藤森さん ~3~
藤森さんの話です!
その日も練習を終えて帰ろうとしたのだが、
永田ちゃんは風邪を引いており、1人で帰宅することになった。
いつも歩いている道なのだが、いつもは一緒に居る永田ちゃんがいないと
すごく寂しく感じてしまう・・・
寂しさと心配もあって永田ちゃんに電話を掛けると、
「おつかれさまぁ~。」
電話越しに聞こえてくる永田ちゃんの声にどこかホッとしてしまう。
「心配したよー。体調はどう?」
「全然平気だよ!というか、実は・・・。」
そう言うと急に電話が切れたかと思ったら、
「ここだよ!!」
そういって、目の前のコンビニから永田ちゃんが出てきたのだ!
「風邪で寝てたんじゃないの!?」
私が驚いて永田ちゃんを見ると、ちょっと申し訳なさそうにしながら、
「実は・・・ただの寝坊なんです。」
「・・・え?」
永田ちゃんが言うには、昨日からお父さんが出張でおらず、
お母さんと夜中まで楽しんでいたところ、
2人で寝坊して起きたら昼になっていたらしい。
お母さんが何回も学校から電話がかかっていることを知って、
慌てて謝罪の電話をして、病院に行っていたと嘘をついたため
永田ちゃんも風邪ということで学校を休んだとのことでした。
「・・ちょっとあきれちゃうよ。心配したのに。」
「ごめん、ごめん!」
ため息交じりの私に平謝りの永田ちゃん。
その後は、コンビニでアイスを買って食べてから、
家路につこうとしたところで、
「藤森ちゃん、こんなところで買い食い何っていけないんだよ~。」
甘ったるい声であの先輩3人が私達の前に現れたのであった。
・・・コンビニ何か寄らずにすぐに帰ればよかった・・・
頭の中で後悔するのだが、すでに時遅く、
近づいてくる先輩に永田ちゃんもおびえて私にくっついてくる。
せめて永田ちゃんだけでも!!
そう思った時である。
「やっぱり懲りずにやってますね。」
そう言って現れたのは柊君であった。
柊君のお友達も一緒に居るようで、何人かは学校で見たことがある気がした。
「お、お前たち!?」
囲まれた先輩達はタジタジになるのだが、
柊君がある先輩の手を掴んで、一気に投げ飛ばす。
「なーにを持ってるんですかね?」
そう言って、ポケットに入っていた手を抜き出すと・・・
ナイフ!?
「・・・噂通りとはね・・・。」
握っていた先輩の手からナイフをとりあげる。
「警察に電話だな。」
柊君がそう言って、話を電話をしようとしたところで
柊君たちと一緒に居た竹中さんが、
「ちょっと待った。まずは先生に電話しよっか。」
そう言って、柊君の電話を受け取り、陸上部の顧問の村西先生に電話をかけて、
しばらく話し込んで、通話を切ってこっちに来て、
「もうすぐしたら村西先生が来るから、このままいろって。」
そう言いながら、私達に「大丈夫だった?」と聞いてくる。
大丈夫だったことを確認すると竹中さんはすぐにコンビニに行って、
いくつも入ったクリームパンを買ってきて、
私と永田ちゃん、柊君に食べるように促して、自分も食べだした。
その頃になると、あわただしく車が到着し、
2人の先生がこちらに向かって走ってきた。
そして、来たと同時に・・・
「お前ら!!歯を食いしばれ!!」
そう言って、3人の先輩達にビンタを張るのであった。
その後、竹中さんがナイフを所持していたことを伝えると
先生がすぐに持ち物検査をするのだが・・・
どんどん持ってはいけないものがでてくるのであった。
青ざめていく先輩達と調べている先生たちも青ざめていった。
そして、車に先輩達を乗せたところで、
「ところでお前たちは何でこんなところにいるんだ?」
そう聞いてきたところで竹中さんが、
「私が誘って買い食いしてたんです!」
そう言って、買った袋をヒラヒラと先生に見せる。
「・・・買い食いは禁止だぞ?」
「だけど、お腹をグーグー鳴らすんですよ、この子ら。
それに運動した後30分以内に炭水化物を摂取する方がいいんでしょう?
速くなってもらいたいから嫌がるこの子達に無理やり買い食いさせたんです。」
竹中さんがスラスラと答えていくことに、苦々しい顔をする村西先生だったが、
「私が無理やり食べさせたよね?」
竹中さんが私達に視線を向けて、確認してくる。
確かに無理やり口の中に入れられたけど・・・
「・・・ああ。」
柊君がそう答えたのをかわきりに、私達もうなづく。
沈黙する先生であったが、
「ゴミはしっかり捨てておけよ。もうすぐ他の先生もくるからな。」
そう言って、先生は先輩達を連れて学校へと戻ったのだ。
その後、私達も別の先生に連れられて、学校に戻って事情を聴かれたのであった。
先生達からの事情聴取が終わって廊下に出たところで
一緒に居た竹中さんが、
「藤森さん、私と連絡先交換してもらっていい?
何かあった時は遠慮なく連絡して。」
「う、うん。」
竹中さんと連絡先を交換している間も
「やっぱり可愛いと大変だね~。」
色々と心配をしてくれる竹中さん。
良い人だ・・・竹中さんって・・・。
するとどこからか柊君が現れたのだが、
「ちゃんと釘刺した?」
「ああ、しっかりと。」
「そう、ちゃんと釘を刺したなら・・・もう大丈夫かな?」
この時、柊君とやりとりをする竹中さんは・・・ちょっと悪い顔をしていて
さっきまでの良い人っていう思いが揺れてしまう・・・。
この後は、学校から実家に電話がいっており、
両親が迎えに来てくれていたのだが、
「どうなっているんですか!!」
お母さんとお父さんが本当に先生達に怒っていた。
実は小学校の時からこういうことはあっていて、
お母さんとお父さんはすごく気にしていた。
私が小学校の時、男の子からはちょっかいを掛けられ続けて、
同じ女の子達からは非難されることがあったのだ。
それがあまりにエスカレートしていき、
ついには学級問題へと発展していった。
私の両親は男の子達と女の子達に謝るように求めても
先生は子供ですから・・・ねっといった感じで、
問題にならないようにならないようにしていたのだ。
だけどあまりにことに耐えかねて私の叔父が、学校に乗り込んできたのである。
弁護士をしている叔父が乗り込んできたことで
学校の先生達の対応は急変することになる。
男の子と女の子達の親御さんたちにも叔父の矛が向くことになり、
騒然となったのであった。
ここから私に対してクラスメイト達の接し方に変化がみられるのだが、
そんな中でもずっと変わらず居続けてくれたが永田ちゃんだ。
そんなこともあって両親も神経質になっていたので、
かなり先生たちに食いかかって抗議をしてくれた。
結局、生徒3人には『自宅学習』という処分が下ることになり、
卒業するまで私はこの3人に会うことはなかった。
この後、柊君とは少し話すようになったのだが、
柊君に彼女がいることを聞いて、ショックを受けつつも
やっぱり柊君への思いは揺らぐことながなかったので、
チャンスをうかがうようになっていた。
竹中さんから、
「柊の彼女は一つ上だよ。
私達が3年生になる頃にはいなくなるんだよねー。」
そんな甘い誘惑の言葉があったのは否めないけど・・・。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




