武田さん ~2~
イジメられっ子だった武田さんのお話です!
心臓は早鐘を打ち続けており、また手が震えてしまう!!
それに自分の番号に到着する前に・・・
あ!?
さっきの子達のうち2人の番号がないことに気づいたのだ!!
その番号は私の5つ前にあるはずだった番号2つが飛ばされていた!!
あの子達落ちたんだ・・・
そして、あと少し下に目を落とすだけで自分の番号があるかどうかが分かる!!
もしかして私も・・・そんな不安がよぎるのだが・・・
「おめでとう!」
ふと気づくと自分の横に顔を出してきて声をかけられるのであった!!
「うわぁ!?」
思わずビックリししてしまうと、
「?何でそんなにビックリするのさ?」
「だ、だって、いきなり顔が横にあるとビックリするよ!!」
「それは失礼・・・。いやぁ~てっきり受かって感動しているのかと思ってさ。」
「・・いやいや、そんなこと・・・。あれ?・・・もしかして私受かってた?」
「え!?もしかしてまだ見てなかったの?
視線は君の番号付近に行っていたから、てっきり受かっているのを見て、
感極まっているんじゃないかと思っていたんだけど・・・。
まだ見ていなかったとは思ってもいなかったよ。」
そういって男の子が苦笑するのであった。
私も思わず苦笑しながら、
「いや、ええっと・・・さっきの子達のうち2人の番号がなくって、
あとちょっとで自分の番号の所に行くところだったんだけど、
そこを見るのが怖くって止まってたんだ・・・。
だけど・・・今、言われて見れたよ!
たしかに・・・あったよ・・・。」
自分で番号を見つけると、今度は感極まってしまうのだ!
目から涙があふれだしてきて、顔を覆ってしまうのであった。
すると、
「はい。」
そういって、男の子が涙をぬぐってくれて、そのままハンカチを渡してくれる。
カバンの中に入っているけど、このまま借りてしまう。
そこまで涙があふれて悲惨なことになるなと思ってだ!
どのくらい泣いていたのだろうか・・・
何度も周りで歓喜の声が湧いているのを聞いた。
それとは逆にショックで言葉を失ってしまう人も、目に入った。
「・・・はぁ~・・・。」
やっと涙が止まったので、顔を上げるのだが・・・
「・・・何で顔を隠してるの?」
「だって・・・化粧が・・・。」
「そんなの気にするわけないじゃん。」
「だけど、ムリだよ。男の子にスッピンを見せるのわ・・。」
「ちなみに俺は柊っていうんだよ。」
「あ、お互い自己紹介してなかったね・・・。」
私は、武田っていうの。」
「4月から宜しくね。」
そういって、柊君が手を差し出してきたので、私も手を出して、
握手を交わすのであった。
そして、これを交わしたことで、私はここの大学に受かったんだということを
改めて実感するのであった。
「こちらこそ、4月から宜しくね。」
その後は2人で辺りを見回しながら、もと来た道を戻っていく。
その時だった、私達の目の前に3人の女子達がいるのである!
2人が落ちていることは知っていたが、あと一人は受かっていた・・・
「何であんたなんかが受かってるのよ!!」
受かっている女の子が私に怒気を込めて叫ぶ!
そしてその横では2人が泣いているのだ。
やっぱり2人は番号がなかったんだ・・・
その光景を見て、ハッキリと自覚するのであった。
「点数がよかったからだろう?」
女の子の声に柊君が応える。
するとその女の子が柊君を睨みながら、
「あんたなんかには言ってないわよ!!」
「そう?4月から同じ学部だぜ?俺も。」
そう伝えると驚いたような顔をする女の子!
「・・・え?あんたも?同じ学部なの?」
「そういうこと、宜しくね。まあ・・・仲良くしようや。」
他の二人が落ちているのだから、何と声をかけていいのか完全に迷っていて、
そんな言葉をかける柊君。当然柊君は苦笑しながらであるが・・・。
「あんたなんか・・・落ちればよかったのよ!!
そしたら、この子達が受かっているのに!!」
「そう言われてもねぇ~。
じゃあ、貴方が落ちてもこの子達が受かっていたんじゃない?」
そう言うと言葉を詰まらせる。
そんな彼女に更に追い打ちをかけるように、
「俺達は辞退するなんてことはないけど、そんなに友情が大事なら
入学辞退したらどう?そしたらあなたの代わりに追加合格するかもしれないよ?」
「・・・え?」
そう言われるとさすがにバツが悪い顔をする女の子。
ただ、それを聞いた他の女の子達がその女の子を見るのである・・・・
“追加合格”
その言葉を聞いて、その可能性が頭をよぎったのだろう!
だって、この2人は前期試験で合格ラインは通っていると自己採点しているのだから、
もし合格者が辞退したら自分が受かるかもしれないと思ってしまうのだ!
自分は今まで味方に居たはずなのに、
私達に向けていた矛先が自分に来ると狼狽しだす。
「わ、私は・・・。」
その言葉の続きは漏れることもなく、
一緒に滑り止めに受けていた私立大学に行くという言葉は
彼女の口から漏れることはなかったのであった。
そんな彼女に向かって、肩を叩きながら柊君が、
「中途半端な友情は出さない方がいいよ。」
そう言って、今度は私に帰ろうと促しながら、
2人でその場から立ち去って行くのであった。
その時のその場に残された3人の中では
ものすごい気まずい空気が流れていたのは言うまでもない・・・
「ね、ねえ。」
「何?」
「あの子達、あのままでいいのかな?」
私が彼女達の心配をすると柊君は驚いたような顔をして、
「優しいね武田さんって。」
「そ、そんなことはないけど・・・。
だって、あの落ちた2人は受かった子に
ものすごい食い入るような目で見つめてたじゃん・・・。」
「まあ、俺達が心配するようなことはないよ。
何とかするんじゃない。」
苦笑する柊君。
「何とかなるのかな?」
「・・・命は奪われないと思うけど?」
「結構な大ごとになってるじゃない!?」
「まあ、だけど、自分が言った言葉が自分に返しただけなんだけどね~。
まあ、人を呪わば穴二つって諺がピッタリでしょう。」
「それは・・・そうだけど・・・。」
そんなことを言っていると気がつけば正門まで到着しており、
「俺は親がそこの喫茶店で待ってんだよ。」
「そうなの!?」
「俺、こっちの人間じゃないからさ、このまま諸手続きをして帰ろうかと思ってね。」
「ああ!そう言うことか。」
「武田さんは?」
「私は今から親に連絡を入れるよ。」
「そっかまだだったね!急いで入れてあげなよ。」
「うん!それじゃあ、ここで!」
そういって、私は柊君と別れて、歩きながら電話を実家に入れる。
親に合格を告げると、私の言葉に泣きながら喜ぶ両親。
そしてまたその言葉に引きずられて私も泣くのであった・・・
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




