小野さん ~18~
明るい美少女・・・ちょっと抜けてる小野さんのお話です!
「柊!いいところに帰ってきた!!」
「・・・全然いい感じはしないけど・・・。」
そう言いながら私をジト目で見てくる柊!
いい感してるよ!!
私と妹ちゃんは目を輝かせて、
「実はね・・・ストーカーが外にいてね・・・。」
「お兄ちゃん、何とかして!!」
「・・・はぁ?」
間抜けな返事をしてくる柊に対して、私達の行動は早かった!
っというか、お母さんの行動が早かった!
柊のカバンだけを置かせて、押し出すと、
「さあ、行っておいで!!」
「いやいや、制服のままで!?」
「もういいじゃん!どうせ着替えても変わらないし、
いやなことはとっとと終わらせた方がいいじゃない。」
「・・・その前提は俺がすることになってるよね?」
「そうよ。」
「・・・。」
超めんどくさそうな顔をしているけど、
お母さんからの命令のため逆らうことができないことを理解してか、
大きなため息をついて、そのまま玄関へと向かって行く。
「ど、どうするの?」
そんな柊に私が尋ねると、
「どうするもこうするも、直接話し合うしかなくないか?」
「す、ストーカーだよ!?」
「ストーカーでもね。はぁ~、刺されないことを願いながら行ってくるわ。」
そう言って、ためらうことなく外へと出ていく柊。
私は慌てて柊の後ろを追っていくのであった。
「何でくるの?」
そんな私に柊が尋ねてくるのだけど、
「そんなの当然じゃん!私のことなのに!!」
「そう?危険だから家の中にいた方がいいんじゃない?」
「いいや!柊一人に危険な目には合わせられないよ!!」
「まあ、少し離れていてよ。」
そういって、ストーカーの方へと足を進めていく。
すでに私の目にはあのストーカー男子の姿を捉えており、
柊もきっととらえているのだろう。
まっすぐにその男子の方へと向かって行く。
自分の元に向かってくることに気づいて、慌て出すその男子。
そして、あと少しというところで、いきなり後ろに向かって走り出したのであった!!
「ちょっと待てや!!」
そう言って、走り出す柊。
さすがは陸上部!!
あっという間に追いついたかと思うと、すぐに腕を掴んで、引っ張り出す!!
「はなせよ!!」
そう言ってくる男子であったが、
そんな男子に対して、柊は容赦なく・・・
投げ飛ばすのであった!!!!
マジか!?
問答無用で投げ飛ばして地面に叩きつけたと思ったら、
男子の腕を背に回して、固める。
「いてええ!!離せよ!!」
そんなことを言ってくる男子に対して、
何も言うこともなくカバンの中を片手で漁りだす柊。
「何してるんだよ!!泥棒か!!」
そんな罵声を浴びせてくるにも関わらず、
柊はまったくどうじることもなく、
「身分証明証があった。」
そういって、カバンの中から学生証を出してくるのであった。
「てめえ!!何しやがるんだ!!」
「黙れストーカー!!」
大声で叫ぶ男子に対して、柊が一喝する!
「放しやがれ!!」
それでも叫ぶ男子に対して、
ボコぉ!!!
何と殴りつけるのである!?
相手は柊に抑えられて、地面に押さえつけられているのに
更に殴るとは!?
あまりのことに驚いてしまうし、男子の方も明らかに恐怖におびえだすのであった。
「・・・少し静かにしてもらえるか?」
そう言いう声が先ほどまでと違って冷たく言い放たれる。
その声を聞くと、さっきまで騒いでいたのが嘘のように静かになった。
さらには動き出すこともなく、ただただ固まっている。
「さてと・・・。」
相手が大人しくなったのを確認した後に、
学生証へと視線を向ける。
「なるほどね・・。」
そう言いながら、必要な情報を得たのだろうか、
私には聞こえないように耳元で何やら呟くと、
「・・・。」
絶句したような顔をする男子。
若干、顔が青くなったように思えるのだけど・・・
何を確認したのか、柊は手を放して、
「次はないから。」
そう告げると、それに対して、うなづくことも反応することもなく
そのままこちらを振り向くことなく、柊が持っていたカバンを
とってから、すぐに立ち去って行ったのであった。
姿が完全に見えなくなってから、私は柊に近づいて、
「・・・何を言ったの?」
「まあ、それは・・・いいんじゃないの。」
そういって笑ってごまかす柊であったが・・・
「・・・ありがとう。」
「どういたしまして、これでとりあえずさっきのストーカーは
これからなにもしてこないんじゃないかな。」
・・・ホント、一体何をしたのよ・・・
不審な目を柊に向けるけど、
そんな私の目に気づいていないように、
「じゃあ、小野の家まで送るよ。」
そう言って、柊は駐車場から自転車を取り出してくるのであった。
「送ってくれるの!?」
「ああ、また何かあるかわからないからな~。」
「じゃあ、お言葉に甘えて!」
そう言って、私は一旦家に戻って荷物を取ってきて、
柊の自転車の籠の中に荷物を入れて、
「じゃあ、宜しく!!」
「はいはい。」
そう言って、私に後ろにあるステップに立つように指示をして、
私を後ろに乗せて柊と一緒に自宅に帰るのであった。
今、見えるのは、私が知っている柊という男の子の背中ではなく、
柊という男性の背中がそこにあったのであった。
・・・こんなに大きいんだ・・・
その背中は大きくて、そして頼りがいのあるものになっていた・・・
わずか2カ月ほど別々の学校に行っただけで、
そんな風に思うようになるとはねぇ・・・
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




