小野さん ~1~
明るい美少女・・・ちょっと抜けてる小野さんのお話です!
私と柊は幼稚園の頃から、一緒である。
幼稚園でも小学校でも話すことは、たまに話す程度の仲だったけど、
それが変わり始めたのは中学生になってからだ。
中学生になってから、柊と同じクラスになった。
だからといって、当初は挨拶をする程度の仲であったのだけど、
「小野さんって柊君と話をしたりするの?」
「うん、するよ。」
私が柊と挨拶を交わしたところを見たようで、
クラスにいた女子達が私に話かけて来たのである。
「すごいね~。」
「何が?」
みんなから尊敬のようなまなざしや羨ましいといった感じの目で見られてくる・・・
そんな目で見られる理由が全然見えてこないんだけど・・・
正直言って、困惑している。
だって、本当に思い当たる節がないんだもん!
だけど、どうしてそんな目で私が見られていたのかはすぐに分かった。
「柊君ってかっこいいよね。」
「柊君って彼女知るのかな?」
などなど・・・色々と聞かれてきたからである!
あ、この子達は柊が恋愛対象なんだ!?
そのことにまず私は驚いた。
だって、柊のことは小さい頃から知っている。
それこそ鼻たれ小僧のときからだ!
そんな相手が恋愛対象になるか?
・・・いいや、ないな・・・
羨ましがられても、「はぁ~・・・。」としか言いようがないんだけどな・・・
その後もしばらく柊について尋ねられる日々が続いた。
だけど、それも一週間もすれば落ち着いていきて、
というか、すでに柊は他の女子達に囲まれていて、
私に何か情報を聞きに来なくてもいい状況になっていた。
正直に言って、この時点で私の中で柊はそんなに高い順位にはいなかった。
それよりもテレビに出てくるタレントを追いかけている方が
はるかに楽しいことであり、こっちを求めるのが当然だ!
中学生になってから、一つ驚いたことがある!
授業に武道を習う時間があるということだ!
当然男子もするけど、一年目にはなぜか女子も武道をすることになっていた。
「こんなのめんどくさいよね~。」
「だよねぇ~。」
正直に言って、気分がいいものではない。
一応、柔道をすることになっていて、
女子には学校で用意している柔道着があり、
体操服の上から柔道着を着て、授業を受けるのだけど、
その柔道着が臭い!!
一応、洗っているといっていたのだけど、
全然臭いがとれていない!!
そして、柔道着を着ても、柔剣道場はものすごく寒い!!
足の先からどんどんきんきんに冷えていき、
本当に楽しいモノではなかったのだ。
「は、早くおわらないかな・・・。」
正直に言って、これが女子達の総いだろう。
だけど、そんな私達の空気は先生に伝わることもなく、
すごく楽しそうに授業をする先生。
この時、男女一緒で授業を受けていた。
理由は簡単で、女子の体育教師は柔剣道をしていた経験がなく、
男の体育教師のみが柔剣道をしていたために
まとめてみることになっていたから、男女合同での授業となっている。
ただ、女子が柔道をしている時は、男子は剣道、
女子が剣道をしている時は、男子は柔道と交互に行われていた。
そのため男女が入り混じることはなかった。
今日も寒くて、辛い柔道の時間が始まると
覚悟を決めて柔剣道場に向かう。
そして、授業が始まってしばらくした時のことである。
「柊は、剣道経験者なのか?」
素振りをしていた柊に先生がそんなことを尋ねていた。
「いえ、したことがないです。」
そう答える柊。
私も知っているけど、柊は剣道をしたことがないはず!
っていうか、馬鹿みたいに親に言われて習い事をしていて、
剣道をする時間なんてないと分かっていた。
「そうか?・・・じゃあ、何か格闘技をやっているか?
空手とか、少林寺とか?」
「あ、それはやっています。
中国拳法をやっています。」
「中国拳法!?」
先生の琴線に触れたのだろう、すごく楽しそうに驚いた声を上げる先生。
そして案の定、
「ちょっと見せてくれないか?」
「は?・・・はあ、型を一つくらい見せるのであればいいですけど・・・。」
「よし!じゃあ、お願いしよう!」
ものすごく渋々といった感じの柊と目をキラキラとさせる先生。
この温度差って・・・
見ている私達が失笑してしまいそうになるくらいだ。
「中国拳法って、実際には何拳をやっているんだ?」
「はい、太極拳をやってます。」
「ふむふむ、面白そうだな。」
そう言って、満面の笑みを浮かべている先生だが、
私達生徒は、柊の言葉を聞いてみんながゴソゴソと話しだしていた。
「太極拳ってなんかよくテレビで観るやつだろう?」
「ねえ、何か柊君のイメージに合わないんだけど。」
「体操じゃないの?あれって?」
ヒソヒソと太極拳に対してのイメージをいいあい、
そのイメージが柊の持っているカッコイイイメージと違うため
減点しているような感じなっていた。
たしかに私もテレビで観たことがある太極拳って
何かゆっくりと動いていて、しかもおじいちゃん、おばあちゃんが
公園とかでやっている一種の体操のようなモノを
正直に言って想像したたのだけど・・・
実際に柊が太極拳の型を披露すると
それまでみんなの中に流れていた空気が一変するのである!
ドーン!!
床に響いてくる音にまず私達は驚いた!
柊が足を上げて下して、地面を強く蹴ったため発生した音なのだが、
全然健康体操とはかけ離れた蹴りに驚く。
その音をきっかけに柔剣道場で囁かれていた声も完全に消えたのだろう。
バン!
柊が右手で突きをすると空気?服?そんな音が
柔剣道場に響き渡るのである。
そこには私達が知っているものとはまったく異なるものが存在した。
ゆっくりと動きことはない
バン!と柊が動くたびに響き渡る音
床を蹴る激しい音と振動が無言の柔剣道場に響き渡るのであった。
・・・
型が終わったのだろうけど、誰一人喋ることはなかった。
そんな中、先生は嬉しそうに拍手をし始めると
それにつられてみんなも拍手をするのであった。
「す、すげえぇな~・・・。」
さきほどまでとは打って変わって、みんなから漏れる声は
驚嘆の声へと変わっていたのであった。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




