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柊君へ  作者: Taさん
第三章
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早川さん ~13~

美人看護師早川さんの最終話です。

「・・・で、なんでうちの大学の付属病院を受けてるんですか?」


「え?だって、ここなら柊君のすぐ傍にいつでもいれるやんか!!」


結局私が選択した病院は、柊君が通っている大学にある附属病院にしたのであった!


数駅分は離れているが、それでも10分少々離れているだけで、

今までの距離間に比べればずいぶん近くなったものである!!


それにマンションは附属病院が用意してくれていて、

安全面も充実した設備になっている!!


しかもお値段も破格の安さだ!!


家電も完備されており、至れりつくせりである。



「これで、柊君も遠慮なく、うちに遊びに来れるで♪」


「・・・行きませんからね。」


「今だけやんか!そんなこと言ってられるのは!!」


そう!


これからいくらでも柊君の通っている大学に顔を出すことが可能なのである!!


だって、そのためにこの附属病院を選んだのだから!!



私が柊君が三回生になる頃に病院に勤め始めたのだが・・・



「こんなに辛いとは思いもせいへんかった!!」


「やっぱり看護師って大変なんですね。」


しょっちゅう、柊君の大学に顔をだして、柊君を捕まえては、ご飯?飲みに行っていた。

まあ、ちょっと余分な子達もいたけど、それは・・・ガードが堅い柊君である・・・


いつもいつも柊君には甘えていたのだが、

それも四回生に上がる頃にある一言で衝撃が走った!!



「本当に就職するの!?」


なんと柊君は大学院には行かずに就職すると言い出したのであった!


当然、この大学の理系ならそのまま大学院に行くと思っていたので

衝撃な発言である!!



「そうですよ。うちは貧しいですからね・・・。働く一本ですよ。」


「どうしてよぉー!私、柊君がおんねんから、この附属病院に就職したんやで!!」


「そんな理由で!?」


「そうやでぇ!!それに柊君がおらへんかったら、絶対に辞めてるわ!!」


「いやいや、たいしたことしてないですよ!俺は!」


「そんなことないねんで!!絶対に柊君のおかげやのに・・・

 その柊君がおらへんのやったら、私つづけれへんわ!!」


柊君がいなくなると思っただけで、いきなり目から涙がこぼれだしたのであった。



「ちょ、ちょっと!早川さん!!」


慌てて私にハンカチを差し出してくれる柊君・・・。

この日の私は相当荒れていて、ついには柊君に、



「もうしらへんわ!!絶対に許さへんよ!!就職なんて!!」


そんな啖呵を切って、喚き散らしたのであった・・・。

本当に恥ずかしい話である。


それから少しして、微妙に柊君とはぎくしゃくしていた。

いつもは気兼ねなく、メッセージを送れていたのだが、それもできず。

それにいつも行っていた大学の天文部にも顔を出せずにいた・・・。



「何で、あんなことしてしまってんやろうか・・・。」


まあ、やってしまった理由はわかるのだけど・・・


それでも私の方が冷静であれば、あんな騒ぎにはならなかったのにな~・・・


最近はご飯を食べていても美味しくは感じていなくって、

今日のお昼もお弁当を一応作ってきていたのだが、

あんまり食べずに蓋を閉じようとした時であった!


柊君からのメッセージが届いたのである!!



「柊君から!?」


思わず声が漏れてしまって、慌てて口を閉じて、周りの人達に平謝りをする。


メッセージを開こうとするのだが、

気分が重くってなかなか開くことが出来ずにいて、



「大丈夫!大丈夫!!大丈夫だから・・・。」


思わず口からブツブツと言って、何とか自分に言い聞かせて、

自分を奮い立たせて、メッセージを開くである!!



“一年就職して、また大学院に戻って来ることになりました”


・・・え?


一度観ただけでは意味が分からず、私は慌てて何度も読み返すのだが、

それでなんとなく分かったところで、すぐに柊君に電話である!



「もしも・・・。」


そんな声が聞こえるやいなや、私は食い気味で柊君に尋ねる!



「どういうことやねん!!」


「・・・今、仕事中じゃないんですか?」


「それよりもこっちの方が大事やねん!!」


「いやいや、仕事でしょう・・・大事なのは・・・。」


「そんなことないねん!で、結局はどうなるんよ!?」


「・・・いや、書いた通りで、一年後に戻ってきますよ。」


「何でそんなことになってんよ!!」


「とある企業が、僕の大学院の費用を出してくれることになって、

 そのために一度その企業に就職しなくちゃいけないんですよ。

 だから、また一年後には戻って来て勉強しますよ。」


「・・・そう・・・。」


思わず涙が流れ出すのであった・・・。


たったそれだけなのに・・・。



「ちょ、ちょっと!?早川さん!!大丈夫ですか!?」


「だ、大丈夫!ここではなかへんから!!」


そういって、無理やり気持ちを立て直すのであった。


自分で笑えるほどに柊君に依存していて、

離れないと聞いただけでこんな簡単に泣いてしまう自分に驚いてしまう。


その後の柊君は就職したとはいえ、試験のため、今後の方針のためと

ちょこちょこと大学に戻ってきて、その後の2年間も柊君と過ごしたである!


・・・ちょっと男女の関係ではないのが非常に残念ではあるけど・・・


それでも本当に辛い時にも柊君んがいてくれて、励ましてくれて

何とか踏みとどまれたと思っている。


本当に辛い看護師生活を全うできたのは柊君のおかげだよ!


看護師生活も5年目になるとだいぶ慣れが出てくる。

そして毎年、新人が入ってきて、辛そうになっているのを見ると


私もこんな時があったな~と思う・・・


きっと柊君がいなければ、今の自分はいなかったというのは過言ではない。


柊君と出会って7年ほどが経過した今でも何かあれば、

いの一番に柊君に相談するのであった・・・



「もしもし柊君!!」


「どうしたんですか?そんなに慌てて・・・。」


「私の下着ってどこにしまったか知らへん?」


「知るわけないでしょう!!何を言っているんですか!!」


「ええぇ~!私のことなら柊君が一番知ってるんやでぇ~!」


「・・・そんなしょうもないことなら電話切りますよ。」


「ウソウソ!冗談やんか!!・・・。」


こんなバカなことを真面目に受け答えしてくれる柊君には本当に感謝やねんな・・・


本当にありがとね。

そして、これからも宜しくお願いします!


気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

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