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柊君へ  作者: Taさん
第三章
190/254

前田さん ~2~

女子高育ちの前田さんのお話です。

うちと柊君が歩いて、一限の教室に向かっていると

ふと柊君のカバンが目に入ってきた。

その時に・・・



「そ、それ!!!」


思わず柊君のカバンに付いているキーホルダーを掴んでしまう。


だけど、これは私が欲しいキーホルダーなのだ!

我慢何かできへん!!



「どうしたのそれが?」


「どこで手に入れてん!?」


「いや、駅近くのゲームセンターで・・・。」


「どこよ!?ってか、それやったら、今日連れていってや!!」


「いいけど・・・。」


ちょっとうちの気迫に後ずさりながらも

ちゃんとうちのお願いを聞いてくれる柊君。


そんな時は・・・私は結構幸運の持ち主で・・・


そして幸運はここでも発揮される!!



「・・・一、二限休講やって♪」


「・・・。」


何とも驚いた顔をする柊君に、満面の笑みを浮かべるうち。



「・・・なに、呪いか何か?」


「そんな非科学的なことなんかできへんわ!!

 まあ、こんなめったにないチャンスを逃すわけにはいかへんわ!

 行くで!柊君!!」


そう言って、柊君を強引に引っ張って、駅前へと行くのであった。




「で、どこのゲームセンター?」


「ええっとね・・・。」


そう言いながら、うちを案内してくれて、

5分ほど歩いたところにあるゲームセンターに連れて来てくれた。



「ここだよ。ほら、あれ。」


そういって、柊君が指さした先には・・・



「めっちゃある!!?」


うちのテンションがめちゃめちゃ上がってしまうくらい、

うちの好きな子供向け番組に出てくるキャラクターのキーホルダーが

あったのであった!


っていうか、キーホルダーだけやなくて、

人形まであるやんか!!


めっちゃ欲しい!!



「・・・。」


ただ、どうやってこの人形とかを貰えるのかが分からない・・・


困った時の柊君頼みや!!


くるっと柊君の方へと向き直り、



「うちな・・・ゲームセンター初めてやねん!!」


「・・・え?はぁ!?マジで!?」


「マジでや!ってか、そんな冗談言わへんわ!!

 せやからな、どうやったらここら辺のモノがもらえるかわからへんのやけど。」


「そりゃ~、そうだよね・・・。

 っていうか、前田さんって・・・お嬢さん?

 前に女子高出身とか言ってたけど。」


「全然ちゃうで!ってか、それ偏見やし!

 そりゃ~お嬢様もおんねんけど、たいていは庶民や!」


「そうなんだね。・・・まあ、そっか・・・。」


そう言いながらうちを見る目が・・・・



「・・・何がいいたいねん?うちになにか?」


両手を腰に当てて、頬を膨らませて、柊君に滲みよる。

その仕草を見た柊君が・・・



「ぷははは。」


笑いだしたのである!!



「なぁ!?めっちゃ失礼ちゃう?今、うち怒ってねん!!

 それを笑うなんて!!」


そう言って、柊君に詰め寄ると、

柊君も笑いながら・・・・ってか、笑うのはやめへんのかい!!



「いやいや、可愛らしい怒り方だったからさ。

 じゃあ、お詫びにこのやり方を教えるよ。

 これはさ、UFOキャッチャーっていうやつで・・・・。」


柊君はお詫びと言ってやり方を教えてくれて、

私に一度やらせてくれたのだ!


・・・


・・・こんなんむりちゃう?


掴みに行ったアームの力が明らかに弱いせいで、

掴んだにも関わらず持ち上げることが出来へんねんけど!!!



「これ・・・クレームもんやで!!うち、店員さんに行ってくるわ!!」


そういって、近くに制服を着た人がいたので、

文句を言いに行こうとしたところで、柊君に腕を掴まれて止められる。



「いやいや、これでも取れるって。」


「絶対に無理やって!!!

 こんなん詐欺と変わらへんって!!」


「じゃあ、獲ったらどうする?」


「何でも言うこと聞くわ!!絶対に無理やし!!」


「じゃあ、横で見てなよ。」


そう言って、柊君がいろんな角度から私の欲しい人形を見ていく。

数分確認したら、すぐにお金を投入して、



「じゃあ、しっかりと見といてね。」


「うん!」


私の目の前で操作をする柊君。

めっちゃ真剣な目ですんねんな・・・


そして、一回目・・・


何とうちが欲しかった人形をいきなりゲットしてん!!



「どうなってんよぉ!?」


思わず声が上ずってしまう!


だって、うちが操作した時なんか、

全然動かへんかったやん!!


それなのにどうしてやねん!!!



「納得できへんわ!!次はあっちで勝負やねん!!」


そういって、次に欲しいキーホルダーが入っているカプセル型のUFOキャッチャーへと

移動して、そこでも私が先にやって・・・失敗する・・・。


柊君はと言えば・・・



「何で一発でできんねん!!

 うちの時だけ、このアームの力が弱いんやないん!!」


「そんな操作がどこで出来るんだよ!」


「どこか隠しカメラがあって・・・。」


「マンガとかドラマの観過ぎだっての。

 ほれ、これでいいんだろう。」


そういって、うちに獲ったばかりのキーホルダーをくれる・・・



「・・・ありがとう・・・。」


「どういたしまして。」


そういって、柊君の手でゆっくりとうちの頭をなでてくれるのだが、

ちょっと嬉しい反面、何か子供を諭すようで・・・



「ちょっとイラっとすんねんな・・・。」


「何でそんな怒り気味なんだよ!?」


自分でもわからへんけど、ドキドキと照れくささと嬉しさが入り混じって

むずがゆい感じになってしまって、柊君の手を払いのけるのであった。



気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

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