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柊君へ  作者: Taさん
第一章
23/254

藤森さん ~4~

藤森さんの話です!

今回は長めになっておりますので、ご了承ください。

2年生に上がると私にはある噂が学校内で立ち上がっていたらしいのだが、

私が本当に知ったのは夏休み明けの時だった。


「ちょと藤森さん、話があるんだけど・・・。」


ひさしぶりに学校に登校した私に他のクラスの女の子3人が

いきなり教室に来て、私を廊下へと連れ出した。


「ちょっと、柳田君と今田君と二股かけるって本当なの?」


彼女が言っている意味が分からなかった。


そもそも2人を私は知らない。

よくよく調べると1年の時に今田君は

どうやら一緒のクラスだったみたいだけど・・・


「どうなの?」


私が考え事をしていたことを悪い方に取ったのか

怒った口調で私に聞いてくる。


「この子・・・柳田君が好きなんだよ?

 それなのに藤森さんと付き合ってるからって言われて

 諦めたのに、その藤森さんが二股かけてるって、どういうことなのよ!!」


「え?ちょっと待って。私、柳田君っていう子と付き合ってなんかないよ?」


「え?」


「それに柳田君って子がどの子かが分からないんだけど・・・。」


「・・・え?どういうこと?」


困惑する3人に、当然私も困惑する。

だけど・・・


「・・・そうやってウソをつくの?」


「え?」


「本当は柳田君と付き合ってて、それなのに黙ってるって言うの!!」


「・・いや・・・本当に付き合っていないよ・・・。」


彼女の中での解釈が分からないけど、

私は本当に付き合っていないことだけど彼女に必死に伝える。

だけど、今だに納得がいかない彼女はどういっても聞いてくれない。


「だったら・・・。」


「だったら?」


「柳田君の前で付き合ってないって言ってよ!!」


そう言って、女の子に手を掴まれて、

私は引っ張られるままあるクラスにたどり着くのであった。


・・・ここのクラスって・・・


私の中で嫌な予感が湧いてくる。

ここは柊君のいるクラスだ・・・


柳田君って子に否定することはいいのだけど、

そんなところを柊君には見せたくない・・・


見られたくもない・・・


別に私は何も悪いことはしてないけど、

それでもこんなことで柊君に見られたくない!!


だけど、私の思いは裏切られて、柊君は教室にいた。

友達と話している姿が私の目に飛び込んできた。


思わず引っ張られる手に力が入って、

進むのに抵抗したようになってしまった。

するとそれを悪い方に取ったのだろう、


「やっぱり・・・嘘だったのね!!」


大声で私を非難するような声を上げる彼女。

それに身がすくんでしまった私は思わずその場から逃げ出したのであった。


その後、教室には彼女達は一度も現れなかった。

放課後になって永田ちゃんに今日あったことを話していると、


「実は・・・私も聞かれたんだ。」


「そ、そうなの?」


驚く私にうなづく永田ちゃん。


「否定したんだけどね・・・。

 どっちも本人達が言いまわってるみたいで、

 2人の周りは一発触発みたいになってるみたいだよ。どっちもが、

 『俺の女に手を出すな!!』ってね。」


「・・・どっちのモノでもないよ・・・。」


「そうだよね・・・。告白とかされた?」


首を振って否定する私に、なんでだろうね?っと悩む永田ちゃん。

そんな時に現れるのが、いいタイミングでもと言えるし、悪いタイミングとも言える・・・


「柊君・・・。」


そこに来たのは柊君で、きっと彼は今日見た光景を心配してきてくれたんだろう。




「大丈夫か?」


ああ・・・やっぱり心配してくれたんだ・・・。

その優しさが嬉しくて、だけど、あの噂が心の重しとなっている。


「・・・うん、大丈夫。」


精一杯の返事をした。

今できる精一杯の返事を・・・


「噂のこと知ってる?」


すると傍にいた永田ちゃんが急に柊君に聞く。


「噂?」


「そう、藤森ちゃんに関する噂。」


「いや、知らないけど。」


「今ね、藤森ちゃん、柳田君と今田君と付き合っているって噂があるの。」


「2人同時に?」


「そう。事実無根で!!」


そう言って、私に同意を求めてくるので私はうなづく。

すると、柊君が「ああ」と声を漏らしてから、


「藤森が違うって言ってるんなら違うだろな。」


彼が私の噂を信じていないと聞いた瞬間にすごく救われた気持ちになる。

思わず涙が流れそうになるくらいに・・・


「俺の知ってる話だと、柳田と今田は2人とも藤森のこと好きって言ってことがあるな。」


「え!?」


「まあ、あの二人だけじゃなくて、同級生・・・

 というか、学校内で人気があるからな藤森。

 うちの学校一って言われてるくらいだし。

 なんか、バスケ部のやつが言ってたけど、

 藤森のファンクラブが外にはあるとか言ってたけど。」


笑いながら話す柊君の言葉に私は驚いてると、


「ああ、あるある。」


永田ちゃんが同意していた。

そんなの私知らないんだけど・・・


「だからだろうな。2人ともが噂を流すのは、

 他の虫がつかないようにしたんじゃないか?」


「なるほどね・・・それなら納得だね。」


柊君の意見に永田ちゃんも同意する。


「私・・・本当に困るんだけど・・・。」


「そうだろうね。別に2人とも好きじゃないんだろう?」


「うん。」


「なら、2人にキッチリと言わないと駄目だな。勝手にそんな噂を流すな!!って。」


「そうだね・・・。」


私は言いに行った時の雰囲気が嫌になり、ちょっと顔をしかめると


「・・・一緒に行くよ。」


柊君がそんな提案をしてきた。


「まあ、めんどくさい奴らだしな。今田の方は力があるし、

 柳田の方は、プライドだけは高いから後で何かと言われそうだしね。」


「・・・いいの?」


「ああ、俺が一緒に行く方がいいと思うけどね。」


確かに柊君がいれば、めんどくさいことが起きた時に、

彼なら解決してくれる。

だけど、私は柊君にそこまでしてもらう権利はない・・・


「私はそこまでしてもらう権利はないよ・・・。」


心で思っていたことが口から漏れてしまい、ハッとするのだが、

すでに聞かれているので遅い。


「・・・いつも気にはなっていたんだよ、藤森のこと。」


「・・・え?」


「俺、学校の図書館で良く本を借りてるんだけど、

 俺の前にいつも藤森の名前があるんだよね。」


気づいていたんだ!?


驚きが頭の中をいっぱいに占める。

私の趣味は読書で、小学校のころから暇さえあれば本を読んでいる。


当然、中学校になってからもそれは変わらなかった。

だけど、自分のお小遣いで買える量は決まっているから

いつも図書館で本を借りていたのである。


ある時、ふと気がついたことがあった。

私の借りようとした本に柊君の名前があったのだ。

他の本も確認するとかなりの割合で柊君の名前が書かれていたのだ!


“柊君も同じ本読んでるんだ!”


私のテンションは一気に上がり、

何だか本を借りるのが益々楽しくなっていった。

柊君の名前がないものを借りた時は、


「柊君、この本読むかな~。読んでどう思うんだろう。」


柊君の名前がある時には、


「うわ!柊君すでに借りてるんだ!!面白いのかな?さっそく読んでみよ。」


どっちらでもテンションが上がってしまう自分に思わず苦笑してしまっていた。


だから、気づいてくることを知ってものすごくテンションが上がる。



「それに、結構コッソリと俺達がストバスやってるの見てるよね。」


苦笑しながら私に告げるのだが、

私は今度は恥ずかしさのあまりに顔がものすごくほてりだす。



私の家の傍にはバスケットゴールがある公園がある。

公園にはストリートバスケが出来るようのコートが二面あり、

1つのコートは私の部屋から見えるのだが、

もう一面の方は建物が邪魔で見えないのだ。


あれは私が中学生になってすぐの休みの日、

窓を開けて、部屋で本を読んでいるとバスケの音が聞こえてきたので

公園の方を見た時に、そこでバスケをしている男の子達を何気なく見ると


“柊君!!!”


バスケをしている柊君を見つけることができたのだ。

そうなると読書どころではなくて、バスケをしている柊君に夢中になってしまう。


柊君はストバスを1、2週間に一度日曜日にしていたため

私はいつも楽しみにしてしまっていた。


だけど、いつも私の家から見えるコートでやっていることもなくて

隣のコートでやっていることもあった。


だからバスケの音が聞こえると思わず家を出て確認しに行ったりもしていた。

その時に柊君が居るチームがいると思わず、物陰から見ていたのだけど・・・


気づかれていたと思うと、本当に恥ずかしい・・・



「だからね、気にしてたんだ。何か今は疲れの方が勝っちゃってるけど・・・。」


そこまで言いかけたところで私は柊君の言葉を遮って、


「私は柊君のことが好きだよ!」


え?っという顔をした柊君に、私はまくしたてるように言う。

柊君には私から言いたいのだ。


「私は柊君が好きなんだ。だから、柊君だけには誤解されたくなくって、

柊君のクラスに行って、柳田君に言いに行ったんだけど、そんな否定している姿も

柊君に見られるのが嫌で、逃げちゃったの。」


ドンドンと本音が話せている。


「柊君は西尾さんと上田さんと別れたばかりで

そんな気持ちがわかないかもしれないけど・・・。」


柊君が苦笑するが、私がきいてる話では西尾さんと上田さんとは

かなりもめて別れたと聞いている。


だから、そんな気持ちにはなれないことも分かる。

それでも私は・・・


「私はそれでも柊君と一緒になりたいの。

 その傷も一緒に癒せたらと思ってる。」


言い切った。

そう、今はっという気持ちも分かるけど・・・

もしかしたら私のことが好きじゃないかもしれないけど・・・

だけど、私の思いは伝えたい。


小学校のころから一目ぼれした私の思いを


中学校になって、一目ぼれした自分をほめてあげたくなるぐらい

柊君の良さを知った思いを


思わず言い切ったせいで肩で息をしてしまった。

そんな私に、


「宜しくね。」


微笑む柊君がそこにいたのであった。


気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

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