早川さん ~9~
美人看護師早川さんのお話です。
「・・・殴られたところは・・・大丈夫なん?」
「え?ああ、大丈夫ですよ。慣れっこなんで。」
「な、慣れっこって・・・。」
私が柊君の殴られた頬をさすっていると、
『大丈夫ですよ』と笑う柊君。
「何か・・・ごめんね・・・。」
「何がですか?」
「変なことに巻き込んでしもうて・・・。」
「まあ、男女のもつれはよくあることですよ。
ただ、まあ・・・よくあっては困ることですけどね。」
「・・・。」
「あの先輩の様子だと誰かが介入した方がお互いのためでもありますし、
もしかしたら間違いが起きる可能性があるじゃないですか?あれだけ激怒していると。」
「・・・間違い?」
「そうですよ。さっきのはまだ、素手の殴り合いで済みましたけど、
これがナイフとか、カッターとか凶器を持ってまでに
至っていると笑えなくなりますからね・・・。
・・・今日のことで諦めてくれたらいいんですけど・・・。」
ため息をつく柊君に私もうなづきながら、
彼の意見に同意するが、それでも一抹の不安がよぎる。
「本当に・・・これで終わってくれたらいいけどね・・・。」
何事もないことを願うのであった。
今までに見たことがない元カレの姿があそこにはあった。
あれほど狂ったようになると・・・
今までの元カレなら、何の心配もいらなかった。
だけど・・・背筋に冷たい汗が流れる・・・。
昨晩は嫌なこともあったけど、
柊君の男らしい場面も見れて、私の中での柊君の株は上がっていた。
っていうか、ますます柊君と一緒に居たいと思うようになっていた。
冷静で2つも年下とは思えない柊君。
別れ際、
「この御礼はするねんけど・・・いつがいい?」
「全然気にしなくて結構ですよ。」
「大丈夫!!」
「・・・何が大丈夫なんですか??それは俺が言うセリフでしょう!?」
「大丈夫やって!せやから・・・来週とかどう?休みつくるで!!」
「だから、イイですって!!」
「何で断るのよ!!」
「あれくらいでお礼なんていらないから言ってるんですよ!」
「何でよ!あれ以上のことなんてそうそうないねんで!!」
どうしても私からのお礼を受け取ろうとしない柊君!
こうなれば・・・実力行使だ!!
次の週に阪大学の部長の協力を得て、あることを実行することにした!
ふふふ、私からは・・・逃げれないことを覚悟してよぉ~!!
「お疲れさまです。」
「お疲れさま!じゃあ、行こうか!柊君♪」
「・・・え!?他の人達も来るんでしょう?」
今日は先週の合宿のお疲れ様会と称して、
数人で飲むことを計画して、柊君にも参加してもらった。
当然、そんな計画は嘘で、私と柊君で飲みに行くための計画である!!
名前を借りた阪大学の部長には、私が後日何かを送ることで同意してもらった。
・・・っというか、あの部長もよく協力してくれたな・・・
明らかに彼は私を狙っていたというにもかかわらず、
なぜか私と柊君が2人きりで会うことに協力してくれた。
普通、自分の好きな人が他の男と一緒にでかけることに
協力なんてしないような気がするけど?
少なくとも私は・・・しないな・・・。
まあ、自分の所の先輩があんな失態を犯したと言えば、
協力する気になるのも分かるけどね・・・
あの後、合宿場に戻って包み隠さずに柊君と私、
そして元カレが合宿で暴れたことを話すと
「こちらの先輩が御迷惑をかけてしまって・・・。」
そんな風に恐縮していたのである。
そのためだろう、柊君をだますことにすぐに賛同してくれた。
まあ、元カレに指輪を返すことも言っていたので、
そのことも考慮してくれたのかもしれないな。
「他はみんな都合が悪くなってん!」
笑顔でそう告げると、ジト目で私を見てきて、
「・・・嵌めましたね?」
「人聞きがわるいで、柊君!」
「たまたまみんなの都合が悪くなってん!」
「・・・そんなたまたまがあるわけないと思いますけど・・・。」
「そんなことないよ!たまたま部長さんは都合が悪くなってん!
他のメンバーもたまたま悪くなってんやって!!
まあ、都合が悪くなることなんかよくあることやんか!」
「・・・それはちょっと無理がありますよ。」
苦笑しながらも、
「じゃあ、まあいいですよ。目的の場所に行きましょうか?」
「ホンマ!?」
思わず柊君の言葉に目を輝かせてしまう!!
もしかしたら、柊君がここでお開きというかのと心の中で不安になっていたため
柊君の賛同する言葉が聞けて素直に喜ぶ!
やった!柊君と食事が出来る!!二人っきりだよ!!
相当に嬉しいことで、ルンルン気分になって、
私はいつも行くおしゃれな居酒屋に向かう。
阪大学や看護大学のメンバーでよく使う居酒屋なのだが、
結構おしゃれな作りで、カップルも多く利用しているお店である。
周りがカップルだと私達もそんな気持ちに・・・
ここで頑張れば柊君を落とせるかも・・・
そんなことを考えて一緒にその居酒屋に行くのだけど、
思わぬ人に遭遇してしまうのであった・・・
気づいた点は追加・修正していきます
拙い文章で申し訳ないです。




