プロローグ
──何で俺なんかが
薄れていく視界と意識。
──ここで終わりたくない
必死に抵抗するが力もまともにはいらない。
──死にたくない
自然と目から熱い雫がポタポタと落ちてゆく。
──全部……喰ってやる……!
少年は考えた。勝てないのなら、弱いのなら。相手を喰って強くなればいい。
転生から数日目。少年は悪魔と化す。
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ある日のこと。突然だった。『雨宮ユウキ』のいるクラスに連続殺人鬼が入ってきたのだ。ニュースでも頻繁に見かける殺人鬼のターゲット。それは生徒。一分も経たずにユウキ含むクラス全員が死んだ。
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死んだはずなのに……。
ユウキは目を開ける。自分の腹を確認する。斬られたはずなのに、刺されたはずなのに。その傷は一つもない。
「やーやー皆さんお目覚めですかな♪」
やけに陽気な声が聞こえる。少年の声。声のする方を見る。やはり少年だ、いやここはショタと言った方が良いのだろうか?
金髪に大きなマントを羽織っており頭には金の王冠。
「……そういうことね」
ユウキはギュッと握りこぶしを作り肩を震わせる。
「おいお前誰だ!」
「ここは一体何処なんだよ!」
「私たちを元の場所に戻してよ!」
ユウキはやっとこの状況を把握する。この数秒で、だ。
・自分は殺人鬼に殺された。それが転生のフラグだった
・今自分がいる所、恐らく異世界だろう。ファンタジー系の
・クラスも全員いる。ということは殺された全員がいるためニュースに載ってた死んだ人たちもいる可能性はゼロではない
「まーまー落ち着き給えよ転生者諸君♪」
「転生者……?」
ユウキ以外の全員は頭に疑問符を浮かべる。ショタ王子(仮)はニヤッと笑みを浮かべて腕を大きく広げる。
「君たちは選ばれたのだ! 神に! 仏に! この世界に!」
やはり全員疑問符を浮かべているがユウキだけは違う。腹を抱えて大笑い。ショタ王子はユウキを見つめて更に笑う。二人だけが笑っている中、クラスメートはちんぷんかんぷん状態。
「いいね! それ。こんにちわだよ! 非日常!」
「君は面白いね♪ 黒髪少年♪」
──異世界生活の始まりと行こう