勝利はこの手に。
「俺はお前が大っ嫌いだっ!」
右拳に力を溜める。右足にまた力を溜め地面を抉るようにして熊兎目掛けて跳躍する。
「死ね」
右横腹目掛けての一撃クリーンヒット。
「ギャルアぁぁ!!」
思わぬ一撃を受けた熊兎は悲痛な叫びを上げ吹っ飛ばされる。殴った後ユウキは華麗に着地する。絶大なパワーを放ったことに気づいたユウキは自分の手をマジマジと見る。そして笑う。
「スゲェな……。まさか俺の能力は増強系……。そんなこと、関係ねぇよな。まずはお前を喰う。悩むのはその後だ」
熊兎を鋭く見ながら不気味に笑う。唸る熊兎は四足歩行状態になりユウキとは明後日の方向へ逃げる。どうやらさっきの一撃をくらって危機を察したのだろう。
──まぁ
「無駄だけどね」
再び足に力を溜める。地面を蹴飛ばし急接近。熊兎の反応は遅れてユウキを見る。
「ガゥア!!」
「また横腹を狙うのか!? 無駄って言ってんだろ!」
空中で体制を整え回転を始める。迫り来る巨大な腕に遠心力の掛かった小さな拳を撃ち込む。
「名付けて『回転弾』! 決まると気持ちいね!」
熊兎の腕は肘を境にして吹き飛ぶ。熊兎の腕からは真新しい黒い血が吹き出ている。
「ガル……ル……ラァァァッッッ!!」
「おー、怒ったか? 死ぬのか? もう死ねよ。正直お前の顔は見飽きたし勝ちは見えてる。あと最初に言ったよなぁ」
最後の最後に右拳を作る。その拳を天に掲げる。
「俺はお前が大っ嫌いだ、って……!」
パンチ一発だけで、多分だが木々が数十本へし折れる程のパワー。
「全力ぅ……! パァァァンチッ!」
そのパワーがモロに熊兎の巨体を上空へ吹っ飛ばす。とうとう息の根が止まった熊兎の一部を掴み自分の口へ運ぶ。
「ウッえっ……! ペッペッ! 生臭ぇ! でも喰ってやるって宣言したからな……。ちょっとだけ喰えばいっか……」
口元に付いた生臭い血を腕で拭き取る。ふぅ、と小さくため息を吐く。いつの間にか左目は元の黒色に戻っていた。
「ご馳走様……熊兎……お前焼くと美味しいかもな……」
切実に語る。
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【雨宮ユウキのステータス】
能力
・不明
・破壊
特殊能力
・肉体強化・嗅覚強化・聴覚強化・視力強化