岩崎さん ~4~
ザ・関西人の岩崎さんの話です!
「・・・本気ですか?」
「ダメ?」
「いや・・・そちらがそれでいいならいいんですけど・・・。」
困惑した表情で私を見てくる柊君。
それもそうだろう!!
早速事務所に来てもらって、本登録をしてもらっているのだが、
そこに添付する顔写真を・・・・
チェキで撮ろうとしているのだから!!
「いいんやって!はよー!ちゃんとポーズ取ってや!
こんなんで時間取ってたら、なかなか帰られへんで!」
「いやいや、証明写真でしょう!?何でポーズを取らないとダメなんですか!?」
「いちいち細かいこと言うねんな~。ちっちゃい男やで!!」
「ちっちゃくなんかないですから!!」
そう言いながらも、一応こちらの指示通りの姿勢をしてくれて、私がチェキを撮るのだが・・・
「あ!?」
「・・・どうしたんですか?」
「チェキはこれだめやってん!」
「・・・確信犯ですよね?」
「確信犯ですか何か?」
「そこは開き直っちゃ駄目でしょう!?じゃあ、無駄じゃないですか!?」
「無駄にはせんよ~!しゃあなしで私の席に飾っといてあげるわ。」
「・・・めっちゃ上から目線な気がするんですけど・・・。」
「四回生で、今年22歳ですけど?」
「・・・失礼しました岩崎先輩・・・。」
「よろしい!!」
「・・・何か、初めて会った時と比べて、
ずいぶんキャラが変わってきた気がしますけど・・・。」
「そう?私はこれが地やねんけどな・・・。
それに今、事務所に誰もいいへんしさ!」
「・・・それだと僕と岩崎さんは、男女なんで気をつけた方がいいですよ。」
「え!?もしかして柊君って襲っちゃう系?」
「何ですか襲っちゃう系って!?襲いません!
だけど、岩崎さん可愛いんだから、気をつけた方がいいですよ。」
その言葉に心が跳ねる。
いつも言われ慣れている“可愛い”という言葉が、
柊君から言われるとこんなに照れ臭いモノだとは・・・。
「・・・おだてても何もでてきいへんよ?」
「別におだててませんよ。思った通りのことを言っただけです。」
「・・・好きになる?」
「なりません。」
「そないに断言せんでもいいんちゃう!!」
「だって、その性根が残念過ぎて・・・。」
「残念っていうなや!!」
こんな会話をずっとしていたせいか、普段だったら本登録に10分ほどで済むはずが、
30分以上かかってしまうのであった。
というか・・・この時間が終わらないようにしていた気がする・・・
普段は絶対に人前では見せないこの性格を
柊君の前では暴露してしまっていた。
それも全然、そんなことを気にもする様子もない柊君。
ああ・・・この子といると楽だわ・・・
一緒にいて、素の自分で過ごせるってこんなにも楽なんだな~・・・
まあ、最初のファーストコンタクトで今の学校生活の
自分の求められるポジションが決まってしまったのだは、
まさに自業自得とは思うけど・・・
それでも本来の自分は本当にみんなから求められる姿とは
程遠い位置にいるんだなぁ~と考えさせられた。
たかだか30分ほどの柊君と接しただけなのに
それを痛感させられるには十分な時間だった・・・
それが正直な感想であった。
今まで笑顔で愛想よく振りまいていればよかったのとは違い、
愛想を振り向いて見向きもしてない柊君。
むしろ自分の地の部分を見せても全く引かずに
そこをいじってくる柊君が面白いのだ!!
はぁ~久しぶりにこんな楽しい時間が過ごせたな・・・
「そう言えば、晩ごはんはどうするつもりんなん?」
「今日ですか?今から学校に戻って、それまで学食が開いてれば学食で、
開いてなければ、家に帰ってカップラーメンですかね。」
「あれ?自炊してないん?」
「普段はしてるんですけどね、ここ数日は買い物に行く暇もなかったんで、
冷蔵に何も入ってないんですよ。
それに今から作るのもちょっとめんどくさいから手を抜こうかと・・・。」
そう言って舌を出す柊君が・・・意外と可愛いなこいつ・・・
「じゃあ、お姉さんが奢ってあげるよ。」
「いいんですか!?じゃあ、お肉で!」
「・・・急に厚かましくないかい?」
「じゃあ、お任せします!安くて美味しい店をお願いします!」
「・・・じゃあ、ちょっとだけ待ってて。
一応今日の仕事は終わってるから、教室長に報告したら終わりなのよ。
もうちょいしたら、教室長が戻って来るから、それからでかまわん?」
「了解しました。とりあえずここで待ってますんで!」
「ほな、ちょっと待っててや。」
そういって、私は1人柊君を教室に残して、
事務所へと戻っていくのであった。
その足取りは、思わずスキップしていたのであった・・・
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです




