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柊君へ  作者: Taさん
第二章
127/254

坂井さん ~34~

いよいよ関西に行きますよー!

「卒業おめでとうございます。」


柊君からは大きな花束を貰う。



「うわぁ~!ありがとう!!」


「これで・・・高校を完全に卒業するんだね。」


「そうだよ!!また3年生とか絶対にやだよ!」


もうこんなに勉強するのは嫌だ!

顔に出ていたのか、



「そんなに勉強するのが嫌だった?

 高校3年生のイベントとかは楽しかったんじゃないの?」


「確かにイベントとかは楽しかったけどさー。

 受験勉強とかテスト勉強とかが本当に嫌だったよ~。」


「今年から僕が受験生になるんだけどね・・・。」


「頑張れぇ~!陰ながら応援しておくらからね!」


「全然、面だって応援してくれてもいいんだよ?

 代わりに受験してくれたりとかさ。」


「代われません!

 だいたい柊君の方が、ずーっと賢いんだからね!

 私が受験したら、私が行けるような三流大学しかないよ・・・。

 ・・・言ってる私が悲しくなるけど・・・。」


「だけど、自分の夢をかなえる学科に行ってるじゃん。

 俺は・・・本当にどうしかね・・・。

 進路とかって全然決まってないし、やりたいことも決めてないからね・・・。」


「いっぱい悩め少年よ!」


そう言いながら、柊君の頭を

一生懸命背伸びをして撫でてあげる。


150センチの私と185センチの柊君との身長差は本当に大きい!

おかげで頭を撫でるだけなのにつま先立ちをして

足をプルプルと震わせてやらないとできないんだから!!



「・・・いっぱいいっぱいになってますよ。」


笑いながら柊君がいうのだが、確かに足がプルプルと震えており、

微妙な感じになっていた・・・。

私も思わず苦笑してしまう。



「坂井先輩!!」


いっぱい柊君と話過ぎたのか、すでにバスケ部の後輩たちが

スタンバって私待ちの状態になっていた。



「最後に写真を撮ろうよ!」


後輩に頼んで、柊君とのツーショット写真を撮り、

更には柊君の第二ボタンを奪っていくのであった。



「またあとでね。」


「うん、またあとでね。」


私はその後は同級生達、バスケ部の後輩たちと一緒に写真を撮ったり、

プレゼントをもらったりしていた。


バスケ部の伝統なのだが、後輩たちからの寄せ書きがされた新しいバスケットボールを

バスケ部からの贈り物として個人個人に渡されていく。


・・・うれしいんだけどね・・・


バスケットボール自体が大きいため結構な荷物になるな~と苦笑してしまうのであった。



ふと柊君の方を見ると同じように陸上部の先輩を胴上げしたり、

プレゼントをあげたりしていたのであった。

2年生時に一緒になった松山君が、


「お願い!もう許して!俺、高い所ホントに駄目なんだって!!」


と叫びながら何度も宙を舞っていたのは思わず笑ってしまったのだ。



バスケ部はこの後、壮行会としてのバスケの試合をして、

その後、夜は送別会を先生を含めて行ったのである。


その日の送別会は、楽しくて、笑顔が絶えないものであったが、

やっぱり最後はさみしくて、涙が出てしまうのであった。

そんな私に後輩たちも泣きだして、


「さ~か~い~せんぱ~い!もう一年いましょうよ!!」


と抱き着かれたのであった。


楽しいけど、悲しい思い出がここでも出来るのであった。




3月31日に私は、新幹線に乗って、関西に出発する。


「ううう、親から止められなければ・・・。」


天野は当初は車で行こうとしていたのだが、

どうやら親からのダメ出しを受けて、車は後から業者が運ぶことになっていた。


しかも、私よりも1週間も先に関西に向かっている。



「おじいちゃんから言われたのよ~。」


どうやら早く孫に会いたいおじいちゃんからのお願いらしい。

まあ、これからお世話になるのだから、それくらいは聞いてあげないとね。


そして、今は柊君に私は新幹線口まで見送りにきてもらっていた。



「わざわざ・・・ごめんね・・・


 柊君とは別れたのに・・・。」


一昨日、柊君に伝えた言葉がある。


私はモテる柊君と離れることはできない。

柊君をもちろん信じているのだが、

それでも私は柊君の周りにいる子達に嫉妬してしまう。


私は高校を卒業して、ずっと柊君のことが気になっていた。

それこそ一日中、ずっとスマホを握っていたのである。


連絡を送って、返事が返ってくるまでが凄く長く感じてしまう。

当然、授業中だと分かっているのにである。


こんなに醜い女だったんだな・・・


柊君から連絡があったら、やっと冷静になれる。

そして、自分の行動を恥じてしまう。


その繰り返しをここ数十日繰り返していた結果である。


私は柊君と別れる・・・


そして、


「もし一年経っても私に対する気持ちが変わらないなら・・・

 もう一度付き合ってほしいの。」


そう告げた。

勝手なわがままな言葉だろう。


分かっている。

だけど、私は柊君を好きで、信じている。


そして・・・これ以上柊君のことを考えているとドンドン醜くなっていくことを・・・


簡単に綺麗に別れることはできなかったけど、

それでも・・・別れた柊君・・・



「じゃあ、またね。」


「はい、じゃあまた。」


柊君と交わした“また”という言葉・・・

それが本当になることはあるのだろうか・・・


そう思いながら、新幹線から柊君に向かって手を振るのであった・・・



気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

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