!!”
“記憶にございません”
“どこかの政治家かよ!!”
“そろそろ市長にでも立候補しようかと思ってるところ!”
“柊に私たちの街を任せることなんてできないから!!
私は絶対に反対投票するわよ!
対抗馬に絶対に入れるからね!!”
“なんだって!?
小野・・・幼馴染を切り捨てるんなて・・・なんて薄情なんだ!!!”
“こんな時だけ幼馴染を使うな!!”
“違うね・・・こんな時だからこそ幼馴染なんだよ!!”
そんなやり取りを楽しくやっていると、
“これからどうする?”
そんな風に柊が尋ねてくるのであった・・・
まるで・・・
私が芸能界入りを決めた時のように・・・
どうする・・・
どうすればいいんだろうか・・・
そんなことを悩んでいるとスマホが鳴り出したのである!!
「・・・なに?」
「いや、返事が来ないから、どうしたのかなって思ってね。」
「そんなの簡単にできるわけないじゃない!!
それをわかって電話してきたんでしょう!!」
「ソンナコトハゴザイマセン。」
「めっちゃかたことやん!!
本当に意地が悪いな~、柊は!!」
「そう?みんなからは結構いいやつだって言われるんだけどね?
俺もそう思ってるんだけど・・・。」
「自分で言うなよ!!
それ、自分の口で言っちゃダメなやつだからね!!」
「そう?いや、誰も言ってくれないから自分で言わないと・・。」
「誰も言ってないんじゃんか!!もう!!完全に私をおちょくっているでしょう!!」
「ソンナコトハゴザイマセン。」
「ほら!!またカタコトで言うし!!」
そんなバカなやり取りをしていたのだけど、
「・・・どうしたらいいんだろうかね?」
「・・・どうしたい?」
「・・・わからない・・・。」
「じゃあ、芸能界にいたい?それとも芸能界から離れたい?」
「・・・そんなのわかんないよ・・・。」
「じゃあ、わがままな小野にいい提案をしてあげるよ!」
「・・・いい提案?」
「そう!」
「そんないい提案があるの?」
「あるよ!
いったん芸能界から離れてみない?」
「・・・え?」
「だって、ほかの芸能人は留学と言って、一年とか海外に行ってたりするだろう?
ここで、それとおなじことをすればいいんじゃない?」
「・・・。」
「一年間離れてみて、それでも戻ってきたいのなら、
きっとそう思って、いるよ。というか、一年もいらないと思うけどね。」
「・・・。」
「一歩離れて考えてみなよ。今、その場にいて悩んでても仕方ないさ。
だから、まあ、逃げているって言われるかもしれないけど、
それでも一歩引いて芸能界を見てみなよ。」
「・・・それもありなのかな?」
「ありだろう!そっちのほうがより鮮明に見れると思うよ。
自分の主観が入った世界からではなくて、別の視点から物事をとらえるって、
すごくいいと思うけどね。」
「・・・。」
柊の言葉を聞いて、私たちの間にはしばしの沈黙が走るのだけど・・・
その沈黙の間で私の中で決意が決まっていく。
「私・・・。」
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




