この世界の情報
ある程度、全員が落ち着いてからショタ王子は説明を始める。
「まぁ、この世界に来た理由を簡単に説明させて貰うよ♪」
どこからともなくホワイトボードが出現。そのホワイトボードに何か記入しながら説明をする。
「まずは、そうだね。この世界の状況について。ありきたりだけど、ここ、魔王が攻めてきてるんだよね♪」
「陽気に言ってるけどヤバくねぇか? ソレ。要するに滅びるかもなんだろ?」
「フフッ♪ やっぱり君は面白いね♪ 名前教えてくれない?」
ユウキを指差しながらショタ王子は尋ねる。
「雨宮ユウキ。ただの中二病ってことで頼むわ」
「フムフム。メモしたからもう忘れないよ♪」
「スンマセン、そこに書かないでくれると嬉しいっす」
ショタ王子はホワイトボードに書いた「あまみやゆうき」という文字をしみじみと消していく。コホンッという咳払いを一つ入れて説明を開始する。
「さっきアマミヤが言ったみたいにかなりの危機なんだよ♪ だから転生者を集めてこの世界を救ってもらおうって考えさ♪ いい考えだと思はないかい?」
この言葉で全員がワァーと盛り上がる。当然なのだろうか。みんな大好きゲームの、しかもみんながみんな主人公なのだから。盛り上がらないわけにはいかない。
「そ・れ・に。君たち一人一人特殊能力が使えるから今から実践しよう♪ ちなみにここでは能力のことを『能力』って読んでるから覚えてね」
「ちょっと待て!」
ここで一人の男が物申す。金髪の、いかにもチャラ男。というレッテルが貼られてそうな男は
「どうしたよ軽部」
テンションの上がっている友人から名前がこぼれる。物申した男の名前は『軽部イチヤ』。
「異世界の事情はよーく分かった! でもよ。お前の名前を教えてもらってねぇぞ!?」
その言葉に皆合わせて
「「あ~確かに」」
と、どこか気のないセリフ。睨み合うショタ王子とイチヤ。そんな空気を破るのは問われた本人。
「そうだったね♪ しっけーしっけー♪ 僕は人類種の王、クラント・アレクサンダー、気軽にククって呼んでよ。みんな♪」
ユウキ・頭の中の異世界情報。
・魔王が世界を滅ぼそうとしている
・阻止するために俺たちが招かれた
・全員が全員それぞれの能力が使用可能
・目の前でのほほんとしているショタは王子ではなく王
「十分すぎる情報量に感服でございます」