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柊君へ  作者: Taさん
第三章
228/254

小野さん ~21~

明るい美少女・・・ちょっと抜けてる小野さんのお話です!

「とりあえず・・・何をしたらいいんですか?」


柊と話しをした後、すぐに私は行動に移して、

名刺をくれた事務所へと連絡を取って、

今日はいよいよその事務所に行ったのだけど・・・



「いやぁ~!来てくれてうれしいよ!!」


とか、



「本当にかわいいね!!」


などなど、べた褒めをされるし、

なんだか怖いんですけど・・・


よかった・・・一緒に両親が来てくれていて・・・


私一人だったら、きっとどうやって逃げ出そうかと

考えてしまっているだろ・・・


それからもずっと私をほめてくれる。

そして、両親はまんざらでもない顔をして

事務所の人たちの話を聞いているのだけど・・・


結局、具体的な話には全く至らないため

ついに私はしびれを切らして、



「とりあえず・・・何をしたらいいんですか?」


そう尋ねるのであった。


するとハッとした顔をしたかと思うと、



「いやいや、ごめんね。

 いやぁ~本当にうれしくてね!!」


興奮気味に事務所の社長が笑いながら頭をかく。

そんな風に喜ばれると・・・まあ、来たかいがあったというか・・・


うちの両親は有頂天だし・・・



「歌や踊りはどうかな?」


「そうですね・・・学校でやるくらいですかね。」


「まあ、そうだよね。」


そういって、どうやら私は歌やダンス、

それに演劇の練習のレッスンまですることが決まっていく。


・・・そんなものなのかな?


なんか言われるままで怖いのだけど・・・


それに・・・



「結局、私は何をするんですか?

 アイドル?それともタレント?それとも女優?」


その質問に対して明確に返事をしてくれる。



「正直に言って、わからないが答えだよ。

 申し訳ないですけど・・・。

 見た目は十分に通じると思うし、

 今のやりとりでも十分通じると思うから、

 タレントとして活躍できると思うけど・・・。」


「思うけど?」


「それがずっと続くとは思ってないんだよ。」


「・・・それでほかの芽もってことですか?」


「そう。そう思っている。」


「なるほどね・・・。」


意外としっかり考えてくれているってことかな?

まあ、ただ心配事もあるのだけど・・・



「そのレッスン受けるのはいいのですが、

 その費用ってどうなってるんですか?」


「それはこちらの負担になるよ。」


「それは契約書に明記をしていただけますか?」


それまで私と社長が話していただけだったのだが、

急に父親が私たちの話に割って入ってきた。


そして、その父の目はさきほどまでにこやかなものであったのだが、

笑顔は絶やしていないけど、その目は鋭さがある。



・・・正直に言って・・・


こんな父親を私は見たことがなかった!


いつもにこやかで談笑している父親しか見たことがなかったけど、

仕事をしている父親はこんなに怖いものなのかと思ったのだ。


そう!


私はこれまでの人生で一度たりとも怖いと思ったことがなかったけど、

ここにきて初めて体験したのである!!



「・・・明記させていただきますよ。」


「そうですが、それはよかった。

 出来上がった契約書はサインをする前に私が確認しても?」


「ええ、かまいませんよ。

 ・・・お詳しいのですか?」


そんな社長の質問に対して、



「あ、申し遅れましたね。」


そういいながら、カバンから手帳を出したかと思うと、

一枚の名刺を取り出して、



「弁護士の小野と申します。

 ・・・って、名前は小野は娘と一緒ですからすでにご存じですよね。」


そんな笑いをしながら、名刺を渡すと、社長のほうが緊張するような面持ちになっていた。

すました顔をする父親なのだが、鋭い目でそんな社長を見ていた。


・・・うぉ~!!仕事モードの父ってこんな感じなの!?


今日一番の驚きはこの仕事モードの父親である!!


そこからは父が事前に調べてくれていたようで、

社長に次々と質問をしていく。


私と母はそのやりとりを呆然と見守っていた・・・


結局、父と社長のやりとりでその後は1時間ほど経過して、

すでに私は待ちくたびれてぐったりとしていた。


ただ、まあ、とりあえず今後のレッスンがいつだということを聞かされて

終わったのであった。


私も母もぐったりとしていてのだけど、

父だけは違って、なぜか生き生きと契約書を眺めていた。



・・・仕事中はこんなに生き生きしているのか・・・


家にいる父は、母におびえていて、

母の顔色を窺っていおびえているのに

こんなかもできるんだな・・・


そんなことを考えながら、事務所を出て、



「せっかくここまで新幹線で来たのだから、

 ご飯くらいこっちで食べて帰ろうか?」


そんな母からの提案に、



「いいねー!!私、パンケーキが食べたい!!」


「父は、お肉が食べたいのだけど・・・。」


・・・そこには先ほどまで輝いていたのに

その輝きが今では完全に消えて、

私と母の顔をうかがっている父の姿あったのであった・・・


せっかく・・・


さっきまでかっこよくって見直していたのに・・・


そんなことを思っていると

父の携帯が鳴りだしたのであった。


父は懐から取り出した形態を見て、



「誰だろうか?」


「休みの日にも仕事のなの?」


そんな母からの言葉に、あわてて、



「そ、そんなことないからな!すぐに断るから!」


あわてて電話に出る父、ただ、最初は仕事関係かと思ったのか、

切ろうとしたのだけど、その行為が固まったかと思うと

いきなり私と母がいるほうを向いてきて、



「・・・仕事が決まったよ・・・。」


そんなことを言うのだけど、それを聞いた母は、



「・・・休みの日に仕事の話はダメって言ってるじゃない!!」


そう一喝するのであった!!

その声に慌てて、



「いやいや、僕じゃないよ!

 今、電話がかかってきているのは先ほどの事務所からだから!」


その言葉を聞いて、すぐには動かなかったのだけど、

頭の中でその言葉の意味を理解すると、



「わたし!?」


思わず目をみひらいて驚くのであった!!


まださっき事務所に入りますっていったばかりなのに!?


家族3人、あまりのことに呆然とする。


・・・こんなあっけなく仕事って決まるんだ・・・

気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

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