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柊君へ  作者: Taさん
第三章
131/254

岩崎さん ~3~

ザ・関西人の岩崎さんの話です!

「電話番号を教えるんですか?嫌です。」


そう言って、立ち去って行く1人の新入学生・・・・


私は呆然としてしまう・・・


え?今、私・・・断られた!?


事実を理解するのに数秒を要したほどだ。


それもそのはずだろう!


今までの人生で人から尋ねられて断ることはあっても、

私が断られてことはなかったのだから!!


確かに言葉足らずだったのは事実だ!


だけど、みんなが足を止めずに歩いている中で、

私が何も用件を言わずに、さっきの言葉をかけると

みんなが必ず足を止めてくれていたのに!!


彼だけは足を止めないどころか、こっちを一瞥して断って、

そのまま立ち去っていくのであった・・・



「いやいや!ちょっと待ってや!

 家庭教師やねん!家庭教師を探してんねん!」


慌てて、本当の用件を彼に伝える!

そうすると、そう呼び掛けが聞こえたようで、やっと足を止めてくれた新入学生。

そして、こっちを見てきて、



「それなら最初からそう言ってください。

 また新たな宗教の勧誘かなにかかと思いますよ。」


そういって、笑いながらこっちを見てくる・・・


今までの仏頂面が嘘のような可愛らしい笑顔であり、

その笑顔に私の心が跳ねるのを感じたのであった!!


これは・・・一目惚れ?


・・・いやいや、違うから!!


きっと今までにないことだったし、

大学に入ってからの張りのない生活とは違うやり取りだったから

きっと喜んでいるだけだから!!


そう自分の心に言いつけながら、

私はこの新入学生を上から下まで観察するのであった。


顔は童顔・・・合格!


スタイルは・・・服でよくわからないけど引き締まった感じがするな・・・



「何かスポーツやってたん?」


「ええ、中学・高校と陸上をやってましたよ。」


なるほど!


それでこの体型なのか!!


ただ、長距離だともっと細いイメージがあるけど、

結構な筋肉質のような気がするな・・・


思わず私は手を伸ばして、腕を掴んでしまう。

するとその新入学生は、一瞬抵抗を示したが、

腕だけならという妥協?なんかは分からないが、

触ることを許してくれたので、遠慮なく揉んでみた・・・


めっちゃ筋肉質!?



「短距離?」


「ええ。短距離とハードルをやってましたよ。」


「なるほどね~。すごい良い体してそやねんな。

 一回裸になっているところを見てみたいかも・・・。」


「・・・そんな邪な目で新入学生をみてたんですか・・・。」


「ちょ、ちょっと!そんな目で見てへんわ!!

 たまたまやで!みんなをそんな目で見たりしてへんからね!!」


慌てて、否定するのだが、新入学生からは

不審な目でこっちを見られるのであった・・・。


く、なかなか手ごわそうな新入学生みたいだ・・。


何せいつもだったら簡単に男子が私に靡いてくれたのが、

まったくこの子に関しては、こちらに靡く様子がない!

初めての経験にどうしたらいいのか戸惑ってしまう。


どうしようか・・・そんなことを考えていると、



「家庭教師するには、どうしたらいいんですか?」


急に新入学生から尋ねられて、ハッとする。

そうだ!今日は新入学生に登録をお願いしに、入学式の会場に来たんだった!!



「ええっとね・・・。」


そう言って、私は自分が初めて登録用紙を閉じたバインダーを

落としていることに気づいて、慌てて回収する。


それを見た新入学生が、私よりも一段早く落ちているバインダーに手をかけて、



「どうぞ。」


そう言って笑顔で私に渡してくれるのであった。



「あ、ありがとう。」


思わずきょどってしまう私。


落ち着つけ・・・今は完全に彼のペースに飲み込まれてしまってるわよ・・・。


そう自分に言い聞かせて、バインダーとペンを新入学生に渡して、



「ここに記入してくれたら、とりあえず仮登録は完了よ。

 その後、家庭教師の事務所で本登録っていう手続きをやってもらうの。

 まあ、顔写真を撮って、銀行口座を作ってもらうだけだけどね。」


「分かりました。・・・本当に家庭教師の事務所の方ですよね?」


「そうだって!もう!」


そう言って、私が名刺を渡して、やっと納得してくれたようで

登録用紙に記入してくれる。


・・・こんなに警戒されるとは・・・



「早ければ、どのくらいで斡旋してくれるんですか?」


「?すぐにしたいん?」


「できれば。」


「何で?お金が入り用なん?」


「ええ、学費とか生活費とか稼がないとダメなんで。」


「・・・え!?もしかして自分で払うん!?」


「そうですよ。」


そういって、記入が終わった用紙を私に差し出してくれる。

しかも私の質問に対しては、さも当然な顔をして・・・。



「親御さんは?」


「うちの実家は貧乏なんで、大学生活にかかる費用は全部自分持ちです。」


「え?・・・入学金とか、最初の授業料は?」


「あれは、今まで貯めた貯金で払いましたよ。」


「ええぇ~!?」


私は、目の前の新入学生が何事もないように言う発言に驚いてしまう!


だって、今まで、こんな子がいただろうか!?


いや、いない!!

少なくとも今まで会ってきた学生でこんなことをいう子なんて1人もいなかった!!


この言葉に思わず感心してしまうったのであった・・・



「それなら、斡旋は早い方がいいねんな?」


「ええ。」


「せやったら、今日の夕方に事務所に来てもらって、本登録しようか?」


「はい!出来るんであれば、お願いします。」


「了解!じゃあ、今度こそ電話番号教えてや!」


「ええ!?・・・。」


「ちょ、なんでそこで考えんねん!?」


「ウソですよ。そこにも書いてますし、それじゃあ言いますね・・・。」


こうして私は柊君の電話番号をゲットするのであった。


そして、これが私と柊君のファーストコンタクトである!!


初対面で冗談かましてくるとは・・・


いや、まあ、こっちもナンパ風に声をかけたってのはあるけどさ・・・


なかなか面白いな・・・


気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです

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