武田さん ~8~
イジメられっ子だった武田さんのお話です!
「私は・・・柊君のことを・・・好きじゃないよ。」
「そうなの?」
関さんから真剣な視線が私に注がれる。
まるで心の中まで見られているような気持ちなるのだが・・・
「関さんみたいに・・・一緒にいたと思うこともあるけど・・・
それでもこの気持ちが好きというよりか、
尊敬しているという思いじゃないかなって思ってるの。
たぶん、助けてもらったことで、好きとかよりも
凄い人だな~っていう思いの方が大きくなっちゃのかもしれないね。」
「・・・・本当に?」
「本当だよ。」
・・・そう言いながらも自分が今にも
吐きそうな思いになっていることに気づいている。
私は・・・自分の気持ちに蓋をした。
関さんというかけがえのない友人と柊君という好きな人を天秤にかけて、
私にとって、関さんがいなくなる方が重いと判断したのだ。
じっと私を見てくる関さんだったが、
少ししてから、その緊張感が緩む。
そして、
「もし手伝ってもらえるのなら、手伝ってもらいたいことがあるんだけど・・・。」
「何?私で出来ることであれば。」
そう答えると、関さんはおずおずとしながら、
「柊君をこの集中講義が終わる最終日に食事に誘おうかと思って。」
「うん。」
「そこで、武田ちゃんも一緒に来るって言っていいかな?」
「え?」
「だって、柊君は私とさしでご飯に誘ったら、きっと断るからさ。
だから、武田ちゃんも一緒って言えば来てくれると思うの。」
「私も一緒に?」
「ううん。実際は私と柊君2人で行きたい。」
「なるほど・・・。いいよ、私の名前を使って。その日は行こうと思っていたけど、
体調が急変したってことにしようね。」
「うん!」
先ほどまで不安そうにしていた関さんの顔が、
満面の笑みへと変わっていく。
私は・・・この選択で良かったっと思う。
彼女にはやっぱりその笑みが似合っているから。
「武田さんも来るんだろう?楽しみだね。」
集中講義の最終日、今日も柊君の傍に私達は座っていた。
当然すぐ近くに座っているのだから、柊君からも声をかけらえる。
「うん。いくよぉー!」
「いやぁ~、久しぶりに寿司を食べに行けるからね~。」
「寿司って言っても回る寿司だからね!
割引券を手に入れたのは回る寿司の方だから!」
関さんはこの日のためにお寿司屋さんのクーポンをどこからか入手してきていた。
柊君の好きな物にお寿司が入っていたから、必死に誘うための口実を探して、
クーポンがあるお寿司屋さんをみつけたのだ!
・・・・そんなことが私にはできなかったな・・・
柊君を好きになって1年半ぐらいが経過する中で、
私が柊君に対して、行動が出来たかと言えば・・・
関さんみたない行動は全然できていなかった。
やっぱりこういう人が・・・好きな人と付き合ったりできるんだろうな・・・
それを実感するには十分だ。
私は好きになってもそれを口に出すことなんて一切できない。
それがたとえ・・・友達に対してもだ・・・
「どうした?武田さん?」
ぼおぉっとしている私に心配したような顔をしてこちらを見てくる柊君。
「大丈夫?」
「う、うん大丈夫だよ。」
そう言って返すのだが・・・
そんな私の心配をしないでよ!!
ああ・・・
心が揺らいでしまう・・・
ぐちゃぐちゃになっていくよ・・・
私は・・・
好きな人を選ばずに友達を選んだんだ!
そのため、ひどく柊君に対して罪悪感を感じてしまう。
関さんには・・・・全然祝福する言葉が頭をよぎらない・・・
今、きっと何かを喋れば、2人を批難してしまいそうな自分が
すごく、すごーくいやだ!!
授業を終えると私は、2人に挨拶らしい挨拶をしたのかどうかもわからないまま
学校を後にして、自分の家に帰るのであった・・・・
「ちょっと!ご飯食べないの?」
「いらない・・・。」
「もう!・・・・冷蔵庫に入れておくから、お腹がすいたら食べなさいよ。」
そう言って、お母さんが私の部屋から出ていく。
何かを察してくれたのか、それ以上の追及はしてこない。
今、私は自分の部屋にいる。
学校から帰ってきたままの恰好で、そのままベッドにうつぶせになって、
枕をずっと抱きしめたままである。
ずっと頭の中をいろんな感情が渦巻いている・・・
好きな人が今、友達と2人で食事をしていることをかんがえるだけで、
頑張って欲しいという思いはもちろんある!
だけど、それとは別にどうして・・・それが私じゃないんだろうっていう思いがある・・・
嫉妬・・・妬み・・・恨み・・・
ぐちゃぐちゃになって頭の中、お腹の中を渦巻いていた・・・
何かを思い出してはそれに蓋をしてをずっと繰り返していたのである。
そして、スマホの柊君の写真を見て、
また顔を枕へと沈めていくのである・・・。
それをもう何十回も繰り返しただろう。
何をやっているんだろうっと思う気持ちがあるのだが、
それでもその行動を止めることはできないのである・・・
そしてまた柊君の写真を見ている時であった・・・
「え!?」
それは柊君の写真をスライドして見ていた時に、
いきなり私のスマホが鳴りだしたのである!!
そして、操作をしていた私は意図していなかったのだが、
電話に出てしまっていたのであった!!
「もしもし?武田さん?」
スマホから聞こえてくる柊君の声に動揺が走ってしまう!!
な、なんで柊君から電話がかかってくるのよ!?
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




