前田さん ~2~
女子高育ちの前田さんのお話です。
うちと柊君が歩いて、一限の教室に向かっていると
ふと柊君のカバンが目に入ってきた。
その時に・・・
「そ、それ!!!」
思わず柊君のカバンに付いているキーホルダーを掴んでしまう。
だけど、これは私が欲しいキーホルダーなのだ!
我慢何かできへん!!
「どうしたのそれが?」
「どこで手に入れてん!?」
「いや、駅近くのゲームセンターで・・・。」
「どこよ!?ってか、それやったら、今日連れていってや!!」
「いいけど・・・。」
ちょっとうちの気迫に後ずさりながらも
ちゃんとうちのお願いを聞いてくれる柊君。
そんな時は・・・私は結構幸運の持ち主で・・・
そして幸運はここでも発揮される!!
「・・・一、二限休講やって♪」
「・・・。」
何とも驚いた顔をする柊君に、満面の笑みを浮かべるうち。
「・・・なに、呪いか何か?」
「そんな非科学的なことなんかできへんわ!!
まあ、こんなめったにないチャンスを逃すわけにはいかへんわ!
行くで!柊君!!」
そう言って、柊君を強引に引っ張って、駅前へと行くのであった。
「で、どこのゲームセンター?」
「ええっとね・・・。」
そう言いながら、うちを案内してくれて、
5分ほど歩いたところにあるゲームセンターに連れて来てくれた。
「ここだよ。ほら、あれ。」
そういって、柊君が指さした先には・・・
「めっちゃある!!?」
うちのテンションがめちゃめちゃ上がってしまうくらい、
うちの好きな子供向け番組に出てくるキャラクターのキーホルダーが
あったのであった!
っていうか、キーホルダーだけやなくて、
人形まであるやんか!!
めっちゃ欲しい!!
「・・・。」
ただ、どうやってこの人形とかを貰えるのかが分からない・・・
困った時の柊君頼みや!!
くるっと柊君の方へと向き直り、
「うちな・・・ゲームセンター初めてやねん!!」
「・・・え?はぁ!?マジで!?」
「マジでや!ってか、そんな冗談言わへんわ!!
せやからな、どうやったらここら辺のモノがもらえるかわからへんのやけど。」
「そりゃ~、そうだよね・・・。
っていうか、前田さんって・・・お嬢さん?
前に女子高出身とか言ってたけど。」
「全然ちゃうで!ってか、それ偏見やし!
そりゃ~お嬢様もおんねんけど、たいていは庶民や!」
「そうなんだね。・・・まあ、そっか・・・。」
そう言いながらうちを見る目が・・・・
「・・・何がいいたいねん?うちになにか?」
両手を腰に当てて、頬を膨らませて、柊君に滲みよる。
その仕草を見た柊君が・・・
「ぷははは。」
笑いだしたのである!!
「なぁ!?めっちゃ失礼ちゃう?今、うち怒ってねん!!
それを笑うなんて!!」
そう言って、柊君に詰め寄ると、
柊君も笑いながら・・・・ってか、笑うのはやめへんのかい!!
「いやいや、可愛らしい怒り方だったからさ。
じゃあ、お詫びにこのやり方を教えるよ。
これはさ、UFOキャッチャーっていうやつで・・・・。」
柊君はお詫びと言ってやり方を教えてくれて、
私に一度やらせてくれたのだ!
・・・
・・・こんなんむりちゃう?
掴みに行ったアームの力が明らかに弱いせいで、
掴んだにも関わらず持ち上げることが出来へんねんけど!!!
「これ・・・クレームもんやで!!うち、店員さんに行ってくるわ!!」
そういって、近くに制服を着た人がいたので、
文句を言いに行こうとしたところで、柊君に腕を掴まれて止められる。
「いやいや、これでも取れるって。」
「絶対に無理やって!!!
こんなん詐欺と変わらへんって!!」
「じゃあ、獲ったらどうする?」
「何でも言うこと聞くわ!!絶対に無理やし!!」
「じゃあ、横で見てなよ。」
そう言って、柊君がいろんな角度から私の欲しい人形を見ていく。
数分確認したら、すぐにお金を投入して、
「じゃあ、しっかりと見といてね。」
「うん!」
私の目の前で操作をする柊君。
めっちゃ真剣な目ですんねんな・・・
そして、一回目・・・
何とうちが欲しかった人形をいきなりゲットしてん!!
「どうなってんよぉ!?」
思わず声が上ずってしまう!
だって、うちが操作した時なんか、
全然動かへんかったやん!!
それなのにどうしてやねん!!!
「納得できへんわ!!次はあっちで勝負やねん!!」
そういって、次に欲しいキーホルダーが入っているカプセル型のUFOキャッチャーへと
移動して、そこでも私が先にやって・・・失敗する・・・。
柊君はと言えば・・・
「何で一発でできんねん!!
うちの時だけ、このアームの力が弱いんやないん!!」
「そんな操作がどこで出来るんだよ!」
「どこか隠しカメラがあって・・・。」
「マンガとかドラマの観過ぎだっての。
ほれ、これでいいんだろう。」
そういって、うちに獲ったばかりのキーホルダーをくれる・・・
「・・・ありがとう・・・。」
「どういたしまして。」
そういって、柊君の手でゆっくりとうちの頭をなでてくれるのだが、
ちょっと嬉しい反面、何か子供を諭すようで・・・
「ちょっとイラっとすんねんな・・・。」
「何でそんな怒り気味なんだよ!?」
自分でもわからへんけど、ドキドキと照れくささと嬉しさが入り混じって
むずがゆい感じになってしまって、柊君の手を払いのけるのであった。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




