坂井さん ~27~
後輩に勉強教わるのって・・・
「・・・ねぇ、なんで朝から赤飯なの?」
祭りに行った次の日の朝、起きてダイニングに行くと、
なぜかご飯が赤飯だった・・・
私の言葉に反応してテーブルに座っていたお父さんが、
スマホを私の方に差し出して・・・
“私も好きだよ。一緒に・・・いよう。”
何と私が返事をしている部分の動画を見せてくるのであった!!!
「はぁ~!どういうこと!!」
「お母さんが送ってくれたんだ・・・。
この動画を見ていると・・・娘が旅立つようで寂しい思いと共に
大人になったんだなっていうのを実感するよ・・・。」
そう言って急に泣き出すお父さん。
っというか・・・
「お母さんどういうことよ!!」
「え?だって、あなた達2人の世界に入っているいるから、
私が後ろにいたのも気づいていなかったじゃない。」
「・・・。」
全然そんなことは気づいていなかった・・・
というか、なんでわざわざ私達の後ろにいるのよ!!
絶対にわざと私達の後ろにいたんだ!!
思わずお母さんを睨むのだが、
その睨みに対してはお母さんは、ニヤニヤした顔を私に向けてくるだけだった・・・
思わずため息を漏らしてしまう。
あの告白シーンを自分のお母さんに見られていたなんって・・・
しかも・・・動画まで撮られていたなんって・・・
「もうお母さんね!あなたの告白を見ていると、青春を思い出しちゃってさー!
思わず同僚たちに見せちゃったわよ!この動画を!!」
「はぁ~!!ありえないんだけど!!!」
さっきの動画をお母さんの職場の人に見せたってこと!?
ありえないって!!
何をしてくれているんだ!私の母親は!!
「娘に初彼氏が出来たから、そのお祝いで急いでお赤飯を炊いたのよ。」
「いいよ!そんなの!!」
「もう、お弁当にも詰めちゃったからね♪」
・・・もう!死ぬほど恥ずかしい!!
何でこんな親なのよ!!
その後の食事は、遅れて来た妹にも色んな事を聞かれてしまう始末だ・・・
すでに妹も周知の事実だったらしい・・・
私はすぐに食事を終えて、制服に着替えると
すぐに家を出て学校に行くハメになってしまったのであった。
ちなみに・・・
その日の昼食時に、私のお弁当を見た天野が、
「・・・どれだけ初彼氏を祝われてるのよ。」
と大笑いされたことは言うまでもない。
こいつは本当に察しがよくて・・・
こんな時でも察しがいいのは助かる反面・・・
言葉にしなくてもいいでしょう!!
はぁ~、これから絶対にみんなに言いふらすよ天野は・・・
「はぁ~・・・。」
「どうしたの?」
「柊君と付き合えたのは嬉しんだけど・・・
その他もろもろの対処が大変なんだよねー。」
「・・・何かごめんね。」
「あ、いや!柊君を責めてるわけじゃないんだよ!
柊君だって、みんなから色々言われない?
私なんか・・・天野がね・・・。」
「ああ・・・それはそれは・・・心労が半端ないだろうね・・・。」
今日は柊君から告白を受けて、付き合い始めてちょうど一週間が経過した日だ。
今日も受験生の私に付き合って、図書館で一緒に勉強してくれている。
・・・というか、勉強を見てくれているというのが正解だろうな・・・
数学や化学、地理なんかは私よりもずっと詳しい。
だから、さっきから分からないところは柊君に聞いている状態だ。
「柊って実際どのくらいの成績なのかな?」
先日の昼食の時に天野が唐突に私にそんな質問をしてくるのだが、
「う~ん・・・私もしっかりとは知らないんだよね・・・。」
人から聞く話や柊君からは断片的に聞いてはいるのだけど、
実際に成績表を見せてもらったりはしてない。
「じゃあ・・・見に行ってみよう!!」
そう言いだした天野と共に放課後、2年生のフロアーへといく。
今は先日行われた全国模試の結果が貼りだされているはずだから。
「おぉ~、貼りだされてるね~。」
2年生のフロアーに踏み込んですぐにある踊り場のスペースに
先日の模試の結果が貼り出されていた。
「さてさて、柊はどんなもんだろうね・・・。」
天野と私が上から見ていくと・・・
「あったね・・・。」
「・・・あいつこんなに良かったの?」
苦々しい顔を浮かべる天野。
柊君の順位は学年順位は11位!
全国での順位は書かれていなかったのだが、
各科目の個別順位が貼りされていた。
そこに書かれていたのは・・・
数学 柊 1位 200/200点
物理 柊 1位 100/100点
化学 柊 1位 98/100点
地理 柊 1位 100/100点
その他の国語、英語は学年30位以内には入ってないようで
貼りだされている結果には載っていなかった。
だけど、学年順位で点数も書かれているから、
点数はわかるのだけど・・・
「さすがに国語や英語で文系の子達に勝ってたら
文系の子達の立つ瀬がないよね・・・。」
「だけど、点数を割り出すと、ギリギリ30位に
入らないくらいの点数じゃない?」
私の言葉に天野が計算をしだして・・・呆然としていた・・・
「まあ、そうじゃないと全体で11位とか取れないよね・・・。」
「文系に科目にに苦手とか言ってたけど、
確実に私よりも成績が上だわ・・・。」
ため息をつく天野に、私も勝てないよとお互いを慰め合うのであった。
こんなに柊君って成績良かったんだな・・・
そんな人に勉強を見てもらえるのは、
こんなにありがたいことはないんだろうけど・・・
一つ上の先輩としては情けないな~・・・
「そう言えば、この後、天野に呼び出されているけど、
何の用事か聞いている、柊君?」
「ううん、聞いてないよ。まあ、ろくなことを考えてはいないと思うけどね。」
ため息をつく柊君に私も同意してしまう。
天野が考えることなんって・・・
本当にろくでもないことのように思えるのだから・・・
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




