小野さん ~26~
明るい美少女・・・ちょっと抜けてる小野さんのお話です!
気を付ける決心をして、過ごそうとしていたのだけど・・・
やっぱり私が気をつけたとしても
どうしようもないことは起きるものだ・・・
それは、事務所が開催した感謝デーの日のことである。
私は、その会で日ごろの感謝を着てくれていたお客様に述べて、
ほかのみんなが挨拶をするのを聞いていたのである。
挨拶をする際には舞台の上に上がって挨拶をして、
挨拶を終えると舞台から降りて、お客様がいる場所に
近い位置へと移動していた。
これが・・・
ダメだったのだろう。
いくら私たちの周りにはスタッフたちがいるとはいえ、
すぐそばにお客さんというか、ファンが傍にいるのだから
そこに近づいていくのは危険である。
そんなことにこの時は気づいておらず・・・
私は舞台下に降りて、同じタレントや俳優さんたちが
待機している場所に行って、待機する。
その間にもこちらに手を伸ばしてくるファンに手を重ねていく。
今にも決壊しそうになりながらもなんとか待機場所までたどり着いて、
「大変だね~。」
そう先輩が声をかけてくれたので、
「そうですね・・・こんなに大変なことになるなんて思ってもみなかったです。」
自分の目の前には、私のファンであろうグッズを持ったファンたちが
こちらににじり寄ってきており、それを必死にスタッフさんと警備員さんが
抑えこんでいるのである。
一応、こちらに声をかけてくるファンには手を振って返したりするのだけど、
その圧のすごさに恐怖を感じてた。
そんな時だった。
抑え込まれているファンの一人が、警備員さんとスタッフさんの手の間から
こちらの待機場所に入ってきたのであった!!
スタッフさんや警備員さんたちは、目の前のファンたちに手を取られていたため
本当に一瞬のすきに待機場所に来た感じである。
私たちタレント陣もその一瞬のことに特に行動を起こしている人は
誰もいなかったのである。
とういうか、私にしても
「あ!!」
そんな風に気づいたという程度であり、
さぁどうしようかな・・・って感じだったのだけど、
その侵入してきたファンの行動はものすごく素早かった!
スタッフさんや警備員さんたちもその男の人に気づいて、
制止をしようと動き出そうとしていたのだが、
それよりも早く動き出しており、一直線に待機場所の中央付近・・・
まさに私がいるあたりに向かって走り出すのであった!
あっという間に私のいる近くにまでくる。
そのスピードというか、本当にあっというまのことに
完全にこちらは対応が一歩遅れていた。
私たちだって、
あ、なんか近づいてきた
そのくらいの感情でしかなかったのだが、
この男の人の行動は早かった。
それもそのはずだ!
だって、次の行動も、そしてどんな行動をとるのかも決めているのだから!!
私のそばにまで来て、その男の人は、
「小野ちゃん!」
なんと私に声をかけてきたのである!!
「・・・え?」
本当に呆然としてしまっていた。
返事をしたというよりも声が口から洩れたという感じになっていたのだが・・・
「僕は・・・
君を殺して!!
僕も死ぬ!!」
「・・・。」
正直に言って、ここで言葉の意味をすぐに理解して、
すぐに行動していればたぶん違ってきたのであろうけど、
元来私は頭がよくない!
・・・勉強という意味ではなくて、頭の回転が鈍い。
そして、その男の人の言葉をかみしめて、理解しようとしたときには、
すでに男の人は私に向かって走り出していたのであった!!
ここで、言葉の意味よりも、その行動に危険を感じて、
私は一歩横にずれることができた!!
そして私の横をその男の人が素通りしていくのだけど・・・
その手には何か光るモノを持っていた!!
私が避けたことでその男の人は、数歩動いて、突進を止めた!
その間に私は、また自分の位置から数歩下がっているのだけど、
ここでも判断ミスであろう!
ここで、数歩下がるだけではなくて、もっと逃げるべきだった!!
男の人がこちらに向きなおってきたのだけど、
その手には・・・
包丁がある!?
私も持っているような包丁を手に持っていたのであった!!
そこでやっと私は自分に起きている事態を理解するのである!!
この男の人は、私を殺そうとしている!!
っていうか、さっきの言葉だと私を殺したうえで、
自分も死のうとしているのだ!!
どうするべきなのか!!
説得するのか!?
それとも逃げ出すべきなのか!?
私は頭の中で、考えながらも行動を起こしていた、
「どうして私をころし・・・。」
なぜか?それを知りたいと思って話しかけようとしたのだけど、
そんな私の言葉がすべて終わる前に、
「うわぁああああ!!」
そういって、また私に向かって包丁を振り回しだしたのであった!?
私の声は男の人にはまったく届くことない!
意味不明な言葉を叫びながら、
また私に近づいてくるのである!!
周りにいた人達もそこまでくるとやっと現状を理解するのだけど、
それでも現状を理解したところで、何かできるわけではない・・・
みんなが呆然とこちらを見ているのを確認できた。
というか、私の目の前で起きていることが、
本当にゆっくりと流れだすのである。
頭の中では、
「あ、あの俳優さん、こんな時に目を見開いて驚いている!!」
とか、
「先輩、ゆっくりと両手を口に当てにいっているなぁ~。」
とかが、まさにコマ送りのように目に飛び込んでくるのであった。
ただ、目には飛び込んでくるし、意識も早く動いているのはわかるけど、
それに対して体が動きかといえば全く動かないのである。
指一本も動かない!
瞬きすらしない!
というか、目がぶわぁっと開いてい、全体が目に入ってくるのだけど、
それ以上に動かすことができない!!
それに目の前に迫りくる男の人にしか
私の目線はあうことがないのだ!!
男の人もコマ送りのように私に近づいてくる!!
一歩、近づいてきて、手に持っていた包丁をゆっくりとだが、
上へと振りかぶりだす。
そしてまた一歩動く間に、上に振りかぶりだしていたのが
ちょうど一番上にまで達したのである。
そしてまた一歩動く間に、今度は振りかぶっていた包丁が
ゆっくりと私にめがけて降りてくるのである!!!
あ、あぶない・・・・
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




