坂井さん ~11~
ちょいと短めの話になっております。
恋って気がついたらしてますね~
「柊君、ありがとう。」
体育祭が終わり、応援席などの片付けが始まった頃には
私も治療が終わって自分の席へと戻ってきていた。
自分の席の片付けの時に、柊君を見つけたので、声をかけに近づく。
私が転んでしまった失敗をフォローしてくれた柊君にお礼を言うのだが、
「こちらこそありがとうございました。
おかげで、団長から今度の祝賀会でおごってもらえることになりましたから!」
柊君が笑顔で答えてくれる。
「そうなの?それなら私もおごるよー。」
「いいんですか?俺・・・めちゃ喰いますよ~?」
「う・・・ほどほどで・・・。」
「あははは、じゃあ、期待して待ってますので。」
そう言って、柊君が立ち去ろうとした時であった。
「ちょっと待って、柊!!」
どこからともなく天野が駆け足で私達の傍にきたのである。
手にはスマホを持っており、
「最後に写真をみんなで撮ろうよ!」
そう言いながら、誰も了承はしていないにも関わらず
天野は写真を撮りだしたのであった。
私と天野
天野と柊君
そして・・・
柊君と私
まずは普通の体操服の姿で撮っていき、
次には天野にせがまれて応援ダンスの時の衣装に着替えて
同じように撮っていく。
その後はみんなでの写真を撮ったり、
周りの人も含めて写真を撮っていった。
柊君は今回のヒーローであるためか、男女問わず色んな人と写真を撮っていた。
というか、赤組問わずに写真を撮っていた!!!
終いには先生達とも写真を撮っており、
「感動したぞ!!!」
陸上部の顧問からそんな言葉をかけられながら、
先生からの熱い抱擁から必死で逃げていたのであった。
そんな姿を見つめていると・・・
「・・・ついに・・・。」
その声に後ろを振り向くと天野がいて、
その口元にはニヤニヤとした笑みを浮かべていた。
「坂井にも春が来たのか~。」
「な、なんでよ!!!」
天野に思いっきり茶化されるのであった。
だけど、自分でも自覚していることは分かっている。
・・・これが人を好きになるってことなのかな・・・
気がついたら目で柊君を追いかけている私・・・
本当に何気ない言葉なのに、柊君の言葉の一つ一つに一喜一憂する私・・・
他愛もないその仕草に、行動にドキドキとしながら、見つめているのである・・・
この思いを誰かに話たくなってしまう。
・・・そっか、これがみんなが恋している時の気持ちなんだな・・・
今までは全然理解できなかったけど、
今の私なら理解できる。
17年目にして初めて私は人に恋をしたのであった。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。




