武田さん ~10~
イジメられっ子だった武田さんのお話です!
三回生の後期も半ばを過ぎた時に、
四回生から始まる各研究室への希望調査が始まった。
自分の希望もあるが、それよりも・・・
「柊君の希望はこの2つのどっちからしい!!」
関さんが私の前に来て、そう息を荒げて伝えてくる。
「そ、そうなんだ・・・。」
「そうなの!だけど、この情報はすでにみんなに回っているらしくて、
今年はこの2つの研究室の人気が高くなりそうなのよね・・・。」
「そ、そんなに柊君人気ってすごいんだね・・・。」
「そうだよぉ~!それに研究室の先輩からのお誘いもすごいって噂だよ。」
「そうなの?」
「そうなのよ!油断もすきもあったものじゃないよぉ~。」
そう言いながら、泣き顔をして私と両手を合わせる関さん。
関さんには申し訳ないのだが、私自身は柊君が迷っているという2つの研究室の話を聞いて、
私の心の中は踊るのであった!
それは2つともが私の希望する研究しと同じであるからだ!
もしかしたら一緒の研究室に?
そんな期待が湧いてきてしまう。
・・・柊君と一緒の研究室か・・・
それは金曜日で、部活が始まる前に夕食を食べに、
同級生達と食堂に行った時のことである。
「あれ?柊君じゃない?」
御船さんの言葉を聞いて、私が思わずそっちを見ると、
窓際の席に柊君がいて、食事をしていたのである!
たまにいることがあるのは知っていたのだが、
今日は1人で食堂で食事をしていたのである!
すると食券を買って、列に向かう前に前田さんがスタスタと柊君の方へと歩き出して、
柊君と何かを話してくると、荷物を置いて戻って来るのである!
「柊君のそばとってきたでぇ~!」
ニコニコしながらそう告げる前田さん。
彼女も柊君のことが好きな女子の1人である。
そして、その行動力に私はまた驚かされるのであった。
オーケストラ部の同級生の5人が柊君の傍に座り、
一緒に食事をするのだが・・・
「しあわせやんなぁ~!こんなに女子に囲まれて?」
前田さんの言葉に柊君は苦笑しながら、
「そうだねぇ~。幸せです。」
そう答えるのであった。
「そういや、柊君はどこの研究室にすんねんな?」
「俺?」
前田さんがご飯を食べながら柊君に聞く。
すると周りいた面々も柊君へとみんなが視線を向けるのであった。
「そうやで!ってか、柊君ってこの中で自分しかいいへんやん!」
「・・・まあまあ、つっこまれるな・・・。」
「気になってん!どこにするん?」
「俺は・・・まだ2つで迷ってるよ。
とりあえず2つの研究室の話を聞いて決めようと思ってるけど。」
「そうなん!?いがいやなぁ~。」
「なにが?」
「だって、柊君って何でも即断即決って感じやんか!」
「まあ、基本はそうだけど。これはどっちも面白うそうだから、
どっちがより面白いかと思ってね。」
それでより面白そうな方を選択しようと思ったんだよ。」
「ああ!決める基準はきまってるんやね!なるほどなぁ~。」
「前田さんはどこ?」
「うちはなぁ~、ここやねん!」
そう言って、自分の行きたい研究室をなぜ行きたいのかまで語りだす前田さん。
前田さんはやっぱり自分を持っているため好きな人と一緒の研究室に行きたいということもなく
自分の思いに真っ直ぐなんだな・・・
この子と比べると私は邪な気もする・・・
そんな中で、ふと気づいたように、
「そういえば、その二つって武田ちゃんも一緒ない?」
急に私に振ってくるのであった!
「そ、そうだよ。」
「そうなの?もう見に行ったりした?明日二つとも回るけど、どう一緒に?」
そんな誘いを柊君から受けるのであった!!
「あ、明日ならOKだよ。」
「じゃあ、明日回ろうか。」
何と一緒に回るということになったのだ!!
驚きと喜び一杯になっていたのだが、そういえば、
「ほかのみんなは一緒い行かないの?」
心の中では、来て欲しくないと思っていたけど、
言葉にしないと思って他の4人に聞くのだが、
誰もがその研究室は希望していなかったため
どうやら私と柊君の2人で行けることになったのだ!!
その日の練習は全く身が入らずに、何回失敗したことか・・・
そんなズタボロな状態になりながらも、明日のことで頭が一杯だった。
そもそも明日の服装をどうするかから考えなくちゃいけないし、
慌てて家の服の中から選ぼうとするのだが、学校もあるため
そんなに普段着からは離れたような服装はできないし・・・
そんなことをしていると気がつけば・・・すでに夜の1時過ぎとなっていた!!
慌てて、寝ようとしても結局寝付けずに、
ほとんど寝ることが出来ずに次の日の朝を迎えるのであった。
授業中はやっぱり眠気が襲ってくるのだけど、
それでも放課後の時間が楽しみで眠気がすぐに引っ込む。
そして、あっという間に放課後となり・・・
「お疲れ様。」
待ち合わせ場所で待っていると柊君が授業を終えて、
到着してきて、その姿にを見て、すっごくドキドキしてしまっていた。
眠気なんてどこにもなくって、目がどんどんさえていく。
「お、お疲れさま。」
「じゃあ、行こうか。向こうも17時までとか見たいだしさ。」
「うん。」
こうして、柊君と夢のような時間を過ごした。
確かに柊君が選んだ2つの研究室はものすごく面白い研究をしていて、
これ・・・私もやってみたいと思うほどである!
見学を終えて、2人で今日のことを話すために休憩スペースで
コーヒーを飲みながら話をすることに。
「どうだった?」
私の質問に柊君は、うぅ~んっと言いながら、
「どっちも面白そうだよね。」
「だねー。」
確かに私からみても甲乙つけがたい内容だ。
「それにどっちも希望者が多そうだね。」
「そうだよね~。私達以外にも何十人にも見学に来ているって
言ってたよね?・・・5,6人が定員だとすると、
それだけで何十倍にもなりそうだよね・・・。」
「だね~・・・。第二希望に書いても受からなさそうだね。」
「・・・うん・・・。」
その後は、今日観た研究室での研究について
2人で話をしながら、時にはネットを見ながら話をして、
結局は柊君は第一希望を決めていた。
「まあ、受かるかどうか分からないけどね。」
そう柊君が謙遜していたが、柊君が受からなければ誰が受かるんだろう?と思えるくらいだ。
柊君が決めたのを見て、私も邪だけど決めた・・・。
その結果は、3月上旬に発表されたのだが・・・
私は・・・第3希望の研究室に行くことになったのだ・・・。
柊君はやっぱり第一希望の研究室に決定していた。
・・・私も同じ研究室を第一希望にしていたけど、
定員も5人から7人へと増員されていたが、
入ることは叶わなかったのだ・・・。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




