表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
柊君へ  作者: Taさん
第三章
144/254

武田さん ~5~

イジメられっ子だった武田さんのお話です!

「なぁ~に?私を見て何を思っているの?」


ニヤニヤしてくる彼女。


たぶん、私がおびえている姿を見て、楽しんでいるんだろう・・・

だけど、そのことを私は言うこともできない。


ただただ、怯えることしかできないのだ・・・



「あれ?友達を見捨ててこの大学に来たんだ?結局。」


急に私と彼女の間に割り込むように柊君が言葉を発する。


その言葉に対して、キッと睨みながら柊君を見る彼女。

その視線を受けても全く動じない柊君。



「・・・あんた達が受かっていなければ私の友達が受かっていたのに!!」


「・・・ははは!じゃあ、お前が落ちてれば、あの時の友達は受かっていたんだね。」


「な!?」


顔をこわばらせる彼女・・・谷川さん・・・



「だって、そうだろう?俺達が辞退したら、彼女達が受かっていたんだろう?

 それならあなたが辞退していても受かっていたんじゃない?

 なのに、どうして辞退しなかったの?」


その言葉ひどく冷たいように聞こえてくる。


私は・・・私だけじゃなくて、坪倉さんも関さんも私と同じように柊君を見つめていた。

彼は・・・ものすごく冷たい目をして彼女に言っているのにそこで気づいたのだ!


彼の目を見た彼女は、何か言いたそうにはするのだが、

彼の目を見ると完全にひるんでしまっていた



「ええっと・・・名前何って言うんだっけ?」


そう尋ねられると・・・固まったままでいたのだが、

しばらくすると、重い口を開けて、



「・・・谷川・・・。」


「そっか、谷川さんね。何組?」


「・・・4組・・・。」


「じゃあ、俺と一緒だね~。」


柊君が嬉しそうな声を出すのだが、その目が全く笑ってはいない。

そのためか谷川さんはずっと強張った表情をしているのである。


その無言の見つめ合いはどのくらい続いたのかは分からないが、

周りの空気も私たちの間の空気に気づいたようでザワザワと騒ぎ出すのであった。


その空気に耐え切れなくなったようで、

谷川さんがその場から立ち去ろうとしたところで、



「谷川さん!一つだけ忠告しておくよ。」


「・・・何?」


立ち去ろうとする谷川さんに柊君が声をかける。


その声に応じるように谷川さんは柊君の方を向くのだが、

その顔は明らかに怒気を含んでいるような表情になっていた。



「俺の友達をいじめるのは止めてね。」


柊君が微笑みながらそんなことを言うのだが、

それに対して、キッと睨みながら、



「私はいじめなんてしてないわよ!!」


「本当に?」


「なによ!証拠でもあるって言うの!?」


怒気を含んで柊君に噛みつく谷川さん。



「証拠ねぇ~。」


「そうよ!証拠もないのに疑わないでくれる!!

 それもこんなに大勢の前で!!

 私の名誉棄損よ!!謝ってよ!!」


そういって、噛みつくのだが、



「なら、応えてもらえるか?」


「なによ!!」


「合格発表のあった日に、武内さんの受験票を踏みにじっていた女が

 そんなことを言うのかね?」


「あ、あれは、たまたま足元に飛んできて、

 思わず踏んでしまったのよ!!」


「そうなんだ?じゃあさ・・・


 “ほんっとウザいわね!!どうせ受かってないんだから、とっとと帰りなさいよ!!”


 っとか言っていたけど?」


「そんなの言ってないわよ!!

 勝手にそんなでたらめ言わないでよね!!」


「ふぅ~ん・・・。

 じゃあ、その後も俺達が受かっている時に、


 “何であんたなんかが受かってるのよ!!”


 とか、


 “あんたなんか・・・落ちればよかったのよ!!そしたら、この子達が受かっているのに!!”


 とか、罵っていた気がするけどね?」


「そんなこと言ってないわよ!!酷い・・・最低ねあなた!!」


そういって、急に泣き出す谷川さんに対して、柊君は、



「・・・よくそんな演技ができるね?」


ため息をつきながら柊君は、ポケットからスマホを取り出して、

そして何をするかと思ったら・・・



“ほんっとウザいわね!!どうせ受かってないんだから、とっとと帰りなさいよ!!”


柊君のスマホからそんな声が漏れ出したのである!?


みんなの視線が柊君に集まる!!


それもそうだろう!


そこから聞こえて来た声は紛れもなく谷川さんの声だったのだから!

この声を聞いた周りの生徒達は一斉にざわつく!



「う、うそ・・・。」


そう言いながら柊君の方を向き直る谷川さん。

そんな彼女に、



「ウソ泣きじゃん。涙がこれっぽっちも出てないけど?」


「!?」


そのセリフに顔を真っ赤にする谷川さん。

そして、顔を隠しながらも柊君を睨みつけながら、



「で、証拠もないでしょうって言ったけど?

 これは一体なんでしょうかね?

 まさに谷川さんが言っていた証拠ってやつだと思うけど?」


「な、なんでそんなモノ持ってるのよ・・・。」


谷川さんの声は明らかにおびえているのが分かる。



「別にあんたらみたいな連中はよーく知っているからね。

 いざって時のために録音してるんだよ。」


ニッコリと微笑みながら言う柊君に対して、

谷川さんは一気に詰め寄ってきて、スマホを奪おうとする。


鬼の形相のような顔をしながら・・・


だけど、それを巧みにかわして、谷川さんを引き離して、



「俺からはもう俺の友達に一生関わるな。

 それだけ守ってくれたらいいから。」


そう伝えるのだ。

肩で息しながら、ジッと柊君を睨む谷川さん。


その緊迫した空気の中で、

先に空気を破ったのは谷川さんだった。



「・・・いいわよ!もうその女には二度と関わらないから!!」


そういって、カバンをひったくるように掴んで、

ガイダンスが行われていたホールから立ち去って行ったのであった。



「・・・まあ、これで大丈夫だろう。

 とりあえずこれでも絡まれることがあったら、言ってよ。」


「え?あ、うん。」


そう答えるのが精いっぱいだったのだ・・・


気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ