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No.1 彼
「ごめん。俺のせいで、ごめん。」
あの時、そう言えなかったことを、今もずっと後悔している。
最近気になるあの子。
——最初は、その子の友達と仲が良かった。
笑顔が可愛くて、よく話しかけてくれて、俺はただ楽しかった。
そこに恋愛感情はない。
向こうの好意は分かっていた。
分かっていて、気づかないふりをすることにした。
俺はもう、あの子に惹かれ始めていたから。
あの子と話す回数が増えた。
趣味も好みも、こんなに合うのは初めてだった。
いつのまにか、あの子を目で追う回数が増えていた。
同時に、あの子と目が合う回数も増えていった。
あの子の友達に告白された。
俺にはもう、あの子しか見えていなかった。
二人の仲が悪くなるのは分かっていた。
それでも、好きな気持ちは止められなかった。
ごめん。俺のせいで、ごめん。
愛するあの子と、その友達を。
俺はこれからも笑い続ける。
それが、俺の秘密の罪滅ぼしだ。




