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龍転生 炎系魔法使いの異世界攻略記  作者: 三浦 祐希
第一章 闇然な小国
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第一章6 『魔眼使いは使えない!』

「は?それがどうした?」


「え?いや、俺は違う!誰も殺してない!」


「何を言っている、貴様。それより、我の頭を身体に戻してくれないか?離れていても動かせるが、ちと動かしずらくてなぁ。やはりくっ付いていた方がしっくりくる。」


「いや、は?へ?頭....大...丈夫...」


「先程から、何度も言っているだろ!もうイイ!」


「いや、いいわけ....」


「コノ世ニ顕現セシ我ガ仮初ノ肉体ヨ!」


目の前に倒れている女の子の身体に、黒い霧が集まっていく。


「我ガ声ノ導ニ従イ、今立チ上ガラン!!」


すくりと立ち上がった女の子の首には.....頭が無かった。


「うわぁぁぁああぁぁ!!!夢ぇぇぇ!!!」


『兄さん、うるさいですよ。』


「オーイコッチだ、私の身体ー!違う右!...あー行き過ぎ行き過ぎ!もうチッと左ー!!........はぁー、やりずらい。」


首無しの身体が、右にフラフラ、左にフラフラ。そして、生首を拾い上げる。


「あ...ああ...歩いてる.......オ、オーマイ・ゴースト!!!」


『うるさいです兄さん。バスターしますよ!』


「いや、だって首無し...」


『...兄さん、それはあの女が、』


「我はデュラハン!!死の具現、生の執着地にして、全ての死を司る....死の神だ!」


首無しの身体は、自分の頭を小脇に抱え叫ぶ。


「死の.......神?」


『まさか、本当にデュラハンが存在するとは...少し驚きですね。』


「あぁそうだ。我は死の神。」


白の長髪に真紅の目。髪同様に白い肌。黒いコートとガントレットが、より一層肌を白く見せる。身長は168㎝くらい。何と言っても大きめの胸が目を引く。そんな デュラハンは、頭を戻しながら話し始める。


「フンッ、それにしても、我に触れても生きていられるとは。.......我は″死″、其の物!我が触れたモノは全て死んでしまう...はず....なのだが....」


デュラハンが近くに寄って来る。


「な、何だよ。」


ペタペタ、プニプニ


「うわぁぁぁ!!!」


「どうだ?我は今、確実に素肌で貴様の頬に触れたぞ?死んじゃう感じして来たか?」


『!!! お前ぇ!!!』


「いや全然全く。むしろ可愛い女の子に触られて、活力が湧いてきたね!」


『...』


「ほぉお、そうか。あっ、頭が。」


頭がゴトッと言う音を立て、地面に落ちる。


「あ痛!っっっ」


「うぅぅ...ゥゥゥゥ....」


さっき得た 活力が、血の気と共に引いて行く。


『大丈夫ですか、兄さん。』


あぁぁ、恐ろしいくらいに何も無いよ。強いて言うなら、今後お化け屋敷に入れなくなるくらいかなぁぁ。


「はは、は...ダイジョブダヨー.....」


『それなら、ん??』


デュラハンが身を寄せてくる。


「古い言い伝えに書いてあったのだ。″古来より触れたモノを殺してしまうデュラハンは、自らが触れても死なないモノを婚約者にする″と。言いたい事、分かるであろう?」


『!!』


つまり、つまるところ、つまってしまえば....


「ハイ?イミワカンナイ。」


「フッ、我を焦らすとはな。さすがは我が運命の人。」


「はぁ、はい?」


「な、何をとぼけて...え、だから.....私と....」


『死の神、とか言いましたねぇ。貴方は二つ勘違いをしています。一つ目は、兄さんは貴方の思っている運命の″人″では無い。そしてもう一つ。貴方が結ぼうとしている兄さんとの関係は、既にない、と言う事です。』


「なに?本当か、貴様!」


『兄さん、いつまでバカのふりしてるんですか?あ、スミマセン。素、でしたね。』


「違うよ!理解したくなかったんだよ!!」


はぁー。嫁がデュラハンって、頭取れるんだよ?可愛くても頭取れるんだよ?可愛い頭が取れるんだよ?ムリムリムリムリ


「貴様、嫁が居るのか?」


「いや、居ないけど。」


「おいスライム、どう言う事だ!?」


『何を言っているのです?兄さん。居るんですよ、凄く近くにね。』


「???」


「おいおいスライムゥ〜。まさかそれって...アッハッハッハッハ、面白いことを言うなぁこのスライム。人とスライムが...ククク、これは傑作だ!」


『っ...!』


「クハ!...ククク...クフッ....ククク...」


「何を言っているのか知らんけど、俺は首が取れない、人型ひとがたの生き物が良いな!」


「ハハハ、残念だったなぁスライム!人型が良いそうだぞ!?」


メタモルフォーゼ!!』


夢の身体が水に包まれ ──以下略


『コレで人型ですね、デュ ラ ハ ン !』


「な!?」


以下略とかするんじゃ無かった。えぇと、


夢の身体が水に包まれる。瞬間、身を包んでいた水が弾ける。ソコには、透明度が高く色艶のいい肌。薄い水色の髪を襟足あたりで二つにまとめ、肩から垂らした髪型。服装は、薄いワンピースに白いローブをまとった、身長155㎝ほどの女の子が立っていた。


朱瀬あかせ ゆめ...復活です!どうです、兄さん?」


上目遣いでコチラを見て来る。地球での姿はこうじゃなかった気がするけど、うん、これは...


「可愛い...」


「な?!」


「フフンッ!これで完全に私の勝ちですね!」


「....まだだ!どちらの方がこやつに相応しいか、勝負だスライム!!!」


「良いですよ、デュラハン!」


「我が名は、ロベリア・M・スノードロップ!死の神、生を狩り取り、屍を操りしネクロマンサー!そこで見ているがいい、少年!今このスライムを倒し、貴様を手に入れて見せよう!」


えぇぇ、貴方はスライムとデュラハン、お嫁にするならどちらが良いですか?僕は、人が良いかなぁー....まぁでも


(夢、ファイト!)


俺は心の中で、妹の勝利を祈るのだった。


──10分ほど歩いた所にある酒場


「さあ!どちらが嫁としての能力が高いか、白黒付けようではないか!スライム。」


「朱瀬 夢です。」


「酒場...周りの目線が怖い.....」


美女二人を連れ来る所じゃないと思うんだか?あー、周りから、死ねリア充オーラが...


「それで、何から始めるのですか?」


「まずは、清掃だ!清潔感のある嫁の方が、貴様も良いであろう?」


旦那に貴様とか言うなぁーー。名前で呼べよ!あっ!名前名乗って無い。


「アカ...アカへ?.......ま、いいや。貴様は、向かいの酒場に行くがいい。」


「朱瀬 夢です。分かりました。では、始まりの合図はどうします?」


「チラッ」


こっちを見るなぁぁ!!!今、全力で無関係オーラ出してたのに。


「では兄さん、よろしくお願いします。」


「あーはいはい。ヨイドン!」


「フンッ、よく見ておけ少年!」


夢が、残像を残して消える。と同時、向かいの店が開店したばかりのように綺麗になる。


「まさか、見せる事も出来ずに終わってしまうとは。悲しいですね、Mデュラハン。」


「な!!」


「ハイ夢の勝ちー。」


「どうでしたか?兄さん。」


「まさか見ることが出来ないとは、何というスピード!」


「ハッハッハ!残念だったなぁアカメ!少年が見ていなかったのだ。今の勝負はノーカンだな!」


「私は斬りませし、一斬必殺とかも出来ません。じゃない!何ですか?イチャモン付けるんですか?」


「次の勝負は、料理対決だ!やはり美味い飯で活力を付けてやれねばな!」


料理、ね。


「いいですよ。Mデュラハン。」


「ロベリア・M・スノードロップだ!!」


「ハイ、ヨイドン!」


「よし!今度こそ私の...コホンッ、我の実力を見せてやろう!」


夢は、既に料理を作り終え、俺の目の前に置いていた。


「まだ作り終えていないのですか?″M″デュラハン!」


「なに?!もう出来たのか!どうせ適当に作ったのであろう?あと、Mを強調するな!ロベリア・M「どうぞ兄さん、焼きトカゲです。」


「セリフを被せるな!と、やはり手抜きか。焼きトカゲって、子供でも作れるぞ!」


フム...


「ハム...っっっっ!!!美味い!いやぁー、これまた食べたいと思ってたんだよなぁー!」


「なに!バカな!?焼きトカゲだぞ?....ハムッ!」


デュラハンが、焼きトカゲを口に入れる。


「どうです?」


「..........美味しい。こんがりと香焼けた肉と、ピリッとしたスパイシーな香りが食欲をそそる!一度口に入れれば、肉のジューシーさとソースの甘味が口いっぱいに広がり、なんて病みつきになる味だ!!」


だよな!美味しいよな!あぁー、これが幸せと言うやつなのだろうか?!


「今度こそ私の勝ちですね。」


「いいや。これは、料理を出すスピードではなく、美味いかどうかが問題なのだ!つまり、これから作る私の...我が神の手に作られし禁断の果実!食らったものは、たちまち意識を失う程の幸せを覚えるという。さあ、待っているがいい少年!直ぐに貴様を、私のとりk...我が僕としてやろう!」


そう言い捨てると、デュラハンは酒場の調理場へと消えて行った。


「なぁ夢。異世界行っても、中二病だなぁ、て思う奴っているんだな。」


「兄さんの事ですか?」


「えっ!俺、中ニっぽい事した!?」


「それより兄さん。今のうちに逃げませんか?」


「デュラハンはいいのかよ?」


俺の良心ごころが痛むんだが.....


「いいんですよ、あんな奴。さぁ、行きましょう♪」


──10分後


中央に噴水のある広場。パッと見、カップルらしき人が多く目に入る。


「なぁ夢。何か気まずくないか?」


「なぜです?兄さん。」


夢が身体を寄せ、腕を絡めてくる。


「こうすれば、私達もカップルに見えますよ。」


「.....」


そのまま噴水を眺め、10分程広場の端に腰掛けていると...


「フッ、また会えたな少年。居なくなっていたからビックリしたではないか。さあ、私の...我が作りし美食の宝庫を喰らうがいい!」


「ぁぁぁぁ」


お皿の上には、毒々しい液体の中に、ドス黒い球体状の何かが浮かんでいた。料理から殺気を感じるよ。


「さぁ!遠慮なく食べてくれ!」


「....」


「これが料理ですか?まるで ── が ── な ── の様ですね。 ── でも ──な ── と言うのに。」


規制音だらけで何言ってるか分かんねぇ。


「フフ、分かっているとも少年。ほら、あ〜ん!」


「嫌だよ!ムグ!!」


口を開けたら突っ込まれた。


「大丈夫ですか兄さん!!」


「どうだね少年?」


.....................


「少年?少年!おい、おーぃぃ.................................................................................................................................................................................................................................................................................................................................





「さん.....に.....ん.......に....さん」


メニオテコメホルーユキメコムネコトエコメユノ)ヒエテリハナ


「兄さん!!!」


「ガハッ!」


何か見ては行けないモノを見ていた気がする。


「どうだ?わた...我が料理は!」


言い間違えるなら″我″とか言うなよ。聞づらい!


「あ、うん。夢の勝ち。」


「なに?!この我が...ニ連敗だと..」


「これで、諦める気になりましたか?」


「.....あぁ、認めよう。私は貴様より、ほんの少し、誤差の範囲で負けた。」


「「誤差...」」


「だが、まだ諦めたら訳ではない。今後は貴様を手に入れるため一緒に行動してやる。...我を、貴様らのパーティーに入れることを緩そう。」


「「.....」」


「この死の神が、力を貸してやると言っているのだ!光栄に思うのだな!」


「それが人にモノを頼む態度ですか?」


人じゃないけどな、俺達。


「フンッ!神が、貴様ら下等な存在に手を貸してやると言っているのだ!頭を下げなきゃ困るのは、どちらかな?」


「兄さん行きましょう。」


「あぁ、そうだな。」


「ゴメンなさいお願いします私を仲間にして下さい!」


デュラハンは頭を地面に置き、とても綺麗な土下座でコチラを見て来る。


「デュラハンが、仲間になりたそうにコチラを見ていますが、どうします兄さん?」


「......今から出題する問題に、答えることが出来たら仲間にしてやろう!」


「おお!本当か少年!」


「いいんですか?兄さん。」


「あぁ、答えられたらね。」ニヤリ


「問題です!俺の名前は何でしょう!!!」


どうだ?応えられまい!


「ヒグラシ・リュウキ....だろ?」


「なぜ分かった!」


俺も夢も、こいつに俺の名前言ってないよな?


「我が魔眼に見透せぬ事はない!」


見れば、デュラハンの真紅の瞳に魔法陣が浮かんでいた。


「.......正解...です....」


──デュラハンが仲間になった!

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