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七話

 衣服屋に立ち寄った守は、店内をキョロキョロと見渡す。


「うーん、何着か買っておいたほうがいいよな。でも、持ち運びが面倒なんだよな……」


『アイテムボックスを手に入れました』


 無機質な声が脳内に響く。


「えっ?」


 守はすかさずステータスを開き、【アイテムボックス】を鑑定する。


【アイテムボックス】

 アイテムを異空間に収納することができるスキル。アイテムボックス内での時間の経過はストップするため、野菜や果物も新鮮に保管することができる。商人にとってはまさに夢のようなスキル。

『貴方のアイテムボックスはお城さえも普通に収納できるようです。さらなる発展を祈ります。by商業神』


【鑑定Lv.1からLv.2にレベルUPしました】


 ……なんか分からないけど、かなりいいスキルをゲットできた。このスキルがあるなら、たくさん服を購入しても大丈夫だろう。

 ついでに鑑定レベルもUPしたことだし……。


 守は早速服を吟味していく。丈夫な生地ができているかを調べ、値段を確認する。


「高くても2000ゴールドか……随分と安いな」


 取り敢えず目立たない色の黒や紺、グレーのシャツを10枚に、黒色を中心としたズボンを5枚ほど選び、店主の待ち構えるレジに向かう。

 大量の衣服を前に店主は戸惑いがちに合計の値段を言う。


「え、えーと、合計で26,000ゴールドになります」


 26,000ゴールドをお金ボックスから引き出し、店主に渡した。

 受け取ったお金が合っているかを確認した店主は、商品を守に手渡す。買った商品をつかさずアイテムボックスに放り込む守を見て、店主は目を見開いた。


「お、お客様はアイテムボックス持ちなのですか?」


「え? あ、はい。アイテムボックス持ちですが……それが何か?」


「羨ましいですなあ……ちなみに収納量はいかほどで?」


「収納量ですか?」


「はい。私もアイテムボックス持ちなのですが、大きさは大体五メトールほどでしょうか。これでもかなり大きい方なんですよ」


 ……い、言えない。お城も収納できる大きさなんて口が裂けても言えない。


「え、えーと、多分十メートルくらいだと思います」


「じ、十メートル!? かなり大きいですね!!」


 店主が目をキラキラさせながら、守の手を握ってくる。


「い、いえ……」


「アイテムボックスは、商業神様からの授かり物! きっと守様も商業神様に深く愛されているんでしょうね!」


 熱く語ってくる店主さんに守は軽くドン引きを覚える。


「そ、それは商業神様に感謝しないといけませんね……その手を離して貰っても?」


「手? うわ!? す、すみません」


 守の手が真っ白になるほど手を握っていたことに気がついた店主は、慌てて手を離す。


「いえ、大丈夫です。とてもいい買い物ができました! ありがとうございます」


 守は店主にお礼を言い、衣服屋を後にした。

 衣服屋を出た守は、宿探しに移る。


(うーん、どこの宿にしようかな……)


 ふとオンボロ宿屋が視界の先に入る。


『見た目はアレですけど、あそこの宿の主人に料理を作らせてみてください。こんなところにダイヤモンドの原石がいたなんて……ふふ、発掘しなければ、ふふふ』


 耳元で楽しそうに呟く商業神。

 仕方なく商業神に従って、オンボロの宿屋に入る。


「……いらしゃいませ」


 奥から髭面のおっさんが出てくる。


『ふふ、彼を温泉宿の料理人として雇えば……温泉だけじゃなくて料理でも稼いでいけますよ』


 ゲスな笑みを浮かべる商業神の顔が脳内をよぎり、悪寒が走った。

 守は試しに目の前のおっさんを鑑定してみる。


【名前】ロゴリス

【性別】男性

【年齢】31

【職業】元料理人

    オンボロ宿の主人

【称号】伝説の料理人

    諦めし者

【レベル】43

【体力】8,000/8,000

【魔力】2,500/2,500

【スキル】

 ・剣術Lv.7

 ・料理スキルLv.10

【ユニークスキル】

 ・神の舌Lv.10

 ・神の腕Lv.10

【加護】

 ・料理神の加護


 ……なんか分からないけど、凄い人がいた!

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