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大賢者と勇者のアンチノミー   作者: CLOATOAN
1/1

〈プロローグ

彼は《大賢者》であった。


彼は世界を大きく拓いた。


彼が生まれたのは此処とは異なる世界であった。


彼は《勇者》や、その仲間である《聖騎士》、《聖女》と共に、英傑召喚によってこの世界に呼び寄せられた。


彼は《賢者》として、まだ《英雄》であった《勇者》の側に立ち、時には剣に手にとって、共に万難を乗り越え、魔皇を討ち取った。


魔皇討伐こそが召喚された自分の使命である。魔皇討伐こそがより良い世界に変えるのだと信じて。


これは幾度となく繰り返されて来た、これからも永遠に繰り返される、敗者と勝者の物語の一つ。


しかし、その中でも特に珍しい結末に辿り着いた。いや、たどり着かせた一人の人間の物語だ。




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