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柊君へ  作者: Taさん
第三章
239/254

小野さん ~32~

明るい美少女・・・ちょっと抜けてる小野さんのお話です!

「・・・運命なのかな?」


さっきまで笑っていたのだが、その笑みは気がついたら消えており、

そして私の心には一抹の不安があった。


だから、そんな言葉が漏れたんだろうな・・・



「少なくとも・・・考えるきっかけとしては、

 運命だったかと思うけどね。」


「・・・考える?」


「周りの子たちはどんな風に言ってた?

 四回生になったんだから、そろそろ就職先の検討とかしてたんじゃない?」


「ええっと・・・確かにどこに就職するとか、

 あ、だけど、悩んでいる子もいたなぁ~。

 どんな道に進めばいんだろうかって。」


「そうだろうね。俺の周りも同じだよ。」


「へぇ~!!それも意外!!

 柊の言っている大学の子たちなら、悩む必要もないんじゃないの?」


「いやいや、結構みんな悩んでいるよ。

 しかもそもそもどうしてこの大学に入ったんだろうってところから!!」


「そこから!?

 ・・・そこから悩むって・・・私たちってそんな人たちに

 自分の将来を託さないとだめなの!?」


目を見開いて驚いている私に対して、



「不安になってくるだろぉ~!」


そういいながら大笑いをする柊・・・



「いや、そこ、笑うところじゃないんだけど・・・。」


本当に!!


まあ確かに柊の友人たちと言ったら・・・


変な人ばっかりなのは事実だな・・・


すっごい不安になる!!


絶賛大爆笑中の柊、不安いっぱいな私の真逆な状態で

部屋にいるところに、



「・・・起きたの・・・。」


そういって入り口のところに両親が現れたのであった。


何か言葉を発する前に私に抱きついてくる両親!



「よかった・・・。」


「よかったよ・・・・。」


二人が震えるような声を出して、私が無事に目を覚ましたことに

安堵の声を上げていた。


そして少し遅れてから、マネージャーさん、そして社長がさんが

私の部屋に現れたのであった。


みんなから無事でよかったといわれて、

安堵の空気が流れるのだけど、

やっぱり仕事の話題に触れると空気が重くなる。



「それでこれからは・・・。」


私がそこまで言ったところで、

みんなが困惑の顔ととともに空気が固まったのがわかる。


そもそもここにいる人たちは、

すでに私は柊によって、自分の病状がどんなものかということを

知っていることを知らないのだから当然だ!


だけど、ここはしっかりと言わないとダメなところだよ!



「柊から聞いるし、とりあえずは・・・

 休養ってとこになるんですか?」


そういって、社長を見ると、本当に難し困ったような顔をする。

しばらくの沈黙が流れた後で、



「・・・そうなる・・・ね・・・。」


無念そうな重い口調・・・


きっと社長のことだから、私がこうなってしまったことに対して

責任を強く感じてしまっているんだろうな・・・・


それにマネージャーさんもまた、思い空気を出していた。


こちらも妙に責任感の強くって、

きっと今回の件も含めて行動が軽率だったとか

思って反省しているんだろうな・・・



「とりあえず、休養が少し伸びたって考えてますよ!

 大丈夫です!

 命は助かったし、何よりこんなに元気なんですから。」


そういって、腕を上げて、ない力こぶを作るようなしぐさをする。



「・・・出てへんよ。」


それに私ながら突っ込むのは柊だ。

柊もわかってくれたんだろ。


私がこの空気を打破したことを、

だから初めて聞いた柊の関西弁に思わず、



「へんな関西弁!胡散臭いなぁ~!!」


そういって、私が笑いだすと、周りの空気が徐々に弛緩していくのを感じた。

一人、また一人と笑っていくのであった。


そして、部屋にいるみんながいつの間にか笑っていたのであった。


その後は穏やかな空気の中で今後について会話をして、



「まあ、のんびり行こう。」


そういって、社長とマネージャーさんが部屋から立ち去って行った。



「そういえば、私っていつまで病室にいるの?」


「ええっとね・・・数日は一応検査をしたうえで、

 何事もなければ部屋から出れるようになるわよ。」


「そっかー!じゃあ、意外と早く出れるかもしれないね!!」


「うん、私もそう思うわ。」


そういって、優しく頭をなでてくれる母に、私は・・・



「大丈夫だよ。」


そう満面の笑みで答えるのであった。



「・・・ええ、本当にあなたなら大丈夫だと思ってるわ。」


そういって、母もまた私に満面の笑みを返してくれるのであった。


母に加えて、父も話に加わってきて、

しばしの家族の談笑が続いていく。


気がつけば、泣きそうな顔をしていた・・・というか、

涙が流れていた両親もすっかりと笑みを取りも出していた。


そのころになって、部屋の片隅にいたはずの柊が

いつの間にか部屋からいなくなっているのがわかった!



「あれ?柊は?」


そういうと、父が、



「さっき部屋からいったん外すって言ってたよ。」


・・・どうやらあいつも気を使ってくれたようで、

私たち家族だけにしてくれたようだ。



「ちょっと呼んでくるよ。」


そういって、父が部屋を出ていくとすぐに柊とともに

私のいる部屋へと戻ってきてくれた。



「何かお呼びで?」


「・・・お嬢様って、言わないの?

 その言葉の言いようだったら、続きがあってもいいと思うんだけど・・・。」


そういうとキョロキョロとしだす柊、

そして・・・



「どこにお嬢様が?」


「よし!とりあえず殴ってやるから、こっちに来てよ!」


「なんで殴られるってわかっているのに

 そっちに行くんだよ!!そんな奴なかなかいないだろうに!!」


「いいから殴らせて!!」


「いやだっての!!」


普段通りに接してくれる柊に私はいつでも甘えてしまう。


さっきまで両親からのいつも以上に注がれる優しさを受けて、

思わず泣きそうになっていた自分がいた。


だから、今はいつも通り接してくれるほうがいい。


それを察してか察していないのかはわからないけど、

やっぱり柊はいつも通りだな・・・


どんな時でも・・・さ!


心の中で感謝をしながら、私はいつも通りにはしゃぐのであった。

まるで、自分に起きてしまったことを忘れているように・・・


気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

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