坂井さん ~32~
バレンタインデーでは・・・男にとっては戦です!!
2月14日のバレンタインデーは久しぶりに学校に登校する。
この頃になると学校も登校日が決められていて、
登校日以外は登校しなくてよくなっている。
私も一週間ぶりの登校である。
あと数回しか登校日がないため学校に置いている荷物とか、
無事に置いている荷物を徐々に持って帰る必要がある。
私も今日はとりあえず部室に置いてある荷物を
回収して、教室へと戻るのだが・・・
「荷物多いね?」
「まあ、あと数回の登校しかないから、
ちょっとずつでも片付けていかないといけないしね。」
私はもってきていた紙袋に荷物を詰めていた。
「天野の方が多くない?」
「・・・教科書類を置きすぎたわ・・・。」
「本当に全然勉強してなかったのね・・・。」
「まあ、所詮推薦なんでね~。」
「はぁ~、この荷物を持って帰るのはちょっと憂鬱だな。」
紙袋いっぱいになった荷物をため息交じりに見ていると、
「大丈夫!今日、私・・・
車で来ているから!」
「はぁ~!!」
私が目を見開いてしまう。
ちょっと想定していない言葉を聞いたからだ。
「いつ免許とったの?」
「ふふふ・・・。」
そう言って、財布を取りだしたと思ったら、
「じゃーん!」
私に免許証を見せてくれるのであった。
「実は冬休みから通ってたのよ。」
「・・・さすがは推薦組。」
「これで車で坂井の所にも遊び行けるからね~。
引っ越しの時は坂井の荷物を積んで関西にいけるよー。」
結局私の受験は本命はダメで、
関西の女子大学に行くことになっていた・・・
「その時はお願いするよ。」
「・・・絶対にそれは私と一緒に関西まで行かないよね?」
「・・・初心者の車に乗って、高速道路にのるのは怖すぎるし。」
「大丈夫!私も怖いんだから!」
「尚更、いやよ!」
「まあ、とりあえず今日乗って試してみてよ。」
私が断固拒否するのだが、
天野が私に抱き着いてきて一向に離れてくれなかったので
しぶしぶだけど了承をする。
「・・・どこに止めてるの?」
「そこの職員用駐車場。」
「はぁ!?」
思わず目を見開いて驚くと、
「うっそー!」
「な、なんでそんなウソつくのよ!」
「その反応がみたくって♪
正門でて、横の道を下ったところにある駐車場に止めたんだよ。」
「ああ~、あったね・・・。
っていうか、学校から100メートルも離れてないのに、大丈夫なの?」
「大丈夫だよ~。多少無茶してももう卒業だしさ~。」
「そうだけど・・・・。」
「坂井はこれくらいの遊び心があった方がいいよ♪」
「私、ドキドキしすぎてそんなことはできないって!」
こんな図太い神経は一生かけても私は持つことはないだろうな~。
「それよりもチョコは渡したの?それとも夜しっぽりと2人で会う予定?」
「・・・しっぽりって・・・。」
「年頃の男女が夜に会えば・・・ねぇ。」
「・・・言い方がイヤらしいんだけど・・・。」
「あ!もしかして、坂井にリボンをつけて・・・。」
「絶対にしないから!そんなこと!!」
慌てて天野の口を手で閉じる。
こいつは・・・口を開けばろくなことを言わないんだから!!
「で、どうするの?」
「一応、今日渡そうかと思ってるけど・・・。」
「じゃあ、行こうかー!」
そう言って、強引に私の手を引っ張って
柊君のところに連れていってくれるのであった。
「で、想定していたとはいえ・・・。」
柊君は教室から出て、廊下にいて今まさにチョコを貰っていた。
「・・・とりあえず注意しておく?」
「いや・・・それもおかしいと思うよ。」
「だよね。あの子、3年だしね~。
・・・たぶんあの子達からは坂井ものすごく嫌われてたんだろうね?」
今、チョコを渡している子達は話したことはないけど、
上履きが同じ色であるため私と同じ3年生なのが分かる。
あのチョコの渡し方は・・・本気なんだろうな・・・
チョコを受け取る柊君を見ていると・・・
・・・チク・・・
私の胸に何かが刺さって、黒い影を落とす。
その集団が終わると、次は一年生たちがチョコを渡していた。
「やっぱり柊ってモテんだね~。」
思わずため息をつく天野に、私も同意する。
結局私が見ている前でも10個くらいのチョコを貰っていた柊君。
「よ!」
「え!?天野さん!?ってか、坂井さんも!?」
驚く柊君。
当然柊君は私達が見ていたことを知らない。
「とりあえずチョコです。」
そう言って、私よりも先に渡す天野。
「ありがとうございます。」
「お返しは10倍返しでお願いね♪」
「残念です・・・。お返ししたいけど、会わないから・・・。」
「大丈夫!3月14日は柊の家に行ってあげるから♪」
「・・・じゃあ、返却でお願いします。」
そう言って、天野にチョコを返そうとするのだが、
天野は自分の体の前で腕を交差させて、
「クーリングオフは不可です。」
「・・・さいですか・・・。」
「期待して待ってるね~。」
イヤそうな顔をしながら受け取る柊君はなんだかおもしろいな~。
「じゃあ、本命をしっかり受け取ってあげてよ。」
そういって、天野と私が位置を入れ替わる。
「こ、これ。」
「ありがとうございます。」
笑顔で受け取る柊君。
「これ・・・もしかして手作り?」
「そうなんだよ。今、一応受験も終わったからね。」
「わざわざありがとうございます。」
嬉しそうにしてくれる柊君を見ると何だかこっちまで嬉しくなってしまう。
そんな私と柊君の空気を破り割いてくるのが・・・
「・・・柊、私、坂井のチョコ食べたい。」
「イヤです。」
「ちょ、ちょっと!大丈夫よ。天野分も作ってきてるから。」
「えええ!?さすがは私の親友!」
そういって、私に抱き着いてくるのであった。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




